国は、主に児童相談所が判断のよりどころとしてきた児童虐待対応のマニュアルから「揺さぶられっ子症候群」の診断基準に関する記載を近く削除する方針であることが分かりました。
国は、赤ちゃんに硬膜下血腫などの一定の症状があれば「激しい揺さぶり」を第一に疑うべきとする虐待対応マニュアルを11年前に作成しこれまで見直しを避けてきました。
しかし2018年以降刑事裁判で揺さぶりではなく、家庭内の事故や病気で出血した可能性が高いなどと判明し、10人に無罪判決が確定。マニュアルの見直しを求める指摘が相次いでいました。
2020年の参院予算委員会では…
【伊藤孝江参院議員】「受傷機転(けがの原因)不明で、硬膜下血腫を負った乳幼児が受診した場合は『必ずSBS(揺さぶり)を第一に考えなければならない』という記載があります。手引き(マニュアル)の記載、全て医学的に正しいものだという判断を厚労省はされているのか」
【厚労省・渡辺由美子子ども家庭局長(当時)】「学会レベルで大きな議論が呈されているとは私ども現時点では承知はしておりませんが、児童相談所における対応という観点から研究を進めてまいりたい」
こども家庭庁はマニュアルから「揺さぶられっ子症候群」の診断基準に関する記載を全て削除し、複数の診療科の医師にセカンドオピニオンの依頼を促す改正を近く行う方針であることが分かりました。
「揺さぶられっ子症候群」の診断基準を検証してきたプロジェクトの代表は…
【SBS検証プロジェクト・秋田真志共同代表】「手引きが誤っていたというそれを正面から認めるのではなくとりあえず削除しましたと。根本的な問題にさかのぼってやったというふうには見えないですよね」
秋田代表は、「ゼロベースで診断基準を見直す議論が必要だ」と話しています。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年3月29日放送)