2023年、和歌山市の演説会場で岸田前首相が襲撃された事件で、殺人未遂など5つの罪に問われている木村隆二被告(25)の裁判員裁判が始まりました。
木村被告は罪状認否で起訴内容について、「殺意はありません」と殺意を否認しました。
また弁護側は、「犯行前に山林で行った実験で、人を死傷させる威力はないと思っていた」と主張しました。
一方で火薬や刃物を持っていたことは認めましたが、選挙期間中とは知らなかったので、選挙を妨害する意図もなかったと話し、公職選挙法違反の罪についても否認しました。
■岸田前首相の足元付近に銀色の爆発物が投げ込まれる
事件が起こったのは2023年4月15日、和歌山市の雑賀崎漁港で行われていた岸田前首相の演説会場。
岸田前総理の足元付近に銀色の爆発物が投げ込まれ、大きな爆発音とともに白い煙が立ち込め、あたりは騒然となりました。
このとき身柄を取り押さえられたのが木村被告でした。
■殺人未遂など5つの罪に問われる
起訴状によると、木村被告は、兵庫県内の自宅などで自作の「パイプ爆弾」を2つ製作。
演説会場で1つを投げ込んで爆発させ、岸田前首相らを殺害しようとして、2人に軽傷を負わせた殺人未遂など5つの罪に問われています。
・火薬類取締法違反
・爆発物取締罰則違反
・公職選挙法違反
・殺人未遂
・銃砲刀剣類所持等取締法違反
■争点は「殺意があったかどうか」 爆発物に殺傷能力があったのか審理されるとみられる
捜査段階で木村被告は一貫して黙秘を続けていて、動機などは明らかになっていません。
こうした中で初公判で木村被告は「殺意はありません」と殺人未遂罪について、殺意を否認しました。 そのため、公判の中では投げ込まれた爆発物に殺傷能力があったのかなどが審理されるとみられます。
また木村被告は、年齢要件や供託金制度を理由に2022年7月の参議院議員選挙に立候補できなかったのは不当だとして、国を相手に民事裁判を起こし、事件後に敗訴が確定しています。
刑事裁判の中で動機について語られるか注目されます。
■「不適切な取り調べ」弁護士が最高検に抗議も 5回の公判で何が語られるか
また木村被告をめぐっては、和歌山地方検察庁の検事から自宅に引きこもる生活をしていたことを引き合いに、「社会に貢献できない中で、必死に外に出て社会にマイナスをうむ」などと、人格を攻撃するような取り調べを受けたとなどとして、弁護士が不適切な取り調べだとして、最高検に抗議文を送る事態ともなっていました。
5回予定されている公判の中で、木村被告が何を語るのか。
判決は2月19日に言い渡されます。