処方箋無しで緊急避妊薬を薬局で試験販売する試みが始まります。 望まない妊娠を防ぐための大きな一歩になるのでしょうか。
【すこやか薬局 西谷拓磨代表】
「これは緊急避妊薬というものでして、性交渉があった後、72時間以内に飲むと約80パーセントの確率で避妊効果があると言われているお薬です」
思いがけない妊娠を防ぐための「緊急避妊薬」。これまでは、対面やオンライン診察で医師の処方箋がないと手に入れることができませんでしたが、厚生労働省は11月28日から、薬局が処方箋なしの試験販売を行う調査研究を始めます。
■街の人の反応は…
街頭で話を聞くと、意見は様々です。
【20代女性】
「望んでない形で(性行為)されたときに、誰にも相談できない人とか結構いるので、(成人は)誰にも相談せずに自分で買えるのはいいんじゃないかなと思います」
【20代女性】
「困る人のほうが大切なんで、困る人のためにあるべきだと思いますけど」
【20代女性】
「緊急時は薬局のほうが、1回しか会わないし、対面でも」
【40代女性】
「やっぱり心配ではありますね自分の子供がと思うと」
「(成人が)勝手に飲んで副作用があったら、親も分からないのに、なんで具合が悪いんだろうって」
【10代カップル】
(女性)「手軽に使えるのはいいけど、大事にされないんじゃないかと」
(男性)「それができることによって(避妊せず)してもいいやんって気持ちができて、そういう(薬を使う)のが増えるんじゃないかなって」
■購入するための「要件」
日本ではこれまで、安易に緊急避妊薬が手に入るようになることで、避妊をせずに性行為する人が増えたり、間違った性認識が生まれないか、といいった反対意見が国に多く寄せられ、緊急避妊薬の市販化はたびたび見送られてきた背景があります。
そんな中、今回の試験販売には要件が設けられました。 購入できるのは、調査研究の参加に同意した16歳以上の人で、未成年は保護者の同意が必要です。 また、薬剤師の目の前で薬を飲まなければいけません。 薬局側も祝日や夜間の対応が可能なことや、購入者のプライバシー確保が可能なブースなどを設けることが条件となっていて、参加する薬局は約150軒となっています。
【すこやか薬局 西谷拓磨代表】
「個人の意見としては賛成です。すごく緊急性の高いお薬ですので、手軽に手に入ればいいかなと思うんですけど。まず試験的に国が定めた薬局だけで販売されるので、全国でもかなり少ない数になっております」
■懸念点は…?
これまで、国に緊急避妊薬を薬局で取り扱うよう訴えてきた団体は…。
【『緊急避妊薬を薬局でプロジェクト』福田和子共同代表】
「一歩前進かなとは思うんですけれども、ただ、今回あまりにも対象の範囲が狭いというところで、本当にこれが前進になるのかどうかっていうのは、一方で疑問だなと思っている部分もあります。本当に必要な人が確実に入手できることに貢献するような承認の仕方をされて欲しいなと」
まもなく始まる緊急避妊薬の薬局販売ですが、福田和子共同代表は「本当に必要な人に薬が届かない制度設計なのではないか」と話しています。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年11月20日放送)