卓球界に現れたニューヒロインの話題です。
シングルス世界ランキング8位、20歳の大藤沙月(おおどうさつき)選手。大阪を拠点とする大藤選手に急成長の秘密を聞きました。
■この1年で急成長した卓球界期待の星・大藤沙月選手
身長152センチの体を大きく使った、ダイナミックなプレー。
卓球界の超新星、大藤沙月選手、20歳です。
大藤選手は去年、世界トップレベルの選手が集まる国際大会で、平野美宇選手、伊藤美誠選手、張本美和選手と多くのオリンピック選手を破り優勝。
世界ランキングでシングルス8位、ダブルスでは1位に上り詰めた、ロサンゼルスオリンピック期待の星です。
実は、大藤選手の去年4月時点での世界ランキングは125位。この1年足らずで、大躍進を遂げました。
【大藤沙月選手】「自分でいいのかなというか、そんな感じがあります」
【橋本和花子キャスター】「優勝して、何か自分にご褒美って 買ってあげましたか」
【大藤沙月選手】「少し服を多く買うようになりました。少し余裕が出てきて」
卓球教室のコーチをしていた父の影響で、3歳から競技をはじめた大藤選手。
中学からは、地元・福井を離れ、大阪に卓球留学。石川佳純さん、福原愛さんらを生んだ大阪の名門・ミキハウスで腕を磨きました。
【大藤沙月選手】「勝っていくことが、続ける 1番の要因になったと思っているので。どんどん勝っていくにつれて、もっと卓球が楽しくなったという感じです」
■ライバル横井選手の存在が大藤選手を成長させた
そして中学生の時に、大藤選手を成長させる出会いがありました。
同級生でダブルスとして世界ランキング1位に輝く横井咲桜(さくら)選手。2人は仲間として、ライバルとして腕を磨いてきました。
大会の意気込みを聞いた時は…。
【横井咲桜選手】「自分たちの力が出せたらいい」
【大藤沙月選手】「声小さくない?」
【横井咲桜選手】「勢いのままできるようにしたい」
【大藤沙月選手】「声小さいって」
2人は競技を離れても、とても仲良し。いまも所属する企業の寮で一緒に生活をしています。お互い、親元を離れ、卓球に打ち込んできました。
【大藤沙月選手】「(横井選手は)彼氏みたいな感じ」
【横井咲桜選手】「助けてください、暴走している」
成長の理由は、ずっと一緒に戦ってきた仲間の存在。
■失敗を恐れないことを大藤選手に伝えた坂本コーチ
そしてもうひとつ、成長を後押しする出会いがありました。
おととしから指導する坂本竜介コーチ(40)。大藤選手にかけた言葉がありました。
【坂本竜介コーチ】「『ミスをしないと人間学ばないんで、どんどん失敗してくれ』と。結局それをまた修正したり、改善できれば失敗とかミスなんて言葉なくなるでしょ、っていうのが僕の考えなので、それを伝えていたってことですね」
以前の大藤選手は、失敗を恐れるあまり、守りに入ってしまい、思い切ったプレーができませんでした。そんな中、坂本コーチと取り組んだのが、意識を変えることでした。
【大藤沙月選手】「いつもミスをしていたら落ち込んでしまったり、 自分の世界だけに入っちゃう性格だったんですけど、ミスしても勉強になったっていう風に捉えてやることで、笑顔が増えました。安定志向だったので、今はもう思い切っていこうみたいな」
■見据える先は3年後のロス五輪
失敗を恐れないようになった大藤選手は、思い切ったプレーで勝ち星を積みかさねました。
そして、世界トップレベルの選手へと進化を遂げたのです。
見据える先は、3年後に迫ったロサンゼルスオリンピック。
【大藤沙月選手】「まずは出場して、その先に団体・シングルスで金メダルを取れるように。これからも前向きに取り組めたらいいなと思います」
■「この1年の自己採点は120点」
【橋本和花子キャスター】「ご自身で『笑顔が増えた』と言っていましたけれども、インタビュー中もすごく卓球のことを楽しそうに語る姿がありました。本当に大躍進を遂げた大藤選手ですが、この1年の自己採点は120点。大満足の1年だったそうです」
1年でこんなにランクアップするのかというぐらいの成長ぶりで、まさに期待の新星です。
【共同通信社 編集委員 太田昌克さん】「何て言うか、心の中の殻からひよこが出てきて、羽ばたいてるという感じですね」
大藤沙月選手には世界へ、前だけを向いて駆け抜けていって欲しいですね。
(関西テレビ「newsランナー」 2025年3月10日放送)