12日、有名「まつ毛美容液」の偽物を通販サイトで販売するなどした疑いで男女3人が逮捕されました。
近年相次ぐ、ネットで購入した化粧品が偽物だったというトラブル。
安さにつられ、偽物を購入した女性が後悔を取材に明かしました。
■偽物の化粧品についての相談件数は3年で2倍以上に増加
医薬品・医療機器法違反などの疑いで、13日、送検された会社経営者の河原一聖容疑者(35)ら男女3人。
違法に販売していたとみられるのは、人気の「まつ毛美容液」の偽物でした。
今、こうした偽物の化粧品をネットなどで購入させられる被害が相次いでいます。
国民生活センターによると、ネット通販での偽物の化粧品についての相談件数は、2020年度は60件でしたが、2023年度は150件と2倍以上に増加。
中には健康被害を訴える声も多いといいます。
■次々と「偽物の可能性のある化粧品を買った」
街で話を聞くと、「偽物の可能性がある化粧品を買った」という声が、次々と聞かれました。
【ネットで化粧品を購入した人】「最初は3万円くらいのものが、1万4800円とかで出てたりしてて、どうかなと思いながら買ったり。テクスチャーとか、色的なものが(違った)」
【ネットで化粧品を購入した人】「多分この間、買ったの偽物でした。不良品みたいに書いてたけど、結構、発色悪かったりで、ちゃんとしたブランドやのに、たぶん偽物やったんかなと」
■偽物をフリマアプリで買わされた女性「まさかこんなに作り込んでると思わなかった」
何故、偽物を購入してしまうのか?
今回、関西テレビの取材に応じてくれたのは、ロート製薬が販売する人気の美容液「オバジC25セラムネオ」の偽物をフリマアプリで買わされた女性。
商品は正規品、1万1000円の半額でした。
【偽化粧品を購入した女性】「(ネットで)安くても本物の商品ももちろんあるので、それと思って買った。子育てしてるので、子供にお金かかるので、自分にお金かけられないなあと思って、安い商品を選びました」
女性が見た商品ページには、「箱に痛みはあるが、新品、未使用」と書かれ、パッケージの写真が載せられていました。
実際に女性のもとに届いた偽物と本物を見比べてみると、確かに非常に似せて作られています。
しかし、注意深く見ると、パッケージの「C」のデザインに違いがあることに気が付きました。
本物は黒い線がCの上に重なっているのに対し、偽物には黒い線がCの上にはありません。
【偽化粧品を購入した女性】「封がしっかりしてたりとか、文字が日本語でちゃんと書かれてたので、まさかこんなに作り込んでると思わなかったです」
そして、中身を見ると決定的な違いが…。
【偽化粧品を購入した女性】「中のフタを開けてみると、液が白くなってて、それでおかしいなと思いました」
本物は黄色がかった透明な液なのに対し、偽物は白濁していて全くの別物です。 そして使用感に関しても…。
【偽化粧品を購入した女性】「ネットで『塗った瞬間ちょっとピリッとする』とレビューを見てたんですけど、塗った瞬間サラサラしていて特にピリッとする感じはなかったです」
■成分分析をした結果「偽物はビタミンCが含まれてるかもしれないけども少ない」
偽物は本物と比べて成分的に何が違うのか、危険性はないのか…、分析ができる施設で調べてもらいました。
本物の美容液の特徴は、濃度の高いビタミンCですが、偽物に入っているのか調べます。
この分析で使うのは、“うがい薬”です。
【日本分析化学専門学校 尾崎信源教務部長】「うがい薬に含まれているヨウ素がビタミンCに反応します。ヨウ素の茶色が消えるという反応を起こします」
本物ではヨウ素がビタミンCと反応し、うがい薬が透明になりました。
しかし、偽物で同様の反応を見てみると、ほとんど色は変わらず茶色のままでした。
【日本分析化学専門学校 尾崎信源教務部長】「購入した偽物は、ビタミンCが含まれてるかもしれないけども少ない」
