自転車と車の事故でも、自転車の責任が100パーセントとなり、損害賠償を命じられるケースもあるといいます。
事故が起きたのは、兵庫県西宮市の交差点。当時、10歳の児童が運転する自転車と車が衝突しました。 車側の信号は「青」で、自転車側は「赤」、児童が信号無視をしたのです。
■信号見えづらいが…「自転車側の過失100%」の判決
現場を取材すると…。
【記者リポート】「事故があった交差点は歩行者用の信号はなく、車用の信号を見るしかありませんが葉っぱでとても見えづらくなっています」
一方、車側は…。
【記者リポート】「青信号を確認して車がゆっくりと徐行しながら直進したところ、赤信号を無視してきた自転車とぶつかりました」
車は左側に「塀」があり視界が悪く、徐行して交差点に進入したということです。車はほぼ停止状態だったため、児童にけがはありませんでした。 裁判では、自転車側の過失が100パーセントという判決となり、児童側に13万円ほどの賠償金が命じられました。
■「車はやれることをやっていた。自転車の厳罰化という風潮も」
車の進行方向は青信号、一方で児童側は信号が赤になっていました。自転車の児童側は木で信号が見えにくかったという主張がありましたが、車の運転手は「事故の回避は不可能だった」としています。
一方、自転車側は「車が慎重に運転するべきだ」と主張しています。
裁判所は、『車は徐行していた』、『自転車は信号無視』、『車が飛び出しの予見をできたとは言えない』と判断し、自転車の過失が100パーセントになりました。 裁判所が修理費用などの賠償を命じましたが、今は自転車側が上告している状況です。 児童側は上告中です。
【菊地幸夫弁護士】「自転車と車を逆にして考えると、車が信号無視をした、信号に従った自転車と接触した。この場合、車の過失はおそらく100パーセントになるんですね。
立場を変えて自転車が赤信号だった場合ですが、今までは自転車は80パーセントぐらいの過失。車にもそういう事態を想定しなきゃダメでしょと、20パーセントぐらいの過失が認められることが多かった。
しかも自転車を運転していたのは児童。今までは運転手が児童だったら『しょうがないよね。子供だから』と自転車側の過失を少し軽くする要素だったんですね。
にもかかわらず、今回100パーセントなのは、おそらく車がやれることはやっていたと。徐行してほとんど停止状態でぶつかった。だからそれ以上、気を付けろと言えない事情があった。それから自転車の厳罰化という風潮の後押しもあったかもしれないですね」
■多額の賠償金の可能性も 運転マナーの認識アップデートを
運転していたのは10歳の児童で責任はないということですが、保護者の責任として教育する責任は感じますよね。
【犬山紙子さん】「一人で自転車に乗る歳ですから。車が徐行してくれていたから子供の命にも別状がなかったと思うんですよね。だから命を守るためにも、誰かほかの人をけがさせないためにも、過失が100パーセントになることもあると、子供にわかりやすいように、保護者が説明して必要があると思います」
【関西テレビ 神崎博解説デスク】「今回のケースみたいに子供が運転していて、多額の賠償を求められることがあったりするので、自転車の保険があるんです。子供が運転する場合は自転車の保険に入ってもらいたいと思います。 中には自分のけがしか補償しない保険もありますので、ちゃんと相手側の補償ができたり、相手の物を壊した分も補償できるなど、保険の内容をちゃんと確かめて契約されるのがいいと思います」
自転車は最も身近な交通手段とも言えますが、認識をアップデートして、運転マナーの向上につなげていただきたいと思います。
【菊地幸夫弁護士】「多額の賠償、数千万あるいは億というような事故が起きていると、皆さんちゃんと認識したほうがいいと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2024年11月21日放送)