高額報酬をうたって強盗や特殊詐欺に加担させる「闇バイト」。
無自覚に犯罪に手を染める若者への啓発として導入されたゲームなど、「闇バイト」に待ったをかける取り組みを取材しました。
■動画制作で大阪府警が感謝状
「どうもありがとうございます」
大阪府警から専門学生たちに手渡された感謝状。
学生たちが作ったのが、闇バイトの危険性を呼びかける動画です。
【闇バイトの危険性を訴える動画制作 泉中瑞貴さん】「僕らと同年代の学生たちが、闇バイトに誘惑されそうになった時に、僕らがつくった動画が頭の中で流れたらなと思ってます」
■「トクリュウ」のリーダーが逮捕 SNSを通じて応募してきた若者を「点検商法」の実行役として働かせたか
SNSなどで「短時間で高収入が得られる」と呼びかける闇バイト。
応募すると、詐欺の「受け子」や「出し子」、強盗などの犯罪に加担させられます。
総務省によると、闇バイトに応募して実行犯となった多くは20代以下の若者です。 そして今週も逮捕者が出ています。
【記者リポート】「匿名・流動型犯罪グループいわゆる『トクリュウ』のリーダーとみられる男が、捜査員に連れられて出てきました」
18日、悪質な「点検商法」の疑いで逮捕された投資家の斎藤大器容疑者(33)。
【斎藤大器容疑者】「頑張れば追いつけるし、追い越せるので、その意味を込めて、ぜひどんどんDMの方をいただければいいのかなと思います。教育システムがしっかりしているので、3カ月もあれば1000万円レールにのれる」
齋藤容疑者はSNSなどを通じて、「大金を稼げる」と宣伝。
応募してきた若者を、「点検商法」の実行役として働かせていたとみられます。
■闇バイトを疑似体験するゲーム 教育現場に導入
若者の身近に迫る闇バイト。
警鐘をならすため、教育現場も動き出しています。
東京にある私立の中学校をのぞいてみると・・・。
【生徒】「なんて書いたん?」
1年生たちがSNSの画面を真剣に見ていました。
【生徒】「いけた!キャッシュカード」
【生徒】「(受け取った報酬が)なんか15万とか」
これは、闇バイトを疑似体験するゲームです。
■「おい近くにいるからな」突然の着信 「ほんとにあったら終わり」 リアルな追体験
ストーリーは女子高校生が闇バイトに手を出し、ある日、突然失踪。
友人として彼女のSNSアカウントに入ることで、犯行グループとどのようなやりとりをしていたかを追体験し、心理状態などを学びます。
まずは彼女が発信していた、SNSアカウントに入るためのパスワードを探すことからミッションが始まるのですが…。
【生徒】「英語でバナナ無理だった、絶対さっきのヒントがある」
苦戦しながらもアカウントに入ると…。
【生徒】「やばい、家の住所言ってる」
指示役から言葉巧みに誘導され、学生証の写真を送ってしまうやりとりを発見。
さらに犯人と思う人物を警察に通報するミッションも。
このゲームの一番リアルなところは、突然ある着信が…。
【闇バイト側】「お前、名前まで特定しやがってよ。なめたマネしやがったな!お前許さないからな。本当の犯人、誰か分かってるのか。おい近くにいるからな」
【生徒】「きょう、寝れない~!」
闇バイト側から脅しの電話です。
【別の生徒】「ほんとにあったら終わりだよ」
■現役大学生が作ったこのゲーム 問い合わせ殺到
「闇バイト」による犯行の増加をうけて、慶応大学などの現役大学生が作ったこのゲーム。
今、全国の学校や自治体から問い合わせが殺到しているということです。
【ゲームに参加した生徒】「簡単に写真撮ったり、個人情報送ったり、僕はそういうのしないと思ってたけど、怖かった」
(Q.(闇バイトに)引っかからない?)
【ゲームに参加した生徒】「引っかからないように頑張ります…」
「闇バイト」は犯罪です。SNSの甘い言葉には十分に注意してください。
(関西テレビ「newsランナー」2025年2月20日放送)