斎藤知事のパワハラ疑惑などを調べる百条委員会の非公開音声データや、内容が真偽不明の文書を維新の県議が NHK党の立花党首に提供するという問題が勃発し、大混乱する兵庫県。
兵庫維新は、当時、非公開だった百条委員会の音声データを漏洩した増山県議に対し、「除名処分」を検討しています。死亡した元県議が斎藤知事失職の黒幕だという文書を手渡された場に同席していた岸口県議には「離党勧告」を検討されてきました。
(※兵庫維新の会は、「旬感 LIVE とれたてっ!」放送後の2月26日午後4時から記者会見を開き、岸口県議を「除名」、増山県議を「離党勧告」とすることを決めました)
26日、関西テレビの「旬感 LIVE とれたてっ!」に出演した橋下徹氏は、兵庫の維新に対して「処分の重さが逆」と指摘したうえで、秘密会として実施された百条委員会に、「そもそも選挙に影響するから秘密会はおかしい。仮に秘密会が成立したとしたら、プライバシーの問題だって議論したらいいじゃないか」と苦言を呈しました。
■「処分が逆。竹内さんに誹謗中傷が集まって自死されたという流れは非常に罪深い」
【橋下徹氏】「まずルール違反ですから処分は必要だし、兵庫県議会の維新は解散に値するくらい重大な責任があるということを前提に、岸口県議と増山県議の話を比較してしっかり考えたいという意味で、『処分が逆』と言いました」 「今の状況では、増山県議のほうが『除名処分』で重い処分を検討されている。『離党勧告』のほうがまだ軽い処分になる。増山さんは秘密会=秘密の百条委員会で情報を漏らしたということだから、『秘密を公にしたということで除名だ!』となっているんですが、実は岸口さんが出した情報のほうがものすごい罪深い。竹内さんという亡くなられた方を誹謗中傷するような真偽不明の文書を立花さんに渡して、立花さんが拡散したことによって、法的な因果関係は別としても、竹内さんに誹謗中傷が集まって死亡されたという流れは非常に罪深いです」
「でもなんとなく世間は、秘密会での情報を漏らした方が重いんじゃないのと思うかもしれませんが、秘密会の暴露が即アウトということになると、報道が成り立たないんですよ。だって僕らこの仕事をやっているのって、秘密の暴露多くないですか?」
【青木キャスター】私たちがニュースを伝えるときに、『捜査関係者によりますと」という形で伝えることがあります。
【橋下徹氏】「もし警察官とか検察官だったら、国家公務員法違反ですからね。所得税の修正申告があったことも完全な秘密だが、もし税務署関係の人が言っていたら、これも国家公務員法違反ですよ。世の中の報道は基本的には秘密の暴露で一生懸命成り立たせているところがあって、あとは中身がちゃんと公共性、公益性があるのか、社会のためになるのかっていうところ。報道機関ってある意味、ルール違反をした情報源から情報をもらって報道しているわけですよね?」
【加藤さゆり・関西テレビ報道デスク】「公的機関に勤める方と日ごろから、信頼関係を結ぶところから始まることもある。でも、もちろんその情報をすべてうのみにするのはなく、公共性、公益性に資するかを一度考えて、諮ったうえで出しているというのが私たちの使命だと思います」
■「兵庫県の大混乱の問題の根源は、何か物事を隠したと世間に見られたこと」
【橋下徹氏】「ただ情報源の人が公務員であれば、基本的にはみんなルール違反して情報を出してくれている。報道機関はルール違反のところから報道をもらっている」
【橋下徹氏】「名前が明らかになってルール違反だから処分は仕方ないが、秘密を暴露したことがそんなに悪いかと言われれば、報道としては普通にやってることです」
【橋下徹氏】「百条委員会の秘密会、そもそも秘密にすべきだったのかということ。選挙で影響が出るからといっても、有権者には可能な限り情報は伝えなきゃいけない。秘密にするってよほどの事情があっての秘密会であって、選挙に影響を与えるから秘密なんておかしいですよ。隠したことがもう選挙に影響を与えちゃっているじゃないですか」
【青木キャスター】百条委員会が開かれるときに、同意をして始まってるわけですよね?
