大阪府門真市で3年前の2月17日、中学3年の男子生徒が、いじめを苦に自ら命を絶ちました。
遺族が加害生徒と市に損害賠償を求めた裁判が始まり、母親は、「罪を一生背負って生きてほしい」と訴えました。
2月17日、大阪地方裁判所を訪れた母親。3年前のこの日、自ら命を絶った息子の制服を着て、裁判に臨みました。
【男子生徒の母親】「一緒に行こうかということで着させてもらいました。時間が止まってしまっているということを、裁判官に分かっていただきたい」
■「しんでみてーや」生徒に向けられた“SNSの暴力”
門真市の中学校に通っていた3年の男子生徒(当時15)は、同級生らからのいじめを苦に自殺しました。
バスケットボールが好きで、母親とも仲が良かったという男子生徒。そんな男子生徒に向けられたのは、容赦ないSNSの暴力でした。
【SNSの書き込み】「しんでみてーや」「そろそろ周りの目に気付こうぜ」
同級生らからインスタグラムなどで匿名で繰り返された誹謗中傷。中には、およそ1分間で10回以上、「死んでください」と書きこまれたものもありました。
市の第三者委員会は、SNSやLINEグループなどで同級生らが誹謗中傷するなど、62件のいじめがあったと認定し、いじめと自殺の因果関係を認めました。
去年3月、門真市は、記者会見を開いて謝罪。 しかし、加害生徒側からの直接の謝罪はありませんでした。
■手紙に並んだ謝罪の言葉…しかし不信感つのり加害生徒らに損害賠償求めて提訴
【男子生徒の母親(2月5日)】「守られへんかって申し訳ないと。一人で旅立たせてしまって申し訳ないと。でもあんたは何も悪くないと。絶対それを証明したるからと」
息子の無念を晴らしたい。母親は、去年8月、加害生徒11人と門真市に対し、損害賠償を求めて提訴しました。
【男子生徒の母親(去年8月)】「自分たちの罪を、もうそろそろ認めてもらわないと困る」
こうした中、2人の加害生徒側から、母親宛てに手紙が届きました。
【加害生徒の手紙】「陰口を言ってしまったことや、避けてしまったことは、心を傷つける行為だったと思います。本当にすみませんでした」
【加害生徒の手紙】「周りからされていた事はひどいなと思っていました。しかし、受験期で内申書のことが気になり、関わりたくないとの思いから何もできませんでした」
そして加害生徒の親からも…。
【加害生徒の母親の手紙】「(加害生徒は)許されるなら直接ご両親に会って謝りたいと言っています。この先もずっとこの事を忘れず、謝罪の気持ちを持ち続けていくよう、親として見守り、指導していくつもりです」
手紙に並ぶ謝罪の言葉。
しかし、手紙を読んだ母親は、「謝罪ではなく、言い訳」と感じ、加害生徒側がいじめと真摯に向き合っていないのではないかと不信感をつのらせました。
【男子生徒の母親(2月5日)】「(加害生徒は)何事もなかったかのように、次に大学行って、社会人になってという子もいるかもしれないですけど。何事もなかったように進んで行かれても困ります」
■「息子の未来・希望を奪った罪を認め、一生背負って生きて」裁判で母の訴え
17日に始まった裁判。
冒頭、母親は声を震わせながら、「息子の未来・希望を奪った罪を認め、一生背負って生きてほしい。息子をこれ以上苦しめないでください」と述べました。
一方、加害生徒側と門真市側は、いずれも請求の棄却を求めて争う姿勢を示しました。
加害生徒の一部は、誹謗中傷するメッセージを送ったことは認めるものの、いじめとは評価できないと主張しているということです。
【男性生徒の母親】「絶対に許しません。必ず自分たちの愚かな行為、対応で息子の心を破壊し、旅立ったことに背中を押したことを認めていただきます。それまで私は絶対に諦めません」
癒えることのない苦しみ。いじめがもたらす現実がここにあります。
(関西テレビ「newsランナー」 2025年2月17日放送)
※こころのオンライン避難所│ 厚生労働大臣指定法人・一般社団法人 いのち支える自殺対策推進センター
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