草むらに"6歳男児"の遺体 母親ら4人を監禁容疑などで逮捕 泣きながら「助けて!」の声も… 相談受けていた児相も"一時保護"できず 2023年06月23日
神戸市西区で6歳の男の子の遺体が見つかりました。警察は男の子の祖母を監禁し、けがを負わせたとして母親らきょうだい4人を逮捕しています。住宅街の中で起きた不可解な事件。家族の中で何が起きたのでしょうか。
■きょうだい4人が祖母への監禁等容疑で逮捕 浮かび上がる異様な家族関係
【坂元龍斗フィールドキャスター】
「午前9時半です。兵庫県警の捜査員が到着しました、鑑識と書いてあります。これからブルーシートをはって規制をかけて家の中の鑑識作業を行うとみられます」
多くの捜査員が駆けつけ、物々しい空気に包まれた神戸市西区にあるアパートの1室。住宅が立ち並ぶ落ち着いた地域で悲惨な事件は起きました。
【記者リポート】
「穂坂修ちゃんは自宅から約800m離れた人通りの少ないこの場所で、スーツケースの中に入った状態でみつかったとみられます」
22日午後6時すぎ、住宅近くの草むらでスーツケースに入れられた穂坂修ちゃん(6)の遺体が見つかりました、外傷はありませんでした。
修ちゃんはこのアパートの一室に祖母と母親、母親のきょうだいたち合わせて5人で暮らしていました。
しかし22日、このきょうだい4人が祖母への監禁と傷害容疑で逮捕されたのです。
逮捕された修ちゃんの母親の穂坂沙喜容疑者(34)と弟の大地容疑者(32)ら4人は、修ちゃんの祖母(57)を3月ごろからおよそ3カ月にわたって自宅に監禁し、鉄パイプのようなもので複数回殴って、けがをさせた疑いがもたれています。
事件が発覚するキッカケとなったのは20日、4人が不在の際に祖母が逃げ出したところ神戸市垂水区で保護されたことでした。いったい、この家族になにが起きていたのでしょうか。
近くに住む人たちの取材を進めると少しずつ、この家族の「異様」な関係が浮かび上がってきました。
【近隣住民】
「子どもの姿はベランダに放り出されている時に見た。小さい子が泣きながら『助けて助けて』って。怒鳴り声めちゃめちゃ聞こえますよ。夜中も大きい声を出してトントントントンたたいて、鉄パイプでたたいていた音かな」
警察によると、この家族は12年前からこの場所に住んでいて、近所の人によると修ちゃんと沙喜容疑者の姿は少なくとも4年ほど前には見かけられていました。
【近所の人】
「(修ちゃんは)人懐っこい子やったのにね。朝『おばちゃん、こんにちは』って言う。『朝やから、おはようやで』と言うと『へへっ』と言って」
元気な印象だったという修ちゃん。しかし、あることをキッカケに家族の様子は一変します。
【近所の人】
「なんせ、あの男の子(大地容疑者)が来てから生活が変わったと思う。(大地容疑者は)ごっつい。『わしが大将や』と、チンピラみたいな」
沙喜容疑者の弟・大地容疑者が、去年の暮れごろから、他のきょうだいや修ちゃんと同居するようになったというのです。
修ちゃんが「助けて」と叫ぶ様子が目撃されるようになったのは、その後のことでした。
【近所の人】
「旦那が洗車している時に、男の子が2階から『助けてください』って。『出られないんです』って叫んでいて、2階から自分で窓を開けて私を呼び止めた。『おばちゃん、出られないお家から』と」
■母親から育児に関する相談も…「一時保護」はできず
家族の異変に、事前に気づくことはできなかったのか。23日午後、神戸市子ども家庭センターが会見を開きました。
【神戸市子ども家庭局 丸山佳子副局長】
「お母さんが妊娠中から西区役所の職員が、関わりをもっていました」
容疑者が妊娠していた際、母子手帳に「養育に不安がある」と記していたことから、妊娠段階から関りを持っていた子ども家庭センター。
0歳のころから保育園に通っていたという修ちゃんは2月以降、休みがちになったといいます。
久しぶりに登園した4月末、修ちゃんのおしりと右肩にアザを発見。自宅で面談をしたところ、祖母と沙喜容疑者から「身に覚えがない」と言われた上でこう相談があったといいます。
【神戸市子ども家庭局 丸山佳子副局長】
「子どもさんの育てにくさがあるということを相談されまして、『できたら子ども家庭センターに一時保護してほしい』というようなお申し出がありました」
その後、「育てにくさ」の理由と一時保護の確認を1カ月間に渡り何度も連絡しましたが、祖母から「家庭で見る」と言われ一時保護ができなかったということです。
【神戸市子ども家庭局 丸山佳子副局長】
「現時点では、(ネグレクトがあるなどの)近隣からの連絡等は確認できていません。これからこの家庭にどのように関わるか方針を検討しているところでした」
(Q:職権での一時保護を今回しなかったのはなぜ?)
【子ども家庭センター 高橋顕副所長】
「今回は、祖母と沙喜容疑者からの相談という形で『子どもを預けたい、家で養育するのは難しい』というのが出発点だった。そういう場合は職権ではなく、ご事情をお伺いして家庭での状況や生活状況、養育状況をお聞きしてお預かりする流れになります」
(Q:結果こうなってしまった。どのように感じる?)
【神戸市子ども家庭局 丸山佳子副局長】
「このような状況になったのは本当に胸が痛みます。私たちとして、どんな動き方あったのか検証が必要だと思っています」
修ちゃんの命を救うことはできなかったのか。そして、なぜ修ちゃんの祖母は沙喜容疑者らに監禁されなければならなったのでしょうか。解明すべき点が多い事件です。
(関西テレビ「newsランナー」6月23日放送)