女性が売春目的で路上に立ついわゆる「立ちんぼ」
大阪・梅田の一角の客待ち行為が横行している場所に警察などが対策を始めました。
その効果はあるのか。立ちんぼに至る背景とは。
【記者リポート】「今、水族館をイメージした鮮やかな絵が地面に貼られました。路上の雰囲気ががらりと変わります」
大阪市北区太融寺町の一角にある路地。
今月、この道路が100メートルにわたって「黄色」に塗られ、その上に「魚などを描いた絵」もラッピングされ、明るく生まれ変わりました。
目的は何なのか…。 その背景には、警察も頭を抱える細い路地に潜む問題があります。
■道路が舗装される前は“立ちんぼ”とみられる女性の姿が
先月28日道路が舗装される数日前、夜の時間帯に一本道をのぞいてみると…路上に立つ3人の女性の姿が。
待ち合わせをしているようにも見えますが、離れた場所で様子を見ていると…
【記者】「今、男の人が女の人と交渉しているように見えます。2人で歩き出しましたね」
距離をあけて歩き出し、姿を消した2人。
■立ちんぼは大半が20代で、18歳もいるという
さらに…
(Q:カンテレの記者ですけど)
【女性】「嫌や」
(Q:捕まるリスクあるが?)
【女性】「どっか行って」
取材しようと話しかけた記者がその場から立ち去ると…
近くで待っていた男性がすぐに女性に駆け寄り…2人が入った先は、ホテル。
女性らは売春目的の客待ちをするいわゆる“立ちんぼ”とみられます。
2人は料金などの交渉をしていたのでしょうか。
警察によると、このエリアには10年以上前から立ちんぼをする女性がいましたが、最近は若い女性が増え大半が20代で、なかには18歳もいるといいます。
■警察のパトロールに密着
9日に行われた警察のパトロールに密着。
すると別の班から「立ちんぼをしているかもしれない女性がいる」との連絡が。
現場に向かうと…
【警察】「名前は?何回も職質されてるやろ?」
【女性】「いやいや、最近別に来てないんで、されてないんですよ」
警察が女性になぜここに立っていたのか、理由を聞くと…
【女性】「いまから私ご飯食べに行くだけなんで」
【警察】「(男性に)声かけられたでしょ?」
【女性】「それは公衆トイレ教えただけですよ。いまここ歩いてて、私がずっと携帯見ながら歩いてたからなんか探してるのって言われて、探してないですって言って」
■なぜ逮捕のリスクがある立ちんぼをするのか
立ちんぼで売春行為が認められれば犯罪。
大阪府警はことし1年、この通りだけで30人を逮捕しています。
では、なぜ逮捕のリスクがある立ちんぼをするのでしょうか。
話を聞くと…
(Q:いくらくらいでやっている?)
【女性】「相場くらい」
(Q:相場どれくらい?)
【女性】「言ってって」
(Q:1万5千円ぐらい?)
【女性】(うなずく)
(Q:なんで立ってる?稼ぎたくて?)
【女性】「そうそうそう」
(Q:どれくらい1日(客)とってます?)
【女性】「3~5人くらい」
女性は「生活費のため」と口にしました。
■1日に6万円稼ぐという女性に話を聞いた
1日にどれくらい稼ぐのか、他の女性にも聞くと…。
(Q:稼げているのでは?)
【女性】「1日6万ちょっと」
(Q:やめようとは?)
【女性】(うなずく)
(Q:なぜ?)
【女性】「そんな思わない」
■風俗店により「自由」という理由で“立ちんぼ”を選ぶ女性 危険な目に遭うことも
お金を稼ぐ手段は数あるにもかかわらず、“立ちんぼ”を選ぶ理由について、繁華街でトラブルを抱えた女性を支援する団体はこう指摘します。
【一般社団法人青母連 田中芳秀さん】「彼女たちがよく言うのは、自分たちで客を選べる。風俗とかで働くと来た客を相手にしないといけませんから。あと、風俗店だと何時から何時と拘束されるが“立ちんぼ”だと自由」
その一方で、危険な目に遭う女性も多いといいます。
【一般社団法人青母連 田中芳秀さん】「路上で買うってことは、お店でできないことをやろうとしているので非常に危ない。路上に立っている時に殴られているとか、ホテルに入った時に殴られてお金も払わずに逃げられるとか、しょっちゅうありますね」
■“立ちんぼ”に関する苦情が多くなったのはことしに入ってからだという
【警察】「売春目的で客待ちをしている皆さん、その行為は犯罪です」
警察関係者に話を聞くと、地域住民から“立ちんぼ”に関する苦情が多く寄せられるようになったのは、ことしに入ってからでその背景については…
【大阪府警関係者】「ホストで“売掛”をして、大きなお金が必要になり、路上に立つ子が多くなった。違法だとわかっていてもすぐにその場でお金が貰える“立ちんぼ”をするしかなかった」
■“道路を明るくして絵柄を飾る”という対策の効果は
こうした状況が続けば地域の治安悪化も懸念されるため、警察が専門家などと乗り出した新たな対策が…。
【科学警察研究所・犯罪予防研究室 島田貴仁室長】「(絵を)貼ってみません?置いてみましょうか、確かにこうすると、これをわざわざ踏む気にはならないでしょうしここに立つ気にもならないでしょうね」
「目立つ場所を嫌がる人間の心理」を利用し“道路を明るくして絵柄を飾る”という対策だったのです。
今月3日には、細い路地が鮮やかな「黄色」に塗られました。
少し前までは“立ちんぼ”が多くいた場所も…
9日、再び訪れると夜8時から0時までに立っている女性の姿はありませんでした。
■対策をされていない道路には女性たちの姿が
しかし…まだ対策されていない道路を取材すると道路が黄色くなる前に立ちんぼをしていた女性たちの姿が。
【記者】「すいません」
【女性】「なんかみたことある。記者やろ?」
(Q:今は立っているわけではない?)
【女性】「今はとかじゃなくて、立ってないやん、どいて」
女性は「立ちんぼはしていない」と否定しましたが、このことについて警察に尋ねると…。
【曽根崎警察署生活安全課 北川龍課長】「まずここをやりましたけど、隣の筋に移っているならば、地域の皆さんと情報も共有して取り組んでいきたい」
犯罪行為となる“立ちんぼ”。 この対策は街の浄化に繋がるのでしょうか?
(関西テレビ「newsランナー」 2024年12月10日放送)