高額療養費制度を巡り、政府は今年8月から実施するとしていた負担上限額の引き上げを見送る検討に入りました。
患者団体などから批判が相次ぎ、与党内でも見直しを求める声が広がったことをうけたもので、石破首相は7日午後7時頃から、がん患者団体の関係者との面会を行い、最終判断をするということです。
この判断について、関西テレビ「newsランナー」で、京都大学大学院の藤井聡教授は、「衆議院の決議した内容というものに間違いがあった」、「石破総理、内閣は非常に重い責任を持つ」と厳しく指摘しました。
■「衆議院で決議した内容に瑕疵があった、間違いがあった、誤りがあった」
【京都大学大学院 藤井聡教授】「極めて異例な事態です。これ、なぜかっていうと、一旦予算案が衆議院を通過しているんですね。その中に高額医療費の上限の引き上げということを前提とした上で計算された予算案が通っているんですよ。
にもかかわらず、それを見送るということは、予算案をもう一度修正するっていうことになるんですけども、衆議院しっかり通っている話なのに修正するということは、異例な事態なんですよね。
従って、衆議院で決議した内容というものに瑕疵(かし=欠点)があった、間違いがあった、誤りがあったということを意味してるわけですから、これは政権として石破総理、石破内閣としては非常に重い責任を持つ見送りになると思いますね」
■背景には「公明党・夏の参議院選挙」
また関西テレビの神崎博報道デスクは、この「見送り」の背景について、公明党の反発と夏に迫った参議院選挙が影響していると説明します。
【関西テレビ 神崎報道デスク】「立憲民主党を中心に、野党がずっと反発していたんですけれども、ただ(政府は)、野党の反発だけやったら押し切ろうと思っていた。
衆議院を通して、参議院に行ったところなんですけども、ここで連立を組む公明党からも、『これちょっとないんちゃうか』って(批判されたと)いうのと、あと一番大きかったのが、自民党内で、特に今年の夏に参議院選挙、改選を迎える議員から、これを無理やり押し切ってしまうと、野党候補から責め立てられて『もう選挙戦えへん』というような声が結構強くなりまして、ここは1回見直し、立ち止まろうということになったようですね」
(関西テレビ「newsランナー」2025年3月7日)