大阪府富田林市などを走る「金剛バス」が、全ての路線で運行を終了する問題です。 代替の交通手段が決まっていない路線もあり、住民から不安の声が上がる中、26日、地元自治体が新たな方針を発表しました。 地域の足は今後、守られるのでしょうか?
富田林市や河南町など4つの市町村で15の路線を運行してきた「金剛バス」。 平日には、平均約2600人が利用していますが、10年ほど抱えてきた赤字と人手不足を理由に「年内での路線バス事業の廃止」を決めました。 ※2023年12月20日まで
【金剛自動車株式会社 白江暢孝代表取締役(9月12日)】
「地域の住民の方々にとって大変申し訳なく思っています」
こうした中で、地元の自治体が頭を悩ませているのが、「廃止後の交通手段」です。
自治体やバス事業者などでつくる協議会は、先週、利用客が多い5つの路線の主要ルートを近鉄バスと南海バスが引き継ぐことを決めました。 運行にかかる経費は、自治体が負担しますが、本数は半分程度に減ります。 ただ、深刻な運転手不足の影響で、引き継げるのは、この5つの路線が限界ということです。
すでに廃止が決まっている1路線をのぞく、「残された9の路線」の代替手段は、いまだ決まらず、利用者から不安の声があがっていました。
【路線利用者(79)】
「仕事で使ってる。週5日」
‐Q:歩いたらどれくらい?
「そんなもう、30分くらいかかるわ。そんなん歩いてられへん、しんどくて。(なくなったら)もう仕事辞めなしゃーないやろ、そんなんなったら」
83歳の男性は、家の近くにスーパーマーケットがないためバスに乗って駅前まで出なければなりません。
【路線利用者(83)】
「私らにとっては一大事ですよね。バスがなかったら…、免許証は警察へ出しました(返納した)しね。歩いて往復せんかったら、買い物はできないですからね」
男性が買い物に利用しているというバスがなくなったらどれだけ大変か、記者が実験してみました。
【記者リポート】
「もしバスがなくなってしまったら、実際に歩いてどれぐらいかかるのか調べてみようと思います」
橋を渡り…途中には坂道もあります。
【記者リポート】
「着きました~かかった時間は28分です」
荷物を持った高齢者はさらに時間がかかることが想像できます。
地域の足を守れるのか。 自治体やバス事業者でつくる協議会は26日、残った路線についても、自治体が運営する方針を示しました。
トータル15の路線の廃止や統合を行い、「10」に減らしますが、これまでの路線のエリアは大方カバーできていて、全体で現状の6~7割ほどの本数を維持できる見込みだそうです。
【富田林市 松田貴仁副市長】
「なかなか100%に至ってないというのは事実なんですけど、できる限り協議をして、協議をして、出てきた答えが今日の答えと。さまざまな課題が出てくると予想されると思う。それには柔軟に対応していかないといけないと思います」
あの83歳の男性の移動手段も守られることになりました。 協議会は今後、住民に説明する機会を設け、理解を求める方針です。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年10月26日放送)