映画「君の名は。」のプロデューサーだった男が、少女に対する不同意性交等の罪に問われている裁判で、和歌山地裁は懲役4年の実刑判決を言い渡しました。
裁判所は判決で「1件の不同意性交等を伴う11件の児童買春」などの罪を認定し、刑の重さについての理由で、「金銭を供与して児童買春をしたり、性交渉中の画像等を隠し撮りする行為を繰り返してきた。自律的に意思決定する能力が未熟な被害者らの心身の健全な発達に重大な悪影響を及ぼすもの」と指摘しました。
■「児童買春」の罪11件、性的行為をする様子を撮影した罪9件などに問われる
起訴状や判決によると、映画「君の名は。」のプロデューサーで映像プロダクションの元社長、伊藤耕一郎(いとう・こういちろう)被告(53)は2023年、SNSで知り合った当時15 歳の少女に現金2万円を渡して、自宅のタワーマンションの部屋で性交した不同意性交等や「児童買春」の罪などに問われていました。
伊藤被告は初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めていました。 また、これを含めて「児童買春」の罪11件、性的行為をする様子を撮影した罪9件などに問われていました。
■検察「未成年の思慮の浅さにつけ込んだ狡猾な犯行」などと懲役6年求刑
一方、検察側は裁判で、「伊藤被告は遅くとも10年前から、18歳未満の少女を含む100人以上に金銭を渡し、わいせつな行為を繰り返した」と指摘していました。
そして論告求刑公判で、「未成年の思慮の浅さにつけ込んだ狡猾な犯行」などとして懲役6年を求刑していました。
2月28日の判決で和歌山地裁は、伊藤被告に懲役4年の実刑判決を言い渡しました。
判決の中で裁判所は、伊藤被告の罪について「児童買春11件、性的姿態等撮影9件とそれと同時にしたものを含む児童ポルノ製造10件、児童買春のうち1件を伴う不同意性交等1件、児童ポルノ5点の所持からなる事案」と提示。
「被告は、インターネットを介して、性交渉が可能な未成年の女性を探し、その中で裸の写真を撮影して送付させたり、実際に会うことができた女性に金銭を供与して、児童買春をしたり、性交渉中の画像等を隠し撮りしたりする行為を繰り返していた」と指摘しました。
そして刑の重さの理由の中で、「金銭を供与して児童買春をしたり、性交渉中の画像等を隠し撮りする行為を繰り返してきた。自律的に意思決定する能力が未熟な被害者らの心身の健全な発達に重大な悪影響を及ぼすもの。責任非難の程度は大きい」と指摘しました。