奈良県橿原市でおととし、交際相手の当時4歳の娘に暴行を加えて死亡させた罪などに問われ、裁判員裁判で無罪を主張している男に対し、検察側は「懲役8年」を求刑しました。 一方、弁護側は改めて、無罪だと主張しました。
起訴状などによると、大阪府門真市の山下翔也被告(28)はおととし年6月、奈良県橿原市のマンションで、当時交際していた女性の娘の田川星華ちゃん(当時4歳)の腹部を何らかの方法で圧迫する暴行を加え、死亡させた傷害致死などの罪に問われています。
これまでの裁判で山下被告は「暴行はしていません」と無罪を主張していました。
10日の裁判で検察側は、「幼い被害者にしつけと称して、繰り返し怒って暴行を加えるなど行為は極めて悪質」だと主張。 「謝罪や反省もなく、強く非難される」として懲役8年を求刑しました。
■被害者の母「何度も怖い思いをし、命まで奪われた」「可能な限りの厳罰」求める
また、星華ちゃんの母親は次のように意見陳述しました。
【星華ちゃんの母親】「4歳の娘は何度も怖い思いをし、激痛に耐えたうえ、命まで奪われた。被告は裁判で自身の責任と全く向き合わず反省もしていない。娘の痛みはわからなくてもせめて自分の罪の重みを感じてほしい」
そして、「可能な限りの厳罰」を求めました。
一方、弁護側は次のように主張しました。
【弁護側】「被害者に日常的に暴行を加えていたのは母親であり、自分が疑われるかもしれないと言う思いから証言を変遷させていった。 被害者は、※胸腺が萎縮していることなどを踏まえると、(死亡するまで)3カ月ほど虐待されていたことも考えられ、これは被告が母親が出会う前から虐待の環境下に置かれていたといえる。 腹部の圧迫も母親による心臓マッサージによる行為とも考えられる。被告にわかっているのは自分がやっていないということ。疑わしいだけではなく、様々な可能性があり裁判の証言や証拠を常識的に考えれば疑問が残る」
その上で、「被告はやっておらず、無罪」と主張しました。
※虐待を受けた子供は胸腺が委縮するという研究がある。
山下被告は裁判の最後に「私は、言われているような暴行はしておりません」と改めて述べ、結審しました。 判決は19日に言い渡されます。