ジャニー喜多川元社長による性加害問題をめぐり、7日ジャニーズ事務所がこの問題で初めて会見を開きました。ジャニーズ事務所の新しい社長には少年隊の東山紀之さんが就任することなどが発表されました。
7日の会見で見えてきたジャニーズ事務所の「過去と未来」、そしてその舞台ウラについて、会見に出席されたジャーナリスト・松谷創一郎さんに伺います。
7日の会見で松谷さんが一番印象に残ったのは、どういうことでしょうか?
【ジャーナリスト 松谷創一郎さん】
「やはり、藤島ジュリー社長の出席です。6日ぐらいから『(会見に)出てくるのではないか…』という見通し・情報を得ました。ただ、ギリギリまで本当に出てくるかどうかわからなかったです。そんな中で今日、非常に丁寧にお話をいただいて、真摯な態度ではあったとは思います。そこが一番驚きでした。けど内容に関しては、そんなに驚くような話はありませんでした、結構ふわっとしていた…というのが正直なところですね」
新社長に就任することになった東山紀之さんは、1966年生まれの56歳。所属タレントの中で最年長です。小学校6年生の時にジャニー喜多川前社長にスカウトされ「少年隊」のメンバーとして活動されました。今回の社長就任に伴い年内でタレントを引退します。
なぜ東山さんが新しい社長になることになったのか、松谷さんによりますと、その舞台ウラがこちらです。 外部社長を模索したが、すべて断られた。苦肉の選択だったということです。
外部の人に社長をやってもらおうとしても、すべて断れられたのでしょうか?
【ジャーナリスト 松谷創一郎さん】
「どれぐらいたくさんの方に当たったかどうかは、わからないのですが、資本参加をする代わりに外部の会社から社長が出向してくる話は、こういう不祥事の時に救済策としてホワイトナイトがよくやることです。
しかし今回は、複数に打診をしたけれども断られてしまったようです。会見の中で東山さんが『社長就任の話が来たのが8月上旬』とおっしゃっていました、つまり1カ月前のことです。 6月ぐらいから、こういう方向の筋道が見えていたとしたならば、やはり2カ月間ぐらい代わりの社長を探してきたけど見つからなかったようです。今回の東山新社長就任もいろいろ断られた上で、タレントからの昇格という本当に苦渋の選択だったと思います」
解体的な出直しとなりましたが、次に、東山新社長が会見で語った内容を中心に見ていきましょう。ジャニー元社長の性加害を知っていたのかという質問に対し、新社長の発言がコチラになります。
「性加害についてうわさとしては知っていたが、被害を受けたこともないし、そういう現場も見ていない。後輩からの相談も受けていない。ジャニー氏を信じていました」
そして、ジュリー前社長は、「5月時点で知らなったというのは直接知らなかったということ。暴露本などあるのは知ってた。確かめなかったのが私の責任」と話しました。
5月の時点でジャニーズ側が発表したコメントがあります。ジュリー社長が、「当時知らなかったでは決して済まされない話だと思っておりますが、知りませんでした」と答えていました。
会社運営に関わる重要な情報が全社で共有されることはなく、ジャニー氏、メリー氏以外には知ることができない状態が恒常化していたということでした。これが5月時点での話ですが、ジュリー氏は「当初から知らなかった」と言っていますが、どう受け取ったらいいのでしょうか。
【ジャーナリスト 松谷創一郎さん】
「これはレトリック化ニュアンスか分かりませんが、疑惑としては知っていたが事実としては知らなかったと。重要なことは”知っている・知らない”だけではなく、知らないこと自体が問題ではないでしょうか、取締役ですからね。
(Q. 新社長の東山さんも知らなかったと言っておられますが?)
正直これは苦しいと思います。7日の会見でかなり追及された記者の方もいました。なぜ苦しいかと言いますと、被害者の方が週刊誌の方に『東山さんは1番よく知ってるぞ』と話しています、もうこれ結構前に書かれてますよね。今回ヒアリング調査を受けた人の中にもいます。そこを彼らの間でどうやってコミュニケーションを取るのかわからないですが、ここをズバズバ(東山さんが)言い切ってたのは、どこまで通用するのかな…と思います」
■新社長の”ハラスメント疑惑”があらたな火種に?
7日の会見では新社長によるハラスメント疑惑も浮上しました。 記者から「ご自身がハラスメントをした認識や、ハラスメントをしていたと指摘されたことはありますか」と質問されると、東山新社長は「僕は性加害をしたことはないです。誤解を招く行動があったかもしれない。思い出すことも多々ある。自身を律し、対話を続け、そういう問題が起きないようしていくのが使命」と話しました。 これに対し、松谷さんは「ジュニア時代に東山さんと同世代だった人たちが不満をあらわにするかも」と指摘されています。これはどういうことなんでしょうか?
【ジャーナリスト 松谷創一郎さん】
「当事者の会で顔や名前を出してる方が9人いらっしゃるのですが、そのうち5人が50代なんです。そのうち5人は、例えば石丸さんは、少年隊のバックダンサー。平本さんも東山さんの後輩で彼らが10代の頃から東山さんというのは先輩なんですね、よく知ってるんです。
彼らが東山さんのことに対して、正直、そんなに良いと思っているかどうかっていうのは、本人たちに聞いてみなきゃわからないですが、ちょっと微妙なところがあるので、どういう態度を見せていくかは注目されると思います」
■「株を100%持っている方が補償も進めやすい」と藤島前社長 “院政”続く恐れも…
次に、事務所の新体制について見てみましょう。新体制がコチラになります。 藤島ジュリー景子前社長は代表取締役にとどまることになったのですが、事務所の株式を100%保有しています。7日の会見で「補償が進めば代表取締役から降りることも考えている。株を100%持っている方が補償も進めやすいと考えた」と話しました。
松谷さんによるとこの舞台ウラは、株式の一部譲渡はあるかもしれないが、ジュリー氏の院政が続く、とのことです。
補償が進めばということですが、ジュリー全社長の影響力が続くのではないか…と。
【ジャーナリスト 松谷創一郎さん】
「一般論として会社は、社長のものではなく株主のものです。だから100パーセント株式を持っているということは、ジャニーズ事務所は今後も藤島ジュリー景子前社長のもので、変わらないですよね。会長に退くのではないかと私は当初見ていたのですが、ここで取締役に残って補償・交渉のみをやっていくというのは、彼女なりの真摯なスタンスを見せたのではないかと。
もう1つ言うと社長を引き受ける人もいなかったし、資本参加をして外部から社長が出向してくるみたいな、その交渉もうまくいかなかった。だから100パーセント株式を持っていた方がいいという話を藤島ジュリー景子前社長がされていましたが、またそこで交渉が進まなかったっていうか。結論が出なかったと考えた方がいいでしょう」