入試シーズン真っただ中です。夜遅くまで勉強していると、眠気覚ましのために「カフェイン」を取る受験生も多くいると思います。
知らず知らずにカフェインを取りすぎてしまって、カフェイン中毒になる恐れがあるので注意が必要です。そこで、北野病院救急科医師の平川昭彦さんに適量はどれくらいなのか、実は体にいいこともあるということを聞きます。
平川さんもカフェインを全く取らないということはないですよね?
【北野病院救急科 平川昭彦さん】「実は私、きょうの朝、コーヒー3杯飲んできております。ただ基本的にはそれ以外のカフェインはなるべくとらないようにしております」
■カフェイン中毒の症状は「イライラ」、「緊張」、「頭痛」、「胸の痛み」など
カフェイン量を示したものを用意しましたが、意外なものにもカフェインが入っています。
コーヒーには、1杯あたりカフェインが90ミリグラム入っています。
ほかにエナジードリンク1本あたり140ミリグラム、意外なところでは解熱鎮痛剤にも1錠あたり30~50ミリグラムのカフェインが入っています。
【北野病院救急科 平川昭彦さん】「解熱鎮痛剤以外にも一般の風邪薬や、眠気予防のお薬とかの市販薬に多く含まれております」
板チョコにも1枚あたり14ミリグラム含まれているという事で、知らず知らずのうちにカフェインを摂取してしまっているのです。
【北野病院救急科 平川昭彦さん】「日常的にたくさんカフェインを含んでいるものは、たくさんあると思います」
カフェインを摂取しすぎると中毒になるということですが、どのような症状が出るのでしょうか。
・精神的症状は「イライラ」「緊張」「焦り」「不眠」など。
・身体的症状は「頭痛」「胸の痛み」「吐き気」「手足の震え」など。
こうした症状にはカフェインがどのように作用しているのでしょうか?
【北野病院救急科 平川昭彦さん】「私たちの体の中には、興奮を抑える作用があるのですけど、その抑える作用を抑制するということで、より興奮状態になりやすくなります」
■中毒になる目安は一日の摂取量で大人はコーヒー10杯以上
カフェイン中毒になる目安が気になってきますね。
平川先生によりますと、カフェイン中毒になる目安は、大人なら1日1000ミリグラム、コーヒー10杯以上。カフェイン5000ミリグラム以上で危険な状態になるということです。
子供なら体重1キロあたり20mg、体重30キロなら600mg、エナジードリンク4本ほどでカフェイン中毒になるそうです。
ただし、体質にもよりますので、この目安の5分の1の量でカフェイン中毒になる人もいて、個人差があるということです。
こうした量のカフェインを1度に摂取すると危険ということですか?
【北野病院救急科 平川昭彦さん】「一気に飲むことによって体内に吸収されると、だいたい1時間ぐらいで血液中の濃度がピークを出しますので、そうするとそういう風な症状が一番出やすいと言うことです。また症状がある程度減ってくるまでに、だいたい6時間から8時間ぐらいかかると言われています。量を多く摂取すると、その時間がより長くなりますので、やはり1回で飲むのは危険だと思います」
■日本にはカフェインの摂取基準はない、海外の事例を参考に
摂取しすぎると中毒になるということですが、どれぐらい摂取してもいいのか目安も気になります。
適切な量も気になるところですが、実は、大前提として日本に明確な摂取基準はありません。国も、海外事例を引き合いに出し、注意喚起する程度にとどまっているということです。
今回は外国の基準で解説をしています。
大人ならヨーロッパの基準で1日カフェイン400ミリグラム、コーヒー4杯分ほど。
また、13歳以上の子供ならカナダでは基準で、体重1キロあたり2.5ミリグラム、体重50キロならカフェイン125ミリグラム、エナジードリンク1本ほどが摂取基準になり、13歳未満の子供には少量でも注意が必要とされています。
1日これぐらいのカフェイン摂取なら健康を害さず、中毒にもなりにくいと言えるのでしょうか?
【北野病院救急科 平川昭彦さん】「基本的にコーヒー2、3杯程度でしたら、中毒にはならないと思います。ただカフェインは肝臓で代謝されますので、肝臓の悪い人は量に関わらず、症状が出やすいということも生じます」
なぜ日本は基準を設けていないのでしょうか?
