学生が合宿先の旅館で、障子を破ったり、天井に穴を空けたりする動画や写真が、SNSで拡散した問題で、大学が事実であったことを認め謝罪しました。
■神戸大学の学生が不適切行為、大学側が会見で謝罪
3月25日午後4時から開かれた神戸大学の記者会見。
【神戸大学 大村直人副学長】「このたびは、本学学生の不適切行為により、皆さまには大変ご迷惑をおかけしておりますことを深くおわび申し上げます」
大村副学長らが謝罪したのは、学生が行った”迷惑行為”についてです。
【神戸大学 大村直人副学長】「学生の処分につきましては、春合宿に参加した学生への聞き取りを行い、大学としての調査結果をまとめた後、厳重に対処いたします」
■神戸大学非公認バドミントン同好会“BADBOYS”の評判と過去の迷惑行為
胴上げで天井に頭をぶつけたことで開いたとみられる穴、部屋の障子を破って顔を出している画像、旅館の備品を持ち出したとみられる投稿も。 これらの迷惑行為をしていたのは、神戸大学非公認のバドミントン同好会“BADBOYS”です。 神戸大学は先週、謝罪文を発表し、調査を進めていました。
在学生にこのサークルの学内での評判について聞くと…
【神戸大学の学生】「“飲みサー”ってイメージ、バドミントンしてるイメージはあんまりない感じ。1個上の先輩がBADBOYSはやめた方がいいみたいな、一般的に良くない印象があったんだと思います」
【神戸大学の大学院生】「評判下がって見られるので、ちょっと不快ですね。就活してるんですけど、父親から『内定取り消しにならないか?』みたいなことを、少し言われたり。大丈夫だったのですが、まだまだ、これから就活していく人もいると思うので、そういう人たちに影響がないか心配」
この春、入学予定の学生は、入るサークルをきちんと見極めたいと話します。
【神戸大学に入学予定】「問題になってるサークルみたいなのが、他にはないと思いたい。もしあるんだったら、引っかからないようにしたい」
さらに、関西テレビの取材でこのサークルは、過去に別の旅館でも、迷惑行為がひどかったため、出入り禁止になっていたことがわかりました。
【サークルが5年前に宿泊した北陸地方の旅館スタッフ】「無理やりお酒を飲ませて吐くとか、お部屋に備え付けのシャンプーを廊下にまき散らしたりとか、クローゼットの中に落書きをされてしまったりとか、お花を飾る花瓶の中にタバスコが入っていたりとか、ここまでひどいサークルはなかったですね」
■サークル幹部が認め、「春合宿中に3件の不適切な行為を確認」
神戸大学は25日の会見で“BADBOYS”の学生が3月10日から16日、春合宿中に宿泊した旅館で3件の不適切な行為があったことを発表しました。
【神戸大学 大村直人副学長】「(学生らが)春合宿中、宿泊先の旅館で障子を破る、胴上げして天井を破る、灰皿を倒して破損する行為を行いました」
大学の調査の結果、これらの行為は神戸大学に所属する学生、男女62人が参加した合宿で行われ、被害を受けた旅館の修復費用は相談中ということです。
なぜ、このような行為が行われたのかー。
【神戸大学 大村直人副学長】「事実確認しか、いましていないので、理由までは調査しきれてない」
(Q.何が聞けている?) 「SNSにあがっていることが事実なのか、何名参加して、内訳。内容が、事実か事実でないか、概要のみを幹部に聞いているのみ。詳しい理由は聞けてない」
(Q.聞き取りを行った幹部は何人?)「4人です」
(Q.事実関係を幹部は認めている?)「写真や動画が出たことは認めている。(幹部は)謝罪に行きたいという意向は示しているが、宿泊先はいま行くと、電話がかかってきていて、状況がよくないので、控えてくれと、実際にはいけていない」
神戸大学は旅館に対して謝罪したということです。 学生らの処分については聞き取りを早急に終了させたあと、厳重、厳正なる対処を行うとし、それまでは活動停止を通告したということです。
■会見で明らかになったのは「迷惑行為を認めた」、未成年飲酒については調査中