■偽物、模倣品は検査が十分行われていない…健康被害を起こす可能性も
さらに、化学構造を調べる機械を使って違いをみてみます。
黒い線が正規品、赤い線が偽物ですが…。
【日本分析化学専門学校 尾崎信源教務部長】「波形の出方が全然違います。含まれているものが全然違う。偽物、模倣品に関しては、検査が恐らく十分されていないのではないか。実際使うのは怖いですね」
ロート製薬は、偽物を使うと健康被害を起こしかねないとして、正規品を取り扱っている通販サイトや、店舗で購入するよう呼び掛けています。
【偽化粧品を購入した女性】「偽物を買ってしまったら、時間も取られてしまうし、お金も取られて、精神的にも良くなかったので、安心を手に入れる意味で、ちゃんと(正規の店で)買ってほしい」
身近に潜む偽化粧品の危険。
自分の体につけるものだからこそ、慎重に商品を選ぶ必要があります。
■偽物を購入しないために注意するべきこと
今回、取材に答えてくれた方に健康被害はなかったということですが、それでもネットで化粧品を購入する際には注意が必要です。
番組コメンテーターのエッセイスト・犬山紙子さんは対策として「公式ショップから購入するようにしている」と話します。
【エッセイスト 犬山紙子さん】「私も便利だからネットで買うようになったんですけど、やっぱり化粧品とかは、ちゃんとその公式のショップから、登録面倒くさいんですけど、買うようにしたりとか」
「昔はお店でなんとなく、『ここはちゃんとした物売ってるな』と判断できたけど、今はネットだから、ちょっとしにくいっていうところがあるので、そこはリテラシーを上げていきたいです」
では、今回のニセ化粧品のような偽物を購入しないために、どこに注意すればよいのでしょうか。
特許庁がネット購入する際の注意点をいくつか紹介しています。
▽商品のデザインチェック(今回のロート製薬の化粧水だと、パッケージのラインや商品のラベルの文字が若干太いなどの違いが見られたということです)
これはなかなか気づきにくいですよね。
このほかにも・・・
▽他の出品商品と比べて価格が安すぎないか。
▽個人情報の入力画面アドレスが、「https://」になっているか。安全性を示す「s」がついているかどうか。
▽購入後に返品できるか
などといった点に注意が必要だということです。
■「手元に来てから問題を解決するのは、極めて難しい」と菊地弁護士
番組コメンテーターの菊地幸夫弁護士は、注意するポイントとして「値段」を上げました。
【菊地幸夫弁護士】「やっぱり値段ですね。ネットの購入では、手元にきて初めて『これおかしい』って分かるんですよね。その時は、既にお金は支払ってますし、そこからこれをどうにか解決するというのは、極めて難しくなるんです。だからもう買う前に、とにかくもう安いものは買わない。パッケージの違いなど目を皿にしてよく見て、買う前に注意する」
■「買う側の防衛の努力も必要」だが、トラブルに遭ったら消費者ホットライン「188」へ
ネットで化粧品を購入する際の注意点について、関西テレビの神崎報道デスクは、「消費者の偽物をつかまないようにする努力も必要」と言います。
【関西テレビ 神崎博報道デスク】「やっぱり利用者側の注意が必要だと思うんですね。メーカーの正規サイトで買うとか、大手ショッピングサイトでも、ちゃんと正規品を扱ってるところもあると思います」
「一方で、例えばフリマアプリなんかで個人が出品されているやつは、やっぱり偽物リスクは高まると思います。安すぎるというのも、1つなんですけども、買う側が防衛と言いますか、偽物をつかまないようにする努力は必要だと思います」
消費者庁でも、トラブルに遭ったら消費者ホットライン「188」など、行政機関などの窓口に相談するよう、呼びかけています。
(関西テレビ「newsランナー」2025年2月13日放送)