京都府亀岡市で11年前、無免許で居眠り運転の車が集団登校の列に突っ込み3人が死亡した事件。娘を亡くした父親が、娘が通っていた小学校で講演し、命の大切さや寄り添える社会の実現を訴えました。
■暴走事故で7歳娘亡くした父が語る「命の大切さ」
30日の朝、京都府亀岡市で小学校に続く道を歩くのは、当時7歳だった娘・小谷真緒ちゃんをこの道で亡くした小谷真樹さん。
【小谷真緒ちゃんの父・小谷真樹さん】 「ほんの一秒、数秒、後ろを歩いていただけで、こうはなっていなかったのかなと思いますし。何千回、何万回と考えてきました」
2012年4月、車が集団登校の列に突込み、小谷さんの娘・真緒ちゃん(当時7)と、横山奈緒ちゃん(当時8)、付き添っていた妊娠中の松村幸姫さん(当時26)の3人が死亡、7人が重軽傷を負いました。 車を運転していたのは、無免許だった当時18歳の少年で、居眠り運転でした。
事件後、命の大切さを訴えてきた小谷さんは30日、初めて真緒ちゃんが通っていた小学校で講演することになりました。
【小谷真緒ちゃんの父・小谷真樹さん】 「ほんの数時間前まで、朝起きて、いつも通りの朝が始まって、笑顔で学校にいって、たった数時間で、こんな形で真緒と別れることがあると思っていなかった」
参加した保護者に、何気ない日常の大切さを伝えます。
【小谷真緒ちゃんの父・小谷真樹さん】 「前日に買った筆箱をあけてみると、ピンピンに削った、友達に自慢しようと思っていたのかなと思う鉛筆が5本入っていたり、マル付けのしていない漢字練習帳が入っていて…。私自身も悔しいし、真緒自身ものすごく行きたかったやろな、学校に来て友達と話したかったやろな、笑い合いたかったやろなと思って」
■誹謗中傷に苦しめられることなく…遺族に寄り添える社会を
小谷さんたちは無免許運転の厳罰化などを働きかけた結果、法改正が実現しました。 しかし当時、周りからの思いもよらぬ言葉に傷ついたといいます。
【小谷真緒ちゃんの父・小谷真樹さん】 「ニュース見てくれた人が、“有名人やな”と声をかけてきたり、なんぼか取材費もらっているのと…。一切そんなことはないのに、何も理解してもらえない言葉を」
SNSなどの誹謗中傷で苦しめられた遺族もいましたが、「事故が起きない社会にしたい」と活動を続けたといいます。
【小谷真緒ちゃんの父・小谷真樹さん】 「どれだけ受け入れようとしても、受け止め切れていないのが正直ところです。皆さんがきょう帰って、大切な人とともに過ごせる時間であったり、一緒に笑い合える時間、そんな時間を一緒になって考えてもらうきっかけになったらと。きょう1日だけでもいいので、命について考えてもらえたらと思います」
小学校では事件・事故などで命を奪われた人たちの写真と、生前使っていた靴で生きた証を伝えるメッセージ展も開かれ、真緒ちゃんの写真も並びました。小谷さんは命の大切さと、被害者に寄り添える社会を訴え続けます。
(関西テレビ「newsランナー」 2023年11月30日放送)