京都大学が世界初の発見です。「チンパンジー」は仲間のおしっこにつられる「つられション」をするという研究結果が明らかになりました。
「京都大学野生動物研究センター」の大西絵奈さんらの研究グループは、チンパンジー20頭を604時間観察した結果、1頭が排尿をすると他の個体も続けて排尿する、伝染現象があると明らかにしました。
■近い距離にいると、つられて排尿しやすい
研究施設では右端に座った1頭が排尿すると、すぐそばにいた1頭も排尿し始めました。
これが世界初の発見、チンパンジーの「つられション」です。
「つられション」はチンパンジー同士が3メートル以上離れているときよりも、片腕ほどの近い距離にいるときの方が、2倍近くつられて排尿しやすいことが分かったということです。
また、集団内の順位が低いチンパンジーほど、つられて排尿する傾向があることも分かりました。
■本当に「つられション」するのか?
チンパンジーは本当に「つられション」しているのか?
21日、京都市動物園のチンパンジー6頭の前に記者が張り込むこと4時間…。
2頭の兄弟を観察していると、まず兄がおしっこをしました。
すると近寄ってきた弟が「つられション」をしたとみられる瞬間をカメラがとらえました。
■人の「つれション」とチンパンジーの「つられション」は同じではない
【京都大学 野生動物研究センター 大西絵奈さん】「私が本研究の中で一番大きな学びだったなと実感しているのは、何気ない行動の中に、複雑な社会進化の鍵が隠されている可能性があるということです」
この結果は今後、あくびなど他の伝染現象のメカニズムの解明にもつながる可能性があるということです。
なお、人間の「つれション」は仲の良さや絆の現れといった側面がありますが、チンパンジーの「つられション」には仲の良さは関係がなく、「おしっこがうつる」という伝染現象であって、この2つには進化的なつながりがあるかもしれないけれども、同じ現象とはいえないということです。
(関西テレビ「newsランナー」 2025年1月21日放送)