兵庫県の斎藤知事が再選した知事選挙を巡り、NHK党の立花孝志党首に対して、兵庫県議会の維新に所属する県議2人が情報漏えいしていた問題。
維新のガバナンス=組織管理の問題も指摘される中、関西テレビ「newsランナー」に出演した日本維新の会の吉村洋文代表は、「トップは恐れられる面も必要」としながら、元代表の松井一郎氏を例に挙げ「松井さんにはなれない」と述べ、「ガバナンス委員会を立ち上げた」と話しました。
■岸口県議は「除名」、増山県議は「離党勧告」処分
【兵庫維新の会 金子道仁代表】「このたびは県民の皆さんに深いご迷惑、不信をおかけしてしまったこと、大変申し訳ございません。岸口県議については除名、増山県議に関しては離党勧告という処分を決定させていただきました」
維新の兵庫県議会議員がNHK党の立花孝志党首に、非公開とされた百条委員会の音声データや、真偽不明のいわゆる“黒幕文書”を漏えいなどに関わった問題。
兵庫維新の会が処分を発表しました。
死亡した元県議会議員が「知事失職の黒幕」などと書かれた、真偽不明の文書の提供に関わった岸口県議は「除名」。
死亡した告発者の私的情報に言及している、非公開の音声データを提供した増山県議は、「離党勧告」処分を受けました。
■“黒幕文書” 漏えいは立場をわきまえずガバナンスを大いに揺るがす重大な行為
岸口県議を処分の中で最も重い「除名」とした理由については…。
【兵庫維新の会 金子道仁代表】「当時、清水孝之候補の選対本部長代理の立場にありながら、他の県知事候補、立候補者である立花氏に情報提供し、清水孝之候補に対する不利益行為を行ったということ、これらの行為を兵庫県議団、及び兵庫維新の会に無断で行ったことは、ガバナンスを大いに揺るがす重大な行為であり、社会に与えた影響力も大きく、日本維新の会に対する世間の信頼も失墜させる行為である」
このように述べました。
■元代表の松井氏は「維新の会が変わってしまった」
県議の情報漏えい問題で揺れる党のガバナンス。
25日、関西テレビの取材に応じた日本維新の会・元代表の松井一郎さんは。
【日本維新の会・元代表 松井一郎さん】「維新の会が変わってしまった」
今後の維新の行方は?
■「除名となれば議員辞職するべきだと思う」
兵庫県知事選をめぐる情報漏洩問題で、県議2人への処分が26日出ました。非公開音声データを漏洩した増山氏よりも、真偽不明の文書を提供した岸口氏の方が重い処分となりました。
【吉村洋文代表】「兵庫県議会は兵庫維新の会が処分決定するという、我々のルールがあります。その中で岸口建議は兵庫維新の会の県議会議員の当時団長でした。トップです。そして百条委員会の副委員長という非常に重要な立場。本来、管理監督責任ある立場の人が真偽不明の情報を立花さんに渡したのは非常に重たいという判断で、除名が最終決定です」
2人とも無所属で議員活動を継続するという判断についてはどうでしょうか。
【吉村洋文代表】「除名となれば議員辞職するべきだと思います。というのは除名は維新の会にもう二度と戻ってこないという前提で一番重たい処分です。維新の会の公認候補で当選しているわけだから、除名となれば議員辞職。それでなお自分の行為が間違っていない自信があるならば、無所属で兵庫県民が議員として認めるとなれば別だけど、維新の会の公認である以上除名となれば議員辞職するべきだと思います」
■兵庫県民の皆さんに伝えたい思いは分からなくもないけれど、ルール違反です」
【ジャーナリスト 安藤優子さん】「百条委員会そのもののルールを無視したことで、情報発信をしたかったからといっても、手前のルールを破っただろという事実があると思うんですね。発信すべきものがあるから発信したみたいな言い方は本当に言語道断だと思うんですね。吉村さんが、私の記憶に間違いがなければ、『彼らの思いも分かるところはある』というふうに発言されたと思うんですが、どういった意味でしょうか」
【吉村洋文代表】「これは増山さんについて、秘密会でなされた情報が兵庫県民の皆さんに伝わらないまま、選挙が行われるがおかしいんじゃないか、兵庫県民の皆さんに伝えたい、マスメディアで報じられたところも伝えたいという本人の思いは分からなくもないけれど、ルール違反ですから、どう考えても。
絶対許されるものではないということは間違いないと思っていますので、擁護する、弁護するのじゃなく、兵庫県民の皆さんにこういった事実があると伝えたいところはあるとしても、それでもルール違反は絶対やっちゃダメでしょというのが私の思い。厳しく処分されるべきだと思います」