神戸大学の会見は、現在も続いていますが、SNSで拡散していた迷惑行為について、今回の会見で新しく分かったことを教えてください。
【大野雄斗記者】「会見で認められた事実としては、障子を破る、胴上げをして天井を壊す、灰皿を壊すといった、SNSで投稿されていた写真や動画について、幹部の学生4人が認めたということです。もし、この迷惑行為に至るまでに、未成年の飲酒があったとしたら、問題はより深刻となってくるのですが、現段階では未成年の飲酒があったかは分からないとしています。ただ大学側も慎重に捉えていて、未成年飲酒があったかは、厳正に調査を進めているということです」
「また関西テレビの取材では、5、6年前にも、ほかの旅館でも迷惑行為があったことが分かっています。大学側も5年ぐらいなど、できるだけさかのぼって、ほかの迷惑行為があったかどうかは調べたいとしています。このサークルは1970年に設立され、かなり歴史の長いサークルですが、現在は当該のサークルを活動停止の処分としていて、学生の処分については、退学なのか、停学なのか、あるいは厳重注意にとどまるのかは、今後慎重に判断をするとしています。過去には迷惑行為で停学3カ月になった学生がいましたが、そういった過去の事例と照らし合わせながら、今回の春合宿に参加した全員に聞き取り調査をして、判断されるということです」
処分はこれからということですが、壊されてしまった物品や施設について、旅館側への弁償をどうするのかについての話は出ましたか?
【大野雄斗記者】「現状、どれだけの被害額があったかなどは明かされていませんが、いま旅館側と大学が話を進めていて、弁償する方向で話が動いています」
大学側の再発防止策についてはどのような話がありましたか?
【大野雄斗記者】「全ての学生に対して、文書で注意喚起を行ったほか、今後はサークルなど課外活動の団体の代表者を集めて、改めて注意喚起を行いたいとしています。今回、顧問の先生も合宿をいつ行っているかとかは把握されていましたが、具体的なことまでは知らなかったようで、こういった啓発活動が大事になると会見で話が出ていました」
■学生の処分は「停学」「退学」もあり得る
処分については、今後発表されるということですが、どんな処分になっていくのか、専門家に聞きました。 大学ジャーナリストの石渡さんは、「暴走を止める立場にあるサークルの幹部クラスは、軽くても3カ月前後の停学処分、重ければ退学処分もあり得る。旅館の備品を持ち出すなどした学生も、重い処分になる可能性がある」ということです。 大学側が学生のサークル活動を把握するのは難しい所もあるのでしょうか?
【関西テレビ 神崎博報道デスク】「大学がサークル活動に関与しいたかというのは、多分大学によって関与の度合いが違うと思います。例えば、日本大学のような体育会という、大学の組織の中にあるところであれば、大学の関与する度合いが高いと思います。今回はサークル、しかも非公認ということなので、どこまで関与していたか、もしかしたら関与度合いが、かなり薄かったのかなと思います」
■学生が迷惑行為を行う代償「奨学金」「就職活動」
迷惑行為を行った事実は、学生たちの今後に大きく影響してきます。
大学ジャーナリスト石渡さんに聞いた迷惑行為の代償の可能性について
・奨学金
奨学金の種類によっては、3カ月以上の停学で奨学金が取り消しになる可能性もあります。さらに返還を求められる場合もあるということです。
・就職活動
最近ではSNSで学生を調査する企業もあり、過去に迷惑行為を行っていたと分かれば、内定取り消しなどの対応がとられる可能性もあります。
仲間内でのノリがこれだけ大事になってしまうということ、学生の皆さんの自覚はもちろんですが、できれば、家族でも話してもらいたいようなことです。 若気の至りでは済まされない行為、どんな処分が出されるのか注目したいと思います。
(関西テレビ「newsランナー」2024年3月25日放送)