突然ですが、みなさん「最近物忘れが多い」と悩んでいませんか?
もしかするとそれ、スマートフォンの使いすぎが原因かもしれません。
認知機能や子どもの発達に影響を及ぼしかねないスマホの長時間利用の実態を取材しました。
■小中高生の1日のインターネットの平均利用時間が初めて5時間を超える
みなさん1日どれくらいスマートフォンを触っていますか?
【40代】「仕事している時で2~3時間」
【10代】「7時間ぐらい。トイレとかも持っていく」
【20代】「12時間ぐらい、春休みで暇なんでもうお風呂のふたに置いて、こう(浸かって)サブスクとかみたりしていますね」
先週、こども家庭庁が発表した調査結果によると、小中高生の1日のインターネットの平均利用時間が初めて5時間を超えたことが分かりました。
さらに高校生の3人に1人は、7時間以上利用していることも明らかに。長時間スマホで何をしているのか街で聞くと…
【高校3年(一日で10時間半利用)】「ゲームしています」
【高校3年】「離せないです、無理無理、依存症です多分」
【高校3年】「ネトフリ(Netflix)とかめっちゃ見てます」
【高校3年】「TikTokが1番多いです。ママには『また携帯か』って言われる」
■「変なアプリ入れられたら困るな」と小学生の娘の母
こうした子どものスマホ利用に悩む親は多いようです。
大阪市内に住む伊藤さん一家、小学生の娘2人と幼稚園の息子がいます。
「いただきます」
「おいし~」
1年ほど前までは親が昔、使っていたスマホを小学3年の長女・玲ちゃんに渡していましたが… 。
【母・真衣さん】「LINEしか使わないでねって言ってたんですよ。調べたらカメラ、時計、メモ帳、ありとあらゆる使えるもの全て使って遊ぶっていう形跡があって。別に悪いことじゃないんやけど、今後のことを考えたら変なアプリ入れられたら困るな」
お母さんとのルールを守れなかったことから、スマホを持たせることをやめました。
■子どもがスマホを使う際のルールについて悩む母
ご飯を食べ終わったら… 。
【母・真衣さん】「19:18やろ?あと40分したらテレビ(動画)もないからね」
午後8時までは家族みんなで1台のタブレットで好きなものを見られる決まりです。
この日は弟たちがタブレットで動画を見始めますが… 。
【次女・しおりちゃん(小1)】「お母さんなんか終わんで」
【母・真衣さん】「ほなプロレスする?」
【長男・かおるちゃん(4歳)】「終わってない、終わってない」
【母・真衣さん】「すごい中毒症状や」
そんな時でも静かに宿題に取り組んでいた玲ちゃんですが… 。
【長女・れいちゃん】「見たい見たい!」
【母・真衣さん】「はよ終わらせ~」
【長女・れいちゃん】「待ってよじゃあ」
やっぱり動画が気になるようです。
【母・真衣さん】「いつまでもそんなガチガチの設定じゃ満足できん、これから中学生になったら余計に。じゃあそのときまでにルールとか、あかんところの見分け方を、教えてあげられたらいいんですけど。どうしたらいいんやろって」
■スマートフォンの使用時間が長ければ長いほど成績が低い
私たちの生活に欠かせないスマホ。しかし専門家によると長時間の利用は子どもの発達にも大きな影響が…。
【東北大学応用認知神経科学センター 榊浩平助教】「同じ時間勉強していて、同じ時間寝ていた子でも、スマートフォンの使用時間が長ければ長いほど、成績が低い。
特に驚いたのは1日3時間以上使用していると答えた子供たちのグループでは、どれだけ勉強を頑張ってきちんと寝ていたとしても、偏差値が50以上、いわゆる成績が上位に入ってくる子たちのグループがなくなってしまった」
というのも、スマホを使っている時は、脳の中の前頭前野と呼ばれる思考や注意能力などをつかさどる部分が全く働ないため、脳の機能が低下するということです。
■スマホやパソコンの光などが原因で頭痛を訴える人が多い
スマホによる悪影響は子どもだけではないようで、大阪市内の脳神経外科クリニックを取材すると…。
