京アニ放火殺人事件から4年 遅すぎた裁判 「最愛の娘がなぜ?」 被告の証言を聞くことなく去った父 残された母「犯人憎んでもどうしようもない」 2023年09月01日
京都アニメーション放火殺人事件から4年がたち、9月5日にようやく始まる裁判。そこで青葉被告の主張を聞くことなくこの世を去った遺族がいます。裁判、そして青葉被告に思うこととは?
■事件から4年 青葉被告の初公判前に…最愛の娘を奪われた遺族が語る思い
京都アニメーション放火殺人事件で犠牲となった女性・石田奈央美さん(当時49歳) 。
22歳で京都アニメーションに入社し、”色彩設計”の担当として数々の作品に携わってきました。しかし、いつもと変わらず出勤したあの日、突然、炎に包まれ命を失いました。
事件から4年がたち、ようやく9月5日に青葉被告の初公判が始まります。裁判を前に、奈央美さんの母が思いを話してくれました。
【石田奈央美さんの母(82)】
「4年って長いわな。年いってるものからしたら、後がないから。4年生きられるか生きられへんか分からへんもんね」
奈央美さんは父と母と3人で暮らしていました。両親の生活はあの日から一変しました。
【石田奈央美さんの父】
「うちの宝、大黒柱。私らを支えてくれた大事な大事な命でした。つらいけど思い出すだけでも泣けてきます」
【石田奈央美さんの母】
「今まで何十年とお弁当を作ってきたのに、いっぺんに(事件の)18日最後で、朝起きても何も作らなくてもいいし。私ら2人だけの食事ですやろ。寂しいです、やっぱり」
事件から1年、“ひとつの区切り”として2人は追悼式に参列。奈央美さんの父が事件のあった現場に行くのは初めてのことでした。
その後、青葉被告は起訴され父は犯行に及んだ動機を知るために裁判を傍聴しようと決めていました。
【石田奈央美さんの父】
「青葉がどう言いよるか、公判のときに。(Q.なぜやったのか?)どういう証言をするか、そこが一番問題やと思う。それしかないのちゃう?」
■被告の証言を聞く前に…この世を去った父 残された母「憎んでもどうしようもない」
しかしその後、奈央美さんの父は体調が徐々に悪化。2023年に入ってからは食事もあまり食べられず寝たきりの生活を送っていました。そして8月5日、87歳でこの世を去りました。
【石田奈央美さんの母】
「12時過ぎ頃、様子見に下に降りて息が荒いなって思った。『しんどない?』って言ったら『うん』って首振ったから。どうもないんやなって思って、上にあがった。それが最後や」
奈央美さんの父は、1日でも早く裁判が開かれることを願っていました。
【石田奈央美さんの母】
「(裁判)行きたいって、一緒に行こうなって言ってたんやけど、そんなところやなくなってきた。警察には、私ら年いってるから早いこと(裁判を)してほしいんですって言ってた。どうしようもないけどね、私らとしては早くしてほしかったけど、もたへんかったな…」
なぜ娘が事件に巻き込まれたのか…奈央美さんの父が直接、被告の口から聞くことはもうできません。1人になった母の心に被告を憎む気持ちはありません。
【石田奈央美さんの母】
「犯人なんてそんな思ってない。思ったところでしょうがない。憎んでもどうしようもない。本人は返ってこないしな。一番きついことやってん、ようけようけ殺して。犯人憎んでもどうしようもないから思ってない」
“被告にはただ本当のことを話してほしい”、そんな思いを抱きながら裁判が始まる日を待っています。
(関西テレビ「newsランナー」2023年9月1日放送)