【北野病院救急科 平川昭彦さん】「実はカフェイン中毒になる人が、日本では10年から15年ぐらい前から急激に増えてまいりました。増えてきた原因の1つとしては、やはりエナジードリンクなど眠気予防のお薬とか、カフェインを含んだものが、大変増えてきたので、それによって中毒の患者が増えてきました。多分、今後、日本でも基準が作られるのではないかと思われます」
■カフェイン中毒チェックリスト、1つでも当てはまると…?
「もしかしてカフェイン中毒かも」と不安になっている方には、チェックリストがあるそうです。
カフェイン中毒のチェックリスト
・カフェイン飲料を1日4杯以上飲む
・カフェインを取らないと落ち着かない
・カフェイン摂取すると動悸、頭痛
・寝付きが悪くなった
・胃が痛くなることがある
こうした項目に1つでも当てはまれば、カフェイン中毒の恐れがあるのでしょうか?
【北野病院救急科 平川昭彦さん】「一概にはなんとも言えないです。これはカフェインを飲んだがゆえに、体に起こる症状であって、中毒ではないと思います。ただ、こういう症状が自分では耐えられない、もしくはかなり期間が長くなってきたということが起こってきたら、中毒といってもいいかもしれません。注意を要していただきたいと思います」
■適量のカフェインは認知症リスクを下げ、さらに足が速くなる!?
「newsランナー」のコメンテーターの菊地幸夫弁護士は「不整脈にカフェインがよくないと判断をしてコーヒーを飲むのを控えるようになった」と話しました。
【北野病院救急科 平川昭彦さん】「カフェインが動悸を生じさせるので、カフェインが原因の1つかもしれませんので、やめて正解かなと思います」
ただ、一方でカフェインには体にいい面もあるようです。
適量ならむしろカフェインは体にいいそうで、認知症予防になる研究結果もあります。
アルツハイマー病の原因とされるアミロイドβをカフェインが除去する効果があるといわわれていて、実際、新潟大学大学院の中村和利教授らの研究によりますと、1日3杯コーヒーを飲む人の認知症の発症リスクは、飲まない人の約半分(0.53倍)です。
【北野病院救急科 平川昭彦さん】「基本的に適量を摂取しますと、体の代謝を活性化させますので、そういう点では非常に良い効果がたくさんあると思います。ただ一方で、飲みすぎると、多くの摂取をしますと、そうでないことが起こってきますので、ぜひ注意をしていただきたいと思います」
さらに、足が速くなるという研究結果もあります。
立命館大学の橋本教授らの研究によりますと、体重1キロあたり6ミリグラムのカフェインを摂取して100メートルを走ると平均タイムが0.14秒短縮されたということです。
適量のカフェインは体にいい効果があるということだそうです。
■中毒症状で病院に行く必要はない カフェインは急に断たずゆっくりと減らす
ここで視聴者からのLINE質問です。
‐Q.カフェインを断つ方法は?
【北野病院救急科 平川昭彦さん】「カフェインをいきなりやめてしまいますと、リバウンドで違う症状が出てきますので、もし断ちたいという方がいらっしゃるのであれば、少しずつ減らしていただければと思います」
‐Q.カフェイン中毒は病院に行かないといけないの?
【北野病院救急科 平川昭彦さん】「基本的にカフェイン中毒の症状が出るよという場合は、基本的にはすぐに病院に行かなくて結構だと思います。ただ、これからひどくなると痙攣とか、いろいろな命の危険に携わるような症状が出てくる場合は、すぐに救急車を呼んで病院に行っていただければと思います」
‐Q.ほうじ茶、ウーロン茶のカフェイン量は少なめですか?
【北野病院救急科 平川昭彦さん】「一般的なお茶はコーヒーに比べて、だいたい半分から3分の1ぐらいのカフェイン量です。ただ私自身は、麦茶を飲んでおりまして、麦茶にはカフェインは全く入っておりません」
いま受験シーズンで勉強を頑張っている方も多いと思いますが、カフェイン摂取は適量にしてください。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年2月15日放送)