車内で何が? JRの電車内で乗客ら3人に切りつけ 緊迫の一部始終を被害者が語る「目もあっていないのに」 殺人未遂の現行犯で37歳男を逮捕 逮捕時には3本の刃物を所持 2023年07月24日
7月23日、大阪府泉佐野市内を走るJR西日本の電車内で、乗客ら3人が次々と切り付けられ、37歳の男が逮捕されました。
車内では何が起きていたのか被害にあった乗客が、その一部始終を語りました。
■ 男の手には刃物…警察に抵抗するように構える
7月23日午前10時半ごろ、関西空港へ向けて、日根野駅とりんくうタウン駅の間を走行していたJR西日本の快速電車の車内で、乗客らを次々と刃物で切り付けました。
視聴者が撮影した映像には、列車内にいる男が手に刃物を持つ姿が映っていました。
その後、男は駅のホームで警察官に囲まれると、抵抗するように2本の刃物を構えます。
【記者リポート】
「りんくうタウン駅です。運転は再開されましたが、現場には警察官が複数おり、物々しい雰囲気が漂っています」
【目撃者】
「(車掌が)包帯をすごい巻かれていて、包帯の厚みがすごかった。(包帯が)赤かったように見えた」
けがをしたのは、乗客の23歳の男性と79歳の男性、さらに24歳の車掌の男性のあわせて3人です。3人は病院に搬送されましたが、いずれも命に別条はないということです。
警察は、職業不詳の清水和也容疑者(37)をりんくうタウン駅のホームで確保し、殺人未遂の現行犯で逮捕。24日朝、清水容疑者の身柄は大阪地方検察庁に送られました。
逮捕された時、清水容疑者は3本の刃物を所持していました。
【目撃者】
「(男は)奇声をあげていましたね。警察官がなんかあったってホームを駆け上がってきて」
調べに対し、清水容疑者は「近くにいた乗客とトラブルになった」と供述しているということです。
■ 被害者の乗客が語る 「目も合ってないのに」
3人が次々と切り付けられた今回の凶行。一体、車内で何がったのか、被害にあった乗客たちが、当時の一部始終を語りました。
【被害にあった乗客(23)】
「僕も動画見ながら座っていただけなので、それで後ろからやられた感じ。揉めたりとかもない」
こう語るのは、最初に切り付けられた23歳の乗客の男性です。
座席に座り、イヤホンをしてスマートフォンを見ていた男性。すると、同じ車内の後ろに座っていた清水容疑者が、通路を歩き回り、近くにいた男女2人組に話しかける姿を目撃します。
【被害にあった乗客(23)】
「(清水容疑者は)男女にちょっかいかけていて。うろちょろしていて。イヤホンしていたので、声を出してたとかもわからない」
気にはしながらも、そのままスマホを見ていた男性。すると突然、後ろから首とこめかみを清水容疑者に切り付けられます。
男性は清水容疑者をつき飛ばして前の車両に逃げ、数分後に、電車がりんくうタウン駅に到着したということです。
【被害にあった乗客(23)】
「僕からしたら何も分からないので、何かしたわけでもないし」
-:Q全く会話も?
「してない。目もあってないですし」
清水容疑者はその後、止めようとした24歳の車掌と79歳の乗客も次々と切り付けました。
左手を切られたという79歳の乗客は…
【被害にあった乗客(79)】
「乗客がみな(車両から)出て、僕が最後までおった。スーツケースが転がっていた。そのスーツケースを盾にして前に行った。イスの上にナイフが置いてあった。これを持って暴れられたら嫌やから、『これお前のか』と言ったら、いきなり鞘から抜きよった、その時に(手を)こすった」
JR西日本は事件を受け、「駅や車内での警戒を強化する」としています。
■ 事件に遭遇した場合、どう対処すべき?
鉄道のテロ対策に詳しい、公共政策調査会の板橋功研究センター長は以下の3点を指摘します。
①車内は必ずしも安全ではないという認識を持つ必要がある
②まずは命を守るための行動を!危険と感じた時点で他の車両へ移動
③その後、各車両にある緊急通報装置を押して連絡。装置の場所や使い方を知っておくことが望ましい。
板橋研究センター長によると、容疑者が他の乗客に絡み始めた時点で危険と感じたなら、緊急通報装置を躊躇せず押す対応も選択肢としてあったのではないかと指摘しています。
■ 鉄道会社も車内の防犯対策実施
車内の防犯カメラについては義務化への動きが進んでいて、鉄道各社は設置を進めています。
板橋研究センター長は「抑止力は限定的だが、リアルタイムで事件を把握できれば迅速に対応できるので有効」としています。
今回のJRの防犯カメラは録画機能のもので、リアルタイムで確認できるものではありませんでした。
【関西テレビ 神崎博解説デスク】
「容疑者がどのような動機で犯行に及んだのかという点で、(事前の対策としては)抑止力は限定的かもしれませんが、リアルタイムで情報が共有されたら、カメラを見ていた乗務員が事件に気づくかもしれません。また、中央の運転指令所などが気づけば警察や救急車の手配、次の停車駅での駅員の手配なども迅速に進むので、事後の対応では良いかもしれませんね」
また、2021年に国土交通省の省令が改正されて駅員の判断で手荷物検査ができるようになりました。
板橋さんは「手荷物検査の可能性があることを周知し、実行することが抑止力になる。躊躇せず手荷物検査することが必要」とのことです。
車内は安全だと思いすぎず、周囲に気を配っておく必要があります。
(2023年7月24日 関西テレビ「newsランナー」放送)