大阪府枚方市で去年、当時19歳の女子大学生を殺害した罪などに問われている無職の西光勝被告(27)の裁判員裁判で、被害者参加制度を利用した遺族が法廷に立ち意見を述べました。
被害者の父は、「娘の今までの努力や人生を奪い 私たちが娘の成長とともに得るはずだった喜びを奪った」と訴えて、死刑を求め、検察側は懲役22年を求刑しています。
■被害者を包丁で複数回刺して殺害した罪などに問われ「一切間違いありません」と起訴内容を認める
西光被告は去年5月、大阪府枚方市のマンションで関西外国語大学2年生の渡辺華蓮さん(当時19歳)を包丁で複数回刺して殺害した罪などに問われています。
裁判で西光被告は「一切間違いありません」と起訴内容を認めています。
■遺族の訴えに傍聴席からも涙 父「娘の今までの努力や人生を奪い、 私たちが娘の成長とともに得るはずだった喜びを奪いました」
21日は被害者参加制度を利用している遺族が、意見を述べ、被害者としての求刑をしました。
被害者・渡辺華蓮さんの家族が涙ながらに意見陳述をすると、傍聴席からもすすり泣く声が聞こえました。
【被害者の父】「家族は一生この悲しみを背負っていきます。娘の今までの努力や人生を奪い、私たちが 娘の成長とともに得るはずだった喜びを奪いました。 あんなにたくさんの刺し傷(※腹や首などに64カ所の傷)どんなに痛かったか、苦しかったか、考えるだけで、胸が苦しくて握りつぶされる思いです。死刑を求めます」
【被害者の母】「華蓮は、家族のことが大好きでとっても優しい子。 目の前で死のうとする被告に、すべてを犠牲にして寄り添っていた。 あの子はただただ、信じていた人を守ろうとしていただけ。 被告には一瞬たりとも華蓮を思い出してほしくないです」
【被害者の弟】「華蓮が頑張っているから、僕も頑張ろうと思える目標の人だった。 被告は裁判で『やり直したい』と言っていたが、やり直せると思わないでほしい。 僕は被告を一生許しません」
■検察側「懲役22年求刑」弁護側「懲役20年が相当」
そして検察側は、「犯行は計画的で強固な殺意に基づく残忍なもの。とてつもない恐怖と苦しみを与えた上で、夢や未来、希望を一方的に奪った」などと指摘。
懲役22年を求刑しました。 一方、弁護側は「被告は謝罪、贖罪(しょくざい)の気持ちを持っていて、自首も成立している」などとして、「懲役20年が相当」と主張しました。
■泣きながら謝罪の言葉述べ 遺族に頭を下げ続ける
西光被告は、最後に裁判長から言いたいことがあるか聞かれると、泣きながら、 「私はどんな刑でも一切控訴せず、一生償っていきます。本当に申し訳ありませんでした」と謝罪しました。
そして裁判長に「もう座ってください」と言われるまで、遺族の座る席に向かって頭を下げ続けました。