■ヤマト運輸などで「置き配」での受け取りが可能に
宅配大手「ヤマト運輸」の宅急便などで、10日から「置き配」での受け取りが可能になります。
その背景には一体何が?配送ドライバーへの密着取材で、課題が見えてきました。
6月10日から、ヤマト運輸が、本格的に解禁した「置き配」。
さっそくスタッフが頼んでみると…
【記者リポート】「事前に置き配の指定をしていたのですが…あ、ありました!家の前に荷物が届いています」
無料会員サービスに登録し、事前に指定すれば、家にいない時間でも、玄関前などに荷物を置いてもらうことができます。
ヤマト運輸では、これまでにも一部商品では「置き配」が可能でしたが、今回、「宅急便」や「宅急便コンパクト」などの主力商品で、「置き配」を選ぶことができるようになりました。 配送の大手企業が「置き配」を導入する理由とは?
■配送ドライバーの一日に密着
背景にある課題を探るべく、京都市内の、配送ドライバーの1日に密着しました。
【配送ドライバー四方冬千さん】「朝の荷物がこんな感じです。だいたい150から160くらいある」「朝の時間指定が結構ある。日曜日ということで、配送も急がなあかん」「頑張って配りたいなと思います」
ドライバーの四方冬千さんは、3年ほど前、この仕事を始めました。
【配送ドライバー四方冬千さん】「委託のドライバー個人事業主の形になっている」
配送の時間指定を行う人も多く、四方さんは、時間通りに荷物を届けるため、街中を走り回ります。
【受け取り時間を指定した人】「お茶会に行って帰ってきたところなんです」「確実にいる時間だからという理由で(時間指定を)お願いしています」
【配送ドライバー四方冬千さん】(Q体力いりますね)「そうですね。特にこれからの季節暑くなってくるので」
■荷物の受け取り主の不在が続く…
しかし、配送を続けていると、ある問題が・・。
【配送ドライバー四方冬千さん】「いなかったですね」「このお客さん、午前指定かけている。でもいなかった」「寝ているということもあるかもしれません」
その後も、荷物の受け取り主が不在というケースが、相次ぎます。
【配送ドライバー四方冬千さん】「まぁまぁしょうがないですね。この方やと、一昨日からずっと不在」「一昨日、昨日、今日で」「3日連続で不在になりますね」
■一年間の再配達数は、5億個にも
実は、厚生労働省によると、1年間で再配達される宅配便の数は、実におよそ5億個。 荷物全体の1割ほどが、受け取り主の不在などにより、再配達されています。
ドライバーの時間外労働が制限される、いわゆる「2024年問題」の中で、この5億個の荷物が大きな障壁となっています。
■問題解決のために「置き配」に注目
四方さんに業務を委託する企業は・・。
【万事屋うっちゃん・内田巧代表】「不在があれば、再度、行かなければならない」「労働時間が伸びてしまう」「本来なら運びきれる荷物が、運びきれなくなる」「そうなると、消費者に荷物が届かない」
こうした問題の解決のために、いま「置き配」に注目が集まっているのです。
【万事屋うっちゃん・内田巧代表】「時間を選ばない、場所も選ばない、再配達する手間もかからない」「各社様が、置き配サービスを普及されることには、とても期待感があります」
■1日の不在荷物、40個
また、四方さんのようなドライバーには、受け取り主の「不在」問題の影響が、さらに大きくなっています。
8時間ほどかけて、全ての荷物を運び終えた四方さん。 しかし、午後6時ごろ、車の中を見てみると、再びたくさんの荷物が。
【配送ドライバー四方冬千さん】「きょう出た不在預かった分があるので」「あわせて40くらいは」
■個人事業主のドライバーは残業規制の対象外
実は、個人事業主のドライバーは、2024年問題の残業規制の対象外。
そのため、社員のドライバーが、受け取り主の不在によって、日中に運びきれなかった荷物を、四方さんたちがまとめて受け取り、夜遅くまで、配送を続けるというのです。
【配送ドライバー四方冬千さん】「夜もう1回ふんばって頑張る」「時間に追われている感じは、去年よりは増しているかなと思います」
■社員ドライバーの残業規制が厳しくなり、個人事業主ドライバーへの負担が増える…
2024年問題をきっかけに、こうしたドライバーへの負担は、さらに増えているといいます。
【万事屋うっちゃん・内田巧代表】「夜間にどかんとくるとんでもない(量の)荷物が」「僕らが(事業を)始めたころは約20個、いまは多いときで80個。約4倍」「委託のドライバーで配達するために、社員さんのドライバーは時間が足りないので、あがってもらって、その分委託のドライバーで配達すると」「規制の時間内どころではない、ドライバーもたくさんいる」「その方たちが(配送を)支えていると言ってもいいんではないですかね」
■「置き配の広がり」に期待
結局、四方さんたちが荷物を配り終えたのは、午後9時ごろ。 さらにこのあと、事務作業などをこなします。
そんな四方さんも、置き配の広がりに、こう期待を寄せました。
【配送ドライバー四方冬千さん】「(置き配が広まると)トータルの時間でいうと、結構変わってくる」「置き配っていう制度は、そこにおいては、配達員としては助かるかな」「こういう形で配っている人もいるんだなと知ってもらうことで、状況が変わってくれるのであれば嬉しいかなと思います」
■一方、専門家からは課題の指摘も…
一方で、専門家は、「置き配」が広まるためには課題もあると指摘します。
【東京経済大学経営学部・宮武宏輔准教授】「置き配が当たり前になると、置き配を狙う(盗む)っていうのは、アメリカでも問題になっている」「また、日本の場合は再配達が無料での標準的なサービスになっちゃってるので、どこもやめる選択肢を取りづらい」「受け取り側が(置き配を)選択してくれないと、かなり限定的にはなってしまう」
「置き配」という、新たな荷物の受け取り方の選択肢。 配送業界の未来を守るためにも、一人ひとりがドライバーの負担にならない選択肢を選ぶことが求められます。