【橋下徹氏】「増山さんは同意しているから。何度もいうが、ルール違反はルール違反だし、兵庫県議会の維新は解散に値するぐらいの重大な責任があると思います。ただまず考えないといけないのは、秘密会にしたことがまず間違いだと思うし、プライバシーを守るんだという話になるなら、そこは秘密会があるのかもわからないが、プライバシーの問題も含めてみんなが議論しなきゃいけないじゃないですか」
「ところが今回の秘密会、何が行われたかというと、奥谷委員長がプライバシーの話が出てきた時に、その話はもうしないと(遮った)。これもうまったく意味不明じゃないですか。仮に秘密会が成立するなら、プライバシーの問題も議論したらいいじゃないですか。秘密会なんだから。なんで(奥谷委員長は)止めるんですかと」 「兵庫県の大混乱の問題の根源は、何か物事を隠したと世間に見られたことです。地上波のほうが。それを暴いたのが立花さんたちだという構図になった。できる限り僕らの仕事はよっぽどの事情がない限り、隠しちゃいけないと思うんですよね。プライバシーの話で全部フタしてしまったんです、ことの真相を」
■「積極的に議論するのが秘密会。外に漏れないための秘密会だから」
【青木キャスター】亡くなった方のプライバシー、尊厳に関わることかもしれないが、それでも秘密会という設定であれば、百条委員会でもっともっと話してよかった?
【橋下徹氏】「仮に片山さんが(プライバシーに関わることを)話したときに、百条委員会のメンバーが『片山さん、それウラあるんですか?真偽不明なこと言うなよ』というような指摘するとかね。クーデター目的だと言っても、県が実際に内部調査をしても、クーデターというほどでもないとか、そういう意見もたくさんあったわけだから、それを片山さんが『いやこの内部告発はクーデター目的だ』って言ったんだったら、『どういうウラがあるんだ?どういう証拠があるんだ』と積極的に議論するのが秘密会なんじゃないですか。そこを議論するから秘密会で、それが外に漏れないための秘密会だから」
「でも奥谷さんがプライバシーだからと、ぱっとフタをしてしまった。そうしたら当然、異議が出た。増山さんはそういう立場ですよ。フタするのおかしいんじゃないの、こんなところで喋らせないのはおかしいんじゃないのと。で、情報を漏らしたと。もし増山さんが名前を隠して、『秘密会でおかしなことが行われている。秘密だからもっと議論しなきゃいけないのに、どうも委員長がフタをしたと。おかしいんじゃないですか』と問題提起として報道機関に情報提供すれば、報道として十分成立する話だと思うんですけどね」
【青木キャスター】増山さんは他党の党首である立花党首に情報を提供しましたが、維新の吉村代表に出せばいいじゃないかという声もあるなかで、情報の出し方が問題となっていますが、これに関してはどうなのでしょうか?
【橋下徹氏】「ただ吉村さんはもう完全に斎藤さん不信任にいきました。だから斎藤さんが有利になるような話は、吉村さんは発信しませんよね。増山さんは斎藤さんを有利にしようと思って情報発信しようとした」 「情報を立花さんに出すのが良いのか、大手メディアに出すのが良いのかに関しては、大手メディアの方に必ず出してくれというのは、ある意味横暴なんじゃない?大手メディアが報道するかどうかもわからないから」
■「反旗を翻すんだったら辞めてからやればいい。政治家としてアウト」
【青木キャスター】斎藤知事を応援するかどうかという増山議員の兵庫維新の立場と、自身の立場が異なる。そこで選んだ選択としてはどう考える?
【橋下徹氏】「政治家としてはアウトです。だって不信任決議で斎藤さんを不信任にする、斎藤さんは応援するなと維新がもう正式に決定したんだから。そしたら維新のメンバーである以上従わないと。反旗を翻すんだったら辞めてからやればいい。増山さんは維新の立場にいながら、水面下で党で決めたことと反対のことをやろうとしたから、政治家としても失格だし、それから秘密会にも、秘密にしますと政治家として賛成しておきながら、秘密をばらしたのはもう政治家としてアウトですよ」 「でも、よくよく考えなきゃいけないのは、増山さんの処分がどうのこうのより、そもそも秘密会がどうだったのかとか、大手メディアはプライバシーという問題でフタしすぎたんじゃないのと。仮に不倫とか男女の問題が出ても、これは真偽不明の情報ですよとか。それから男女の問題を伺わせるようなファイルが存在してしたことは間違いないです。そのファイルを公用パソコンで作ったことは処分に値するかもしれない服務規律違反ですね、と。僕は処分には反対ですよ。でもプライバシーだからと一切この話はしなかったんです」
【青木キャスター】百条委員会が開催中だった9月の段階で、県議が全会一致で信任案を決議して斎藤知事は失職しました。私の記憶ではメディアの報道もすべて県政が停滞している、その原因は斎藤知事にあるという報道があった。
【橋下徹氏】「だから県議会は世論に負けた。ただ世論を作っていたのは地上波でもある。不信任で僕は良かったという立場です。告発潰ししたことはとんでもない権力行使だから、不信任でいいと思ったけど。ただあの時の県議会は理由がはっきりしなかった。はっきり言わず県政混乱としたでしょ。だから選挙に影響を与えるから、秘密会っていうのは逆で、隠すことがまた選挙に影響を与えることになる。プライバシーを保護するなら、秘密会のなかでみんなプライバシーを出せばいい」
(関西テレビ「旬感 LIVE とれたてっ!」2025年2月26日放送)