おととし和歌山市で、岸田前総理大臣が演説していた会場に爆発物を投げ込み、岸田前総理や周囲の人たちを殺害しようとした罪に問われている男の裁判員裁判で、5日午前、証人尋問が行われました。 この中で、爆発物の威力を検証するため警察が実施した実験で「厚さ9ミリのベニヤ板」を貫通したという映像が法廷で流れました。
■演説会場で爆発物を投げ込み岸田前総理らを殺害しようとした罪など問われる
木村隆二被告(25)はおととし4月、和歌山市で開かれていた衆議院補欠選挙の演説会場で自作の火薬で作った爆発物を投げ込み、岸田前総理や周囲にいた人たちを殺害しようとした殺人未遂の罪や選挙を妨害した罪など5つの罪に問われています。
事件では2人が軽傷を負いました。
■「殺意はありません」など一部起訴内容を否認
4日から始まった裁判員裁判で木村被告は起訴内容について、火薬や爆発物を製造したことは認めたものの、「殺意はありません」などと話し、「殺意」や「選挙を妨害する意図」など、一部を否認していました。
そのため、爆発物の殺傷能力が焦点となっていました。
■警察の再現実験で厚さ9ミリのベニヤ板を貫通「殺傷能力あり」と主張
裁判は5日午前から証人尋問が始まり、木村容疑者が使った爆発物の威力について再現実験をした、警察庁科学警察研究所爆発研究室の担当者が「殺傷能力があると思います」と証言しました。
再現実験は木村被告の自宅から警察が押収した黒色火薬と、警察が用意した鉄パイプを使って再現した爆発物を、厚さ9ミリのベニヤ板で作った箱の中で爆発させたところ、爆発物の破片がベニヤ板を貫通したということです。
銃弾が「4ミリのベニヤ板2枚を貫通すると殺傷能力がある」とする研究論文があるということで、実験からはその威力を超えていて殺傷能力があると判断したということです。
再現実験の映像は法廷で流され、音はありませんでしたが、オレンジ色の炎と煙ともに破片と思われるものがベニヤ板の箱から飛び出してくる様子が映っていました。 5日午後も証人尋問が続きます。