9日投開票が行われた統一地方選の前半戦、大阪府知事選挙と大阪市長選挙。維新が勝利し「大阪ダブル選挙」を制しました。さらに、同じ日に行われた大阪市議選でも、初めて過半数の議席を得ました。
2度目の当選を果たした吉村洋文知事と、初当選を果たした横山英幸新市長をスタジオに招いて、大阪の2トップが今後どのような大阪にしていこうと考えているのか、伺いました。
■「子どもの頃の夢は喫茶店のマスター」横山新市長ってどんな人?
まずは、統一地方選の前半戦の「大阪ダブル選挙」、大勝利といっても過言ではないと思いますが、吉村知事はこの結果をどう受け止めておられますか?
【大阪府 吉村洋文知事】
「まずは多くの人に投票いただきありがとうございます。身の引き締まる思い、横山新市長と協力して大阪を前に進めていきたい」
そして、横山新市長は初めての市長選でしたが、一夜明けて今の心境はいかがでしょか?
【大阪市 横山英幸 新市長】
「きのう当選して覚悟というか、大きな自治体を引っ張っていかないといけないので。決意と覚悟の気持ちです。今日も初登庁で緊張しましたけど、改めて決意が固まりました」
横山新市長に関しては、まだ詳しく知らない方もおられると思いますので、プロフィールをご紹介します。
新しい大阪市長となる横山英幸さんは41歳。ご出身は香川県で現在、大阪市・淀川区にお住まいです。ご家族は、妻、長男、次男、双子の娘さんの6人。趣味は、ランニング、テニス、プラモデル、子どもの頃の夢は、喫茶店のマスターだそうです。
2011年大阪府議に初当選して政界入り。吉村知事とは、”同期”になるそうです。
【大阪市 横山英幸 新市長】
「12年間吉村さんと一緒に活動してきて、私は”幹事長”もやってきました。これまでの改革は必ず継承できますし、『府市一体の成長戦略』というのは誰よりも中心でやってきた…という自負があります」
街の人からは、こんな声が聞かれました。
~横山新市長について街の人は~
・「どんな人か分からない」
・「維新なので信頼しているが、どんなことがしたいの?」
まだまだ「どんな人かわからない」という街の声でしたが、同期の吉村知事から見て、横山新市長はどんな人ですか?
【大阪府 吉村洋文知事】
「まず横山新市長はめちゃめちゃ優秀です。そして様々な人に配慮ができます。党をまとめていく…という力がすごくあって、僕なんかよりも圧倒的にその能力は高いです、だから幹事長をしています。
前市長の松井さんとはキャラクターは違いますが、やっぱり似ているところもあって、『この人はこういう事を考えているな』とか、すごく色んな所に配慮をします。協調しながら前に進めていくっていう意味ではすごく優秀なので、大阪市長として本当に力を発揮されると思います」
■有権者が気になる公約の筆頭は「教育無償化」
そんな2人が今後取り組まれる「公約」について、街の人はどう思っているのか取材しました。
街のみなさんが気になっているのは、「教育無償化」。
【30代女性】
「子どもを1人育ててみて思うのが結構お金かかるなって。2人が限界かなって思ったりする。そういう部分では(教育)無償化とかはすごくありがたいし、3人目を考えるキッカケになるかな」
【20代男性】
「高校まで無償化って嬉しいですけど、反面どこから財源が?とか」
【女性・大阪府民】
「大学生とかお金がかかるので、授業料の免除とかやってもらえたらと思う」
■「IR」については賛否が分かれる
そしてもう1つ、賛否が分かれているのが「IR」です。
【20代男性】
「そんなに悪いことではないのでは…。外国みたいな感じですかね?別世界みたいな感じですけど、あったらあったで楽しいと思うし」
【20代女性】
「賛成派というか、良いのでは…と思っているのですが、府民の方々がちゃんと理解して安心して『それでもいいよ』っていう風になるのが、まず優先じゃないでしょうか」
【70夫婦】
「IR?反対です。やっぱり良くないでしょ。経済は活性化するかもしれないけど、ギャンブル依存症の人もいっぱいおるし。カジノはいらない」
色々ありますが、街のみなさんからは、「教育無償化」と「IR」についてこうした声が聞かれました。それぞれについてお2人に伺います。まずは教育無償化からです。
教育無償化の現状について、このようになっています。
▼保育料:3~5歳はすべて無償だが、0~2歳は「住民税非課税世帯」
▼高校:所得制限つきでの無償など
0~2歳の保育料については「住民税非課税世帯」なら無償となっていますが、こういうのをもう完全に撤廃する…と。横山新市長、長期的に見ても予算繰りは可能でしょうか?
