「森友学園」を巡る財務省の文書改ざん問題で、大阪高裁が国に対し、公文書の不開示決定の取り消しを命じたことを受け、国は上告を断念する方針を示しました。
さらに6日、存在の有無すらを明かしてこなかった文書について、存在することを認めました。
■夫の自殺した真相を知るために国とたたかった妻
【自殺した赤木俊夫さんの妻・赤木雅子さん】「上告されるのか、されないのか、毎日ひやひやしていたのですけが、一歩また踏み出すことが、きょうできたんじゃないかと思う」
亡き夫の写真を手に語ったのは、「森友学園」の公文書の改ざんを苦に自殺した、近畿財務局の赤木俊夫さん(当時54)の妻・雅子さんです。
雅子さんは、問題の真相を知るために、国に対し、検察に任意で提出した資料の開示を求めていました。
しかし、国は「捜査に支障がある」として、書類の有無すら明らかにしなかったため、雅子さんは不開示の取り消しを求めて提訴。
大阪地方裁判所は国側の主張を認めましたが、1月、大阪高等裁判所はこれを破棄し「不開示決定の取り消し」を命じました。
■文書の存在を認め 「相当量。中を精査して作業を検討」と加藤財務相
この判断について、6日、加藤財務大臣らは石破首相からの指示で上告を断念することを明らかにし、さらに文書についても存在を認めました。
【加藤勝信財務相】「検察に出した文書は、全て財務省に戻ってきています。相当量だと聞いています。中を精査して(開示・不開示についての)作業などを検討する」
■石破首相と交流 上告断念の「感謝のメール」したと明かす
雅子さんは石破首相とは、首相就任前から交流があり、これまでも文書の開示について要望を行っていて、6日の上告断念を受けて、石破首相に感謝のメールを送ったことを明かしました。
【自殺した赤木俊夫さんの妻・赤木雅子さん】「うれしくて、すぐに石破首相にメールをさせていただきました。ありがとうございますと、石破首相も色々考えて考えて、きょうの決断に至ったのだと思う」
これまで頑なだった国の姿勢が変わったことについて雅子さんは…。
【自殺した赤木俊夫さんの妻・赤木雅子さん】「本当に黒塗りのじゃない文書を出すように、お願いしたいなと思います。1日でも早く出して欲しいです。夫に関わること、夫がどれだ(改ざんに)反対したのか記録があれば見たい」
■開示される内容は“黒塗り”でないものが期待される
番組コメンテーターの菊地弁護士は、今回の国の上告断念という判断について、「いい判断だが、遅い」と話します。
【菊地幸夫弁護士】「今フジテレビの問題などありますけど、民間では第三者委員会とかが調査して、それを開示して、公表して、国は何をやってきたんだっていうことですね。だから今回の上告断念、開示というのは、いい判断だと思うんですが、遅すぎましたね」
公文書改ざんのプロセスが、どこまで明らかになるのかということに期待したいのですが…。
【菊地幸夫弁護士】「べったり黒塗りしたものじゃないものが、ぜひ出されることを期待しています」
今回の判断は石破首相の指示だったということですが、関西テレビ神崎報道デスクは「踏み込んだ開示内容になるのでは」と話します。
【関西テレビ 神崎博報道デスク】「今回は政治判断という所が大きかったと思います。しかもトップの総理の判断というところがかなり大きく動いた所だと思います。今後、開示されることになると思いますけれども、その面においても、かなり踏み込んでオープンになることが期待できるんじゃないかなと思います」
雅子さんの「なぜ夫が亡くならなければならなかったのか、その真相を知りたい」という所から始まった裁判でした。
少しでも雅子さんの望む形になればと思います。
(関西テレビ「newsランナー」2025年2月6日放送)