■「立花さんの口を借りて情報流そうとした意図は悪質じゃないか」と安藤裕子さん
増山氏は23日の会見で『立花氏は発信力のある方』と話していて、発信力でいうと維新は吉村代表もいらっしゃるがという質問に対して、『私の中で発信力があるというイメージだったのが立花さんだった』と言っています。 これについて吉村さんは名前も出ていますが、どう受け止めますか。
【吉村洋文代表】「僕が情報を聞いても、秘密会の情報だから外には言わなかったと思います。秘密会のルールだから。(Q情報を聞いた?)聞いてない。聞いたとしても外に出さないし、出すべきじゃないと言うと思います。でも増山さんもそれは分かっていると思います。増山さん自身も自分の手では外に出していないわけですから、自分の手では出せなかったんですよ。僕なんか党の代表で出すわけないし。それだったら秘密会として区切るのをやめましょうと言わなきゃ。秘密会にも賛成していますので、それじゃダメですが、増山さんは分かっていると思います。
逆に言うと、立花氏だったら言うかもしれないと思って出してるから、自分の手は使っていないわけですよ。僕はそこが問題だと思うしルール違反なんです。兵庫県民に事実を伝えたい、秘密の情報をなんとか伝えたいっていう思いはわからなくもないけれど、でもルール違反はやっちゃだめ。しかもそれは自分でできないわけだから、そういうことはだめだと思います」
【ジャーナリスト 安藤優子さん】「立花さんの発信力って言っていますが、要するに立花さんの口を借りて、情報流そうとした意図があるわけじゃないですか。そこは相当厳しく追及されるべき話だと思うんですよね。いかに発信をしたかったかといったって、自分ができなければ、じゃあ立花さんの口を借りるっていうのは、ちょっと悪質なんじゃないかなって私は思うんですけど」
■「ガバナンスの全体の問題もあると思っているので、調査委員会を立ち上げる」
党としてのガバナンスはどうなのでしょうか。
【関西テレビ 加藤さゆり報道デスク】「そもそもこの問題って知事選の時の兵庫維新の会の中の揉めてましたよね。本当は斎藤さんを推したいけれど、党本部が斎藤さんを推すのを許してくれなかったみたいな確執が根底にあって、もしかしたらそのままきてしまったから、こういった行動になってしまったかもしれない。リスク要因を党としてもう少し早く掴めていたら、問題にはならなかったんじゃないかなと思うんですけど」
【吉村洋文代表】「おっしゃる通りで、一人の話じゃなくて、もう一人白井さんという立花さんとやり取りした人がいます。なのでガバナンスの全体の問題もあると思っているので、調査委員会を立ち上げます。兵庫維新の会とは別のところで、党改革本部の本部署が一連の行為について、ガバナンスに問題がなかったのか調査して、こういったことが起きないようにするために何が必要かという視点からも、我々としても自己分析を兵庫維新の会に対してやろうと思っています。背景事情も含めてです」
■「恐れられる面も必要」も「松井さん(元維新代表)にはなれない」
ただ、維新の生みの親、橋下さんは『兵庫県議会の維新は解散に値するぐらいの重大な責任』、松井さんは『僕らの作った維新と変わってしまった。トップが恐れられていない』という厳しい指摘でしたが、どう思いますか?
【吉村洋文代表】「松井さんが、僕自身がトップとして恐れられてないんじゃないかっておっしゃったんですが、そういう側面あるのかなっていう率直に思うところがありますね。松井さんのもとで僕がやってきましたから。松井さんは信頼もされていましたけど、恐れられていました。トップはそういう側面が必要だろうと思います。ただ、僕はそういうキャラかというと、なかなか松井さんにはなれないなと」
吉村さんがトップとしてガバナンスを効かせるためにどうしますか?
【吉村洋文代表】「きちんとルールを作るのは当然ですが、例えば知事とか市長の場合、組織がしっかりしてるんですよ。でも政党はそういうのじゃないから党のガバナンスが非常に難しいなと思っています。僕が2代目だから結構大変だと思います。でも3代目、4代目はありうる話なので、党としての初代の創業者じゃなくてもガバナンスを利かせた効かせるためのあり方、ガバナンス委員会っていうのを僕は立ち上げました。僕も間違っているところ、弱いところもあるかもしれない、そこをしっかりとガバナンス委員会から見てもらう。そこで組織として維新の会として、松井さん、橋下さんのような、ある意味人に頼るんじゃなく、党としてのあり方が問われている、評価する方法を模索していきたいです」
(関西テレビ「newsランナー」2025年2月26日放送)