観光客の増加いわゆる「オーバーツーリズム」に悩む京都市が21日、新たな対策を発表しました。
人気の観光スポットだけに停車する「特急バス」の導入です。これによって街の混雑は緩和するのでしょうか。
■「バスに乗れない…」困る地元の人たち 深刻な「オーバーツーリズム」
20日の祝日、JR京都駅には、多くの観光客の姿がありました。そこには、目を疑うような光景が…
【記者リポート】「清水寺方面へのバス乗り場です、多くの人でにぎわっていて、最後尾が見えないほど列が続いています」
バスは満員御礼の状態で、次々と後続車が来るものの、一向に列は途絶えません。
【徳島からの観光客】「人多いなって、あんま徳島混むことないんで」
【海外からの観光客】「すごく長い列!だけど早く進んでいるわ、日本の交通システムは管理されていてすばらしいわね」
ただ、このバスを利用するのは、観光客だけではありません。
【地元の人たち】「ちょっと早めに出ようと思っているんですけど、人が結構並んでいたりするんで、時間ずれちゃったりはします」「地下鉄で行けばよかった。うちら地元のもんは地元で分けてほしい」
地元の人でさえも、バスに乗るのが難しい状況です。
そこで、清水寺までのバスを追ってみることに…
【記者リポート】「バス停で人が待っていましたが、乗客が多く、乗るのを諦めたようです」
次のバス停でも、車内を見て、困惑の表情。博物館三十三間堂前さらにその次のバス停でも…待っていた人は乗ることができませんでした。清水寺の最寄りである五条坂に着いてようやく人が降り始めました。
京都市では、こうした観光客の著しい増加、いわゆる「オーバーツーリズム」が深刻で、市民からは苦情が相次いでいます。
■解消に向け…“観光特急バス”導入 清水寺までノンストップ
そんな状況を打開しようと京都市は、全国でも珍しい新たな策を発表しました。それが「観光特急バス」です!
【京都市・松井孝治市長(2月26日)】「混雑緩和に向けた市バスの、増車、市民利用と観光利用のすみ分けに向けた観光特急バスの新設」
観光特急バスは、通常の路線バスと同じルートを走りますが、停車するのは、観光客に人気の場所だけです。
京都駅から清水寺まで、ノンストップで行くことができる路線と、清水寺、祇園、平安神宮、銀閣寺の4カ所のみに停車する路線の2つがあり、所要時間は最大で20分短縮されます。料金は大人一律500円(子ども250円)と、市バスの運賃のおよそ2倍の価格で、主に観光客の利用を見込んでいます。
【観光客たち】「ほかの(観光客が)少ないところに行こうとしている人がいつものやつ乗って分散できると思うんで、そういう面でメリットがあるかなと思う」「観光名所各々にパッといけるようなバスがあれば、自分が止まりたくないとこに止まって時間をつぶすこともないし、効率的に時間が使える」
地元の人も歓迎です。
【地元の人】「乗り降りとかがスイスイ行くんで。そうなったら楽やなって思います」
「観光特急バス」は、6月1日から、土・日・祝日で運行されるということです。京都市の新たな一手は、オーバーツーリズム解消へつながるのでしょうか?
■ 6月1日から運行も…“渋滞リスク”が高まるのでは?と懸念も
2024年6月から観光特急バスとして新設されるのは京都駅前を出発し、清水寺のふもとの五条坂までをノンストップで結ぶ便と清水寺・祇園・平安神宮・銀閣寺の観光地だけに停車する便の2つの路線です。いずれも土日祝のみの運行が予定されています。
運賃は通常のバスと比べて、およそ2倍となる一方で所要時間が京都駅前・銀閣寺間が44分から24分となるなど大幅に短縮されます。
ただ、特急バスが導入されることによる影響について懸念もあります。
土日祝日に運行される観光特急バスは京都駅前から清水寺までの便が1日16回、京都駅前から銀閣寺までの便が1日24回運行される予定です。
市は特急バス新設で市民の利用と観光利用をすみ分けたい狙いがありますが結局、バス増便によって道路が混雑し、渋滞リスクが高まるではないかという懸念もあります。
–Q:神崎さん、市民生活への影響はいかがでしょうか?
【関西テレビ・神崎博解説デスク】「観光客の人はスーツケースなど大きな手荷物を持ってバスに乗り込むので、乗るスペース自体が少なくなるといったクレームが結構あります。観光客は特急バスで、地元住民は普通のバスといったように、ちゃんとすみ分けができれば、そういった問題の解消にはつながると思います。渋滞ですが、確かにこれ増便するわけですから、一時間に行くバスの数は増えるので、渋滞するかもしれませんが、そんなに大きな影響はないんじゃないかなと思います」
特急バスの新設で市バスの混雑解消などは図れるのかもしれませんが、観光の分散化やマナー問題などそれも含めて、オーバーツーリズム課題の解決が求められます。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年3月21日放送)