日本からおよそ1万4000キロ離れた氷の大地・南極。
その観測を行う専門家たちとともに去年、大阪府の高校教師が南極に派遣されました。
一体なぜ、南極に?
■高校教師がなぜ南極に?
堺市にある府立三国丘高校で行われた特別授業、先生がいたのは…。
【大阪府立三国丘高等学校 山本那由さん】「こちらただ今、朝の8時55分、時差が6時間あります。昭和基地の看板が見える思うんですが…。皆さんに南極らしい風景を見てもらいたいと思います。カメラさん、どうぞ~」
南極にある日本の観測基地「昭和基地」です。
画面の向こうで授業を行うのは、生物を担当する教師の山本那由さん(35)。
堺市の高校の教師がいったい、なぜ南極にいるのでしょうか。
■「チャレンジする姿を見せたい」 南極からの授業を実施
山本さんは2009年から行われている、国立極地研究所の「教員南極派遣プログラム」に参加。47人の応募の中から選ばれました。
【“南極派遣”に参加 教師・山本那由さん】「新しい世界を知りたいなというところで即決でした。私がチャレンジしているところを見て、生徒が感化させてくれたらいいなって思いはありました」
山本さんは南極地域観測隊と生活を共にし、調査に同行、オンラインで生徒たちにその様子を伝えます。
【“南極派遣”に参加 教師・山本那由さん】「次はみなさんお待ちかねのペンギンです!ペンギンがエサをついばんでる様子が見られますね」
自ら編集した映像も使い、およそ1時間、南極からの授業を行いました。
■3カ月の調査を終え 生徒の前に立つ
【“南極派遣”に参加 教師・山本那由さん】「おはようございます~」
およそ3カ月間の調査を終え、2月、日本に戻った山本さん。
今週、帰ってきてから初めて生徒たちの前に立ちました。
集まったのは生物部などに所属する生徒たち、授業が始まると山本先生の話に興味津々です。
【“南極派遣”に参加 教師・山本那由さん】「これは観測船『しらせ』に驚いて逃げるアザラシ。アザラシも遠くにいると、なんか“ナメクジ”にしか見えない」
■授業が終わっても止まらない質問 “南極の食物連鎖の頂点”についても
生徒からはこんな質問も…。
【生徒】「(南極は)オゾン層が薄いイメージがあって、日焼けはすごいしますか?」
【“南極派遣”に参加 教師・山本那由さん】「日焼けはすごいします。ただ、私がそんなに焼けてないように見えるのは、日焼け止めをがっちり塗ってたから」
さらに、授業が終わっても質問を続ける生徒たち。
【生徒】「(南極の)陸上での食物連鎖の頂点ってなんなんですか?」
【“南極派遣”に参加 教師・山本那由さん】「陸上での食物連鎖の頂点は、トウゾクカモメかなあ」
■「進路選択が広がった」貴重な体験に刺激を受けた生徒たち
【“南極授業”を受けた生徒】「もうすぐ3年なんで、進路選択っていうところを考える中でも、貴重なお話を聞けて、考える幅が広がったなと思いました」
【“南極授業”を受けた生徒】】「自分も行けたりするんかなとか、チャレンジしてみたくなりました。視野が広がって、感謝してます」
■「理想の教員像に近づけた」 知らない世界に飛び込む挑戦で得たもの
知らない世界に飛び込んだ今回の挑戦。山本さんも生徒も得るものが多かったようです。
【“南極派遣”に参加 教師・山本那由さん】「すごいパワーアップできたと思います。(生徒から)『先生が生き生きしてる姿が、すごくかっこ良かった』と言ってもらえて、“理想とする教員像”に近づけたんじゃないかなと思います。姿で語りたいというか、背中で語れる教員になりたいと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2025年3月7日放送)