■決定的なミスは「コンプラ部門と情報共有しなかったこと」
中居正広氏と女性との問題を巡るフジテレビの対応では、企業のコンプライアンス対応の重要性が改めて浮き彫りになった。関西テレビ「とれたてっ!」に出演した弁護士の橋下徹氏は「決定的なミスは、コンプライアンス部門に情報共有をしなかったということ」と指摘する。
【橋下徹氏】「フジテレビもそうですし、一部上場企業もみんな同じ悩みを抱えながら乗り越えられていない企業も多いが、コンプライアンス部門というのはどんな事情であったとしてもとにかくまずヒアリング、事実確認をする。決定的なミスは、コンプライアンス部門に情報共有をしなかったっていうことなんですよ」
■港社長も大多専務も「個人ではなく会社の機関」
フジテレビは女性のプライバシーや人権を考慮し、事実確認を控えたと説明している。しかし、橋下氏はこの対応を厳しく批判した。
【橋下徹氏】「女性側の方をまず第一に考えて、女性のプライバシー、女性の人権、それから女性のその時の状況、これを見ると簡単に色々動かすことはできなかったって言うんですけども、だめなんです、それは。色々女性が、秘密にしておきたいとかプライバシーを守ってほしいと言ったとしても、社として、これはコンプライアンスの問題となれば、これはコンプライアンスっていうのは個人の問題を超えて社会全体の問題に関わってくる」
【橋下徹氏】「女性に対してちょっときつく聞こえるかもわかりませんが、ただ、女性の人権プライバシーっていうのは、社が公にしなければ守られる。社としてはやっぱり女性に丁寧にヒアリングをしていく、中居氏にも丁寧にヒアリングしていくっていうのは、これも絶対マスト。必要不可欠な条件ですよね」
「丁寧に説明しながら、しっかり説明をして、もちろん、女性側の方のプライバシー人権ももちろん重要だけれども、これは場合によっては社会全体に影響する話なので、しっかりとこれは聞き取りをさせてくださいと。その代わり絶対にこのメンバー以外には出しませんからと。
港社長(当時)や大多専務(当時)は個人で情報をとどめようとしたが、2人は会社の機関なのだから、コンプライアンス担当の遠藤副会長も入った限られたメンバーの中で情報を扱うので、『しっかりと聞き取りをさせてください』と当事者に聞き取りをやらなくてはならない」
■当事者間の守秘義務はヒアリングできない理由にならない
調査にあたって当事者間で示談が成立し、守秘義務があることについても、橋下氏は調査を拒む理由にならないと指摘します。
【橋下徹氏】「いろんな意見はあるが、守秘義務だけを盾にとってしゃべらないというステージではいまない。正当な理由がある場合には、守秘義務をずっと守っていくのは違うのではないかという議論もあるし、守秘義務があるといいながら、どんどん新しい話がでてきている現状を考えると、守秘義務の効力がなくなったとみなしてもいいんじゃないかという判断もできる。正当な理由がある場合というのは法律の解釈で十分できる」
■フジと文春は言論で対峙した スポンサーも冷静になるべきでは
橋下氏は企業がフジテレビへの広告出稿を一斉に控えている現状について、スポンサー側も冷静になるべきではないかと指摘します。
【橋下徹氏】「民主主義としてはある意味、健全だったと思います。文春が確かに間違った部分があったけれども、ここ切り込んでフジテレビの問題性を炙り出した。実際に色々問題あったかもわからないから今検討している。
今度は文春の記事に関しても『おかしいじゃないか』ということで、やっぱり言論で指摘があって文春も訂正をした。
こういう形でかなり激しいバトルがあったけれども、民主主義、言論の中でこういう、やり取りがあったのだから、一度スポンサー企業も冷静になって、ちょっとCM出稿停止というのは、いったん元に戻して、フジテレビのコンプライアンス違反、コンプライアンス体制の検証と文春の(報道に対する)検証、これを丁寧にやっていくとことでいいのではないか」
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2025年1月29日)