「真相を話してもらっていない」と遺族 一審に続き”常連客”の男に懲役20年の判決 男は法廷に現れず カラオケパブ女性オーナー殺人事件 2023年07月10日
大阪のカラオケパブでオーナーの女性を殺害した罪に問われた男に対し、大阪高等裁判所は懲役20年を言い渡しました。裁判を通じて男の口から真相が語られることはありませんでした。
■その時、法廷に被告の姿はなく…
一審に続き懲役20年の判決。その時、法廷に被告の姿はありませんでした。
宮本浩志被告(58)は2021年6月、大阪・天満のカラオケパブ「ゴマちゃん」で、オーナーの稲田真優子さん(当時25)を刃物で刺して殺害した罪に問われています。
一審の裁判員裁判で、宮本被告は「死刑をお願いします」と語った一方で「どなたからの質問にも答える気はありません」と罪を認めるかどうかすら、明らかにしませんでした。
大阪地裁は懲役20年を言い渡し、宮本被告は控訴していました。
なぜ娘の命が奪われたのか裁判で真実を知ることができないまま、1月、真由子さんの父・峰雄さんがこの世を去りました。
【稲田真優子さんの母・由美子さん】
「病は気からっていうけど気力がガタ落ちしていたので。娘に先立たれて」
母・由美子さんは、拘置所にいる被告に手紙を送りました。返事の手紙に書かれていたのは自らが殺害したとされる真優子さんへの感謝の言葉でした。
【宮本浩志被告からの手紙】
「真優子さんに対しては、今も感謝しております。贈る言葉としては『ありがとう』以外に思い浮かびません。真優子さんと私はおそらく性格が正反対だっただろうと思います。真優子さんには何事も挑戦していく姿勢、そしてそれをやり抜く力があることを感じていました。これは私には持っていないものです」
一番知りたかった事件の真相については、何も書かれていませんでした。
【稲田真優子さんの母・由美子さん】
「最後までこの事件の真相を聞くことは、もう私が生きているうちにはないのかな」
5月に始まった控訴審でも宮本被告は法廷に姿を現しませんでした。
■後を絶たないストーカー事件「抑止のためにより(処罰を)厳罰にするべき」
しかし判決を前にした先週。宮本被告は面会に訪れた遺族に対し…「取り返しのつかないことをしてしまったと思います」と話し、謝罪の言葉を口にしたということです。
そして10日、大阪高裁の判決を前に、母・由美子さんが意見陳述を行い「被告には真相を話してもらっていない。ストーカー事件は今後も繰り返され、後を絶たないと思うので抑止のためにより(処罰を)厳罰にするべきです」と述べました。しかし、その場に宮本被告の姿はありませんでした。
大阪高裁の齋藤正人裁判長は「被告人が犯人であることについて合理的な疑いを差し挟む余地はない」などとして一審の判決を支持し、懲役20年の実刑判決を言い渡しました。
判決を受けて母・由美子さんは…
【稲田真優子さんの母・由美子さん】
「事件の真相と動機ですよね。最後だから言ってほしいと思ったんですけど、やっぱりモヤモヤ感が残りますよね」
なぜ真優子さんの命が奪われなければならなかったのか。控訴審の判決が出た今も、遺族の心に疑問は残ったままです。