関西テレビでは紅麹サプリを摂取し、体調不良を訴えている人や患者の治療にあたった医師を取材しました。 体にどんな異変があったのでしょうか?
■「おしっこに泡、体がだるい」いままで異常のなかった腎臓の数値がAからDへ
【「紅麹コレステヘルプ」を摂取していた人(40代)】「去年の10月ごろに、体調がまずおかしくなったのが、おしっこに泡が出だした。おしっこがおかしくなって、体も何かだるい」
関西テレビの取材にこう答えるのは、小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」を定期購入していた40代の女性です。
コレステロールの値を下げるため、2022年4月から、2023年の10月まで、毎日欠かさず1日3粒飲んでいたところ、突然、身体に異変を感じました。
【「紅麹コレステヘルプ」を摂取していた人(40代)】「とにかく体がだるくて食欲が減って、土曜日・日曜日、仕事がお休みの日は、家でじっと寝ていないといけないぐらい、しんどかったんです。いままで、ずーっと何も異常がなかった腎臓が、(会社の健康診断の)数値が1年の間にAからDというのは、結構悪い数値なんだと思う」
病院に行くと「年齢的なもの」や「疲れか何かか」と言われましたが、再検査のため病院の待合室にいたとき、今回の問題を知りました。
【「紅麹コレステヘルプ」を摂取していた人(40代)】「なんでこんなに急に悪くなるんだろうなという疑問が、常に自分の中にあったので、テレビを見たら『あ、これだったの』と」
■「紅麹」サプリを摂取していた患者を診察した医師は「因果関係がないとは言えない」
また大阪の病院でも、紅麹コレステヘルプを飲んでいた別の女性が腎臓機能の悪化で受診。 診察した医師に話を聞きました。
【大阪市立総合医療センター腎臓・高血圧内科 濱田真宏医師】「2023年6月からことし1月まで飲まれていて、1月に体調不良で受診されると、腎臓の機能が悪くなっている、尿たんぱくが出ていますということで」
受診したのは40代の女性で、吐き気や胃腸炎の症状があったということで、腎臓の組織をとる検査をしたところ。
【大阪市立総合医療センター腎臓・高血圧内科 濱田真宏医師】「尿細管間質という部分が、かなりダメージを受けていて。それが薬とか毒素によるダメージを受けることが多い部分で、原因がその時点では、分からなかったが、そういう変化はありました」
女性がサプリメントを飲むのをやめると、幸い腎臓の力が回復してきて、現在は経過を観察しています。
【大阪市立総合医療センター腎臓・高血圧内科 濱田真宏医師】「元々健康な方で、サプリメント飲んでから腎臓が悪くなった、やめたことで腎臓の力が少し回復しているのを合わせると、因果関係がないとは言えない」
この病院では問題が発覚した後、患者に提供している病院食に「紅麹」が含まれていないかを調べる作業にも追われましたが、当該の「紅麹」の使用は確認されなかったということです。
■腎疾患の症状「尿が少なく」「むくむ」 サプリを摂取して気になる症状がある方は病院で受診を
サプリを摂取していた方の声もありましたが、健康にいいものと思って飲んでいて、こういった状況になるというのは、衝撃が大きく、当該のサプリを摂取したことがある方は、本当に不安を感じていると思います。
腎疾患の症状についてまとめています。厚生労働省によると…。
・尿が少なくなる。
・むくみの症状が出る。
大阪市立総合医療センター腎臓・高血圧内科 濱田真宏医師によると、尿細管は、薬や毒素でダメージを受けやすく、腎臓の機能不全につながるということです。尿が泡立つなど、気になる場合は、血液や尿検査を受けてください。
影響が広がっていることについて、番組コメンテーターでジャーナリストの浜田敬子さんは、「きょう、やっと死亡された方の年齢が発表になり、できる限り早く、できる範囲で情報を公開していただきたい。持病がある方や、どういった傾向のある方に、より深刻な影響が出ているのかによって、サプリを摂取したことがある方が病院に行くきっかけになると思う。もう1つは、やっぱりサプリだから健康にいいと思って飲んでいる。成分が濃縮されているあまりに、被害が拡大したのかなと。いま指摘されている、機能性表示食品というものの安全性は事業者側で担保しなければいけないということで、この制度自体の見直しという、議論にもなっている。そういうことも含めて、行政も国も安全性の見直しをしていかなければいけない」と言います。
機能性表示食品は国の審査を受けずに、安全性は事業者にゆだねられています。事業者としての責任は重いと言えます。
【ジャーナリスト 浜田敬子さん】「本来であればそうだったと思いますが、今回のことを契機に、今一度、審査の仕組みはこれでいいのかということと、経済成長のために、ある種の規制緩和をしてこうした商品を作ってきたことも含め、今後のあり方は検討する必要があると思います」
行き過ぎた規制緩和になっていたのではないかという議論がこれから起こってくるかもしれません。
【関西テレビ 神崎博報道デスク】「今回のような事案があり、危機対応に関してはメーカー任せではなく、健康に関わることですので、国が関与して、ある種規制を強化して、何か問題があればメーカー側に対して国がもっと強く出るなど、もしかすると審査の時点で、一定の国の関与が必要になってくるかもしれません」
小林製薬の当該製品を摂取し、体調不良を感じられた方は、健康相談受付センターまでご相談ください。
小林製薬 紅麹健康相談受付:0120-880-220
厚生省 コールセンター:03-3595-2760(午前9時~午後9時)
(関西テレビ「newsランナー」2024年3月29日放送)