11月29日の国会に先立つ予算委員会の質疑で、自民党の政治資金パーティーに関する収支報告書の記載漏れについて、野党が追及しました。 政治資金パーティーの実態や問題点について、前衆議院議員の佐藤ゆかりさんに詳しく聞きました。
■「政策をやりたいが、パーティーをやらなければいけない。本末転倒」
政治資金パーティーの売り上げは大きな金額となっています。各派閥のパーティー収入報告書によると、2022年は一番多かった麻生派が約2.3億円、岸田派・茂木派・二階派はそれぞれ約1.8億円を売り上げました。これは派閥の収入の8割ほどを占めているそうです。 これほどまで政治資金って必要なものなのでしょうか?
【佐藤ゆかりさん】
「全てが利益にはならないんです。これは収入で、経費で回っていくわけです。私も議員活動をやっていましたけれども、税金だけでは到底政治活動というのは回らないです。ですからパーティーをやって収入を集めて、そこから私設秘書の人件費を払ったり、活動費を払ったり支出がどうしても必要です。パーティーをするとか、あるいは裕福な方は自己資金を投入して政治活動をやるとか、そういうことでないと今の政治は活動できないです。これでもかつかつぐらいだと思いますね」
政治というのが、こういうことをしないと回らないのでしたら、日本の政治が回っていないと言えるのではないですか?
【佐藤ゆかりさん】
「本当にパーティーばっかりやって何してるのか。本来政策についてやりたいところが、パーティーをやらなければいけない。本末転倒で、ちょっとこれは違うなと思いますね」
佐藤さんご自身、お金集めの必要性は感じていましたか?
【佐藤ゆかりさん】
「国会議員の時代に、例えば秘書を大体10人ぐらい雇うわけです。そのうちの3人しか税金で人件費が出ないです。残り6、7人は自腹で払いますから、自己資金を持っていない人は当然パーティーをやって収入を集めて、それで人件費や活動費・移動費に出したり、秘書の宿泊費に出したり、広報宣伝費でニュースレターを印刷したり、ポスター刷ったり、いろいろあります。派閥だけじゃなく、個人でもやらないと間に合わないのが現状です」
■2万円のパーティーで「コーヒー1杯・名産品・本」ということも
取材した自民党の中堅議員の個人パーティーの内容で、コロナ禍ではありましたが、最も価格と中身に乖離があると記者が感じたケースです。参加費2万円のパーティーで出されたのは、コーヒー1杯、選挙区の名産品、議員が執筆した本でした。 これで2万円でしたら利益率がとても高いとはいえ、結局個人献金ではないかと思われかねないのではないでしょうか。禁止されている政治家個人への献金のようにみられ、政治不信につながるのではないかと気になります。
【佐藤ゆかりさん】
「そうですね。個人献金は、政治家個人に献金をしてはいけないと禁止されています。パーティーの収入が入る先は、個人ではなくて政党支部に入ります。議員が代表を務めている支部に入るので、違法行為ではありません。ただしこれだけの資金がないと政治活動が回っていかないという、日本の民主主義の仕組みそのものが限界に来ているのではないかなと、やはり私は思います」
■収支報告書の記載漏れは「起こり得る」と佐藤前議員
野党が追及したパーティー収入の記載漏れはなぜ起きたのでしょうか。 派閥側の説明では、ある政治団体が同じ派閥に属する議員3人から10万円ずつパーティー券を購入しました。この政治団体は派閥のパーティー券を30万分購入しているのですが、各議員から派閥への報告は10万円ずつで、収支報告書に記載が必要な20万円を超えていません。3件全てが同じ団体からのお金だと確認することをしないため、派閥としては記載する必要がないと判断してしまったということです。
さらに野党からは現在、記載されていないお金を裏金に回しているのではないかという疑惑も追求されています。
このようなケースは、実際にあることなのですか?
【佐藤ゆかりさん】
「起こり得ます。派閥のパーティーですと、複数の議員が一つの同じ団体に対して売りに行くわけです。そうするとその団体はいろんな議員の顔を立てたいと考えて、この人から10万円、この人からも10万円…合計すると団体が派閥に対して30万円支払っていたと。銀行の通帳を見るとカタカナで名称の一部が記載されていますよね。あのカタカナだけだと、3回に分けて入ってくると、なかなか分からないことがあるかもしれません。ただ一つの団体から、一つの派閥に対して30万円であれば、記載しなければいけません」
記載漏れがあるとすると、裏金になっているのではないかと疑いを持たれることにもなりますよね。
【佐藤ゆかりさん】
「当然、疑惑を持たれて仕方がないです。記載漏れですから」
不透明なお金の流れは政治不信にもつながります。チェック体制をしっかり整える必要があるのではないでしょうか。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年11月29日放送)