【大阪市 横山英幸 新市長】
「完全に撤廃すると年間およそ80億円が必要とされています。段階的にスケジュールを立てて4年間のうちにやり切りたいと思います。
大阪市はいま財政も健全に伸びています。これからも財政改革は続けますし、例えば大阪市の持っている土地の活用などですね。様々な手段を通じて、十分財源は確保できると確信しています」
教育無償化について吉村知事にも質問が来ています。
Q:無償化はいつからスタートするのでしょうか?
【大阪府 吉村洋文知事】
「政治家は任期があるので、任期の4年のうちにやり切りたいと思います。ただ、この春からすぐ…というのは難しいです。受験への対応・準備もありますので。
我々も、制度設計など具体的な課題もあり、そこを整理する必要があります。4年間のうちに、全員が対象となるようやっていく」
なるほど。今まず手を付けないといけない順番の中でも、かなり優先度は高いということになるのでしょうか?
【大阪府 吉村洋文知事】
「優先順位は最も高いです。だってこれを公約で掲げましたので。公約で約束したことを実行するのが維新の会だと思っています、必ずこれはやり切ります。きょうは初登庁でしたが、具体的な時期、制度設計について府の担当局に指示を出しました。高校との調整などもあるので、それが整い次第、しっかりと任期中にやり切りたいと思います」
続いて、IRについて伺います。反対派からは「依存症対策」について指摘されています。このあたりは、どう解決されますか?
【大阪市 横山英幸 新市長】
「IR・カジノの依存症対策は専門的に取り組んでいきます。今までの社会で、依存症対策というのが放置されてきたようにも感じます。大阪府市で『依存症センター』を立ち上げます。専門家にも知見を伺っていきます。
あとカジノには『入場規制』もあります、例えば連続する7日間のうち3日間しか入れない…などです。より厳しく向き合いたいです」
■大阪都構想について「看板を完全におろした訳ではない」
視聴者の皆さまからLINEでいただいた質問をご紹介します。
Q:いわゆる「大阪都構想」は2回否決されていますが、今後またやる予定はありますか?大阪市の廃止は嫌です」
【大阪府 吉村洋文知事】
「維新の会として、この構想の看板を完全におろした訳ではありません。自分が知事も市長も両方ともやってみて、『どうしたら大阪の力を発揮できるのか…』と考えた時に大阪府と大阪市が二重行政にならない仕組みをつくるのはすごく大切だと思ったんです。
現に私たちがそれを10年に渡りやってきたことで、大阪の財政も立て直しました。うめきた・万博・IRなど未来への成長戦略も実行できるようになってきました」
【大阪府 吉村洋文知事】
「今回の選挙では争点になっていないので、今すぐどうこう…という訳ではありませんが、より住民サービスを拡充させて府市で同じ方向を向いて、成長戦略を実行できる仕組みを作りたい。そしてまた財源を増やせたら住民サービスも増やしていけますから。
大阪市役所が再編されても大阪がなくなる訳ではありません。ただ、否決されているので今すぐに…ではありませんが、常に考えていかないといけないと思います。維新の会という枠の中で解決策を考えていきます」
9日の発言の中で「何が起こるかわからない」と言われましたが、これは何かあるのかな…とも思ってしまうのですが、吉村知事、この任期の中での可能性はどのくらいあるのでしょうか?
【大阪府 吉村洋文知事】
「完全にヤラないと決めつけるのもおかしいのではないかな…と思っています」
【大阪市 横山英幸 新市長】
「看板は掲げているので、二重行政の解消は必要だと思います。しっかり議論しないといけないですし、看板政策としては掲げ続けたいと思います」
■市議会での単独過半数で、今後「公明党」との距離感は?
【関西テレビ 神崎博デスク】
「今回の統一地方選挙では、大阪市議会の選挙も注目されていました。今回初めて維新が単独で過半数を取ったので、公明党への配慮は今までほどは必要なくなったのでは…とも思うのですが、横山新市長はどうお考えでしょうか?」
【大阪市 横山英幸 新市長】
「過半数の議席を取る・取らない…に関わらず、公明党とは是々非々で。建設的な意見は取り入れたいと思います。議会というのは有権者の民意を得たものですので、すべての会派にしっかり丁寧に議論をしていきたいです」
馬場代表は「(衆院選について)公明党との協力関係は一旦リセット」とも言っていましたが、これからの衆院選も含めてこのあたりの”距離感”はどうなるでしょか?
【大阪府 吉村洋文知事】
「まず、今までの衆院選で『維新の候補に投票したいのだけれども、候補者がいなくてできない』っていうのがあったのも事実なんですね。本来選挙というのは勝ち・負けだけではなくて、”選択肢を示す”というのも大切だと思います。そういった思いも含めて、馬場代表とも話し合って決めていきたいと思います。
(Q:候補者を立てていくことに?)
僕は選択肢を示すべきだと思っています」
IR、教育無償化、物価高への対策など課題山積の中で、新たな一歩を踏み出した吉村知事と横山新市長。未来の大阪がどう創られていくのか、2人の舵取りに注目です。
(関西テレビ「newsランナー」4月10日放送)