【天王寺だい脳神経外科阿倍野区 山田大院長】「この頭痛のグラフを見ると仕事終わりに多いということなので…」
【患者 40代】「仕事中にこめかみを抑えることが無意識に多いんですよ」
この日、訪れたのは40代の女性。仕事で1日中パソコンを触るうちに、頭痛が悪化し、この病院に通い始めました。
【山田院長】「普段、スマートフォンを触っている時間は長いですか?」
【患者 40代】「スマホは夜に使うぐらい。仕事中はパソコンずっと使ってます。ずっと画面を見てますね」
【山田院長】「パソコンの光刺激でだいぶ頭痛は誘発してそうですね」
この女性のように20代から50代では、男女問わずスマホやパソコンの光などが原因で頭痛を訴える人が多いといいます。
【片頭痛で通院 30代】「1回見だしたら『ああもう2時間たってる』とかあって、それで寝つきが悪くなったり」
【片頭痛で通院 20代】「朝起きた時にすっごい疲れたまってて、一日中、頭痛いとかけっこうあります。(Qスマホが大きい要因?)大きいです」
【天王寺だい脳神経外科 山田大院長】「長時間光刺激を受けますと、それによって脳の神経細胞が過剰に興奮した状態になりますので、それが原因で頭痛がひどくなる」
■認知機能の低下を引き起こす恐れも 「漢字が出てこなくなってしまう」
さらに、スマホの使用はこうした体への直接的な影響だけでなく、認知機能の低下を引き起こす恐れも…。
【東北大学応用認知神経科学センター榊浩平助教】「スマートフォンで文字を入力する習慣が増えることによって、ペンで紙に文字を書こうとしたときに、漢字が出てこなくなってしまうと。 スマホの使いすぎというのは、脳の機能の低下を早めてしまう恐れがあるのではないか。海外の研究者では認知症のリスクが高まるのではないかと言っている方もいらっしゃる」
脳に大きな影響を与える長時間のスマホ使用。上手に付き合っていくために、大人も子どもも、適正な使い方を考えていく必要があります。
■こんな人は注意 “スマホに使われている状態”はダメ!
スマホの影響で、認知症のリスクが高まるおそれがあるということです。
どのような人が注意が必要なのか、東北大学の榊浩平助教はこのように指摘します。
▼スマートフォンが使えない状況で、イライラする。落ち着かない。
▼ネットの利用時間がコントロールできない。
▼落ち込んだ時、気分を上げるのはネット
【東北大学応用認知神経科学センター 榊浩平助教】「“スマホに使われている”ような状態はダメ!」
関西テレビの藤本アナウンサーは「全て当てはまる」と回答した上で、次のように話します。
【関西テレビ 藤本景子アナウンサー】「でも分かってるの。本当に分かってるんだけど、大人でもコントロールできないんですよね。だから私、実は通販でスマホを入れて、鍵閉めるってやつを今ずっと検索してるんですよ。でも結局それもスマホで検索して使ってるから…」
■対策は…スマホを使うときは目的を持って!
では、一体、どうすればいいのでしょうか。対策は…。
▼読書の習慣(紙で活字で読むことが脳にとって良いそうです。)
▼ほどよい運動(ココロとカラダは連動してます。)
▼対面でのコミュニケーション(チャットではなく直接のコミュニケーションが脳に良いそうです。)
【東北大学応用認知神経科学センター 榊浩平助教】「自己管理能力を向上させ、スマートフォンの使用は目的をもつことが大事」
こういった対策が有効だということです。
番組コメンテーターの京都大学大学院の藤井教授は「スマートフォンを持たない」と話しました。
【京都大学大学院 藤井聡教授】「人間はそうやって進化してきたんですから、対面で。僕はずっとスマホ使ってないですから。それはもう“スマホに使われるような自分になる”イメージができてしまうので、最初から持たない決断をしてるんです」
日々の意識をちょっとでも変えていくところから始めてみてはいかがでしょうか。
(関西テレビ「newsランナー」2025年3月7日放送)