斎藤知事に対する告発は「公益通報」に該当 告発者の処分は「違法」調査の第三者委員会 記者会見での知事の「うそ八百」など発言は「パワハラに該当する行為」と指摘 2025年03月20日
斎藤知事に対する告発文について調査していた、第三者委員会は、元西播磨県民局長による告発文は、「公益通報に当たり、元西播磨県民局長の処分などは違法だった」とする報告書を公表しました。 また告発文について知事が記者会見で、「公務員失格」、「うそ八百」と発言したことは、告発文には、「数多くの真実と真実相当性のある事項が含まれており、『うそ八百』として無視することはできない」と述べ、「パワハラに該当する行為」と指摘しています。
■「告発者探し」「元県民局長の処分」など県の対応の『違法』な点は
第三者委員会の報告書では、告発を公益通報に該当すると認定したうえで、県の対応については『違法』なものがあったと認定しています。
・通報者を探し、メール調査と元西播磨県民局長らへの事情聴取をしたことは『違法』。 斎藤知事は、「通報者探し」を命じた理由として、「文書には、自分たちへの誹謗中傷のほか、関係企業や職員らの実名を記して名誉毀損、信用毀損等がなされていたために、それ以上の拡大を阻止し、再び同様の告発文が頒布されないよう抑止する必要があり、特定が必要な緊急性があったため」と説明しているが、こうした動機による通報者探索は、公益通報者保護法の趣旨に反するもの。通報者探索禁止の例外として規定する「やむを得ない場合」に当たるということもできない。
・片山元副知事らが3月25日西播磨県民局に赴いた際に、元西播磨県民局長の公用パソコンを引き上げた行為は、違法な通報者探索行為の一環であり、県が所有し、管理権限を有する公用パソコンであることなどを考慮しても、『違法』。
・元西播磨県民局長に対して行った懲戒処分で、告発文の一部は公益通報者保護法の要件を満たし、通報者は保護されるため、通報したことをもって、不利益取扱いとしての懲戒処分を課すことは許されない。この点において、明らかに『違法』。
■斎藤知事 記者会見での「公務員失格」「うそ八百」発言は「極めて不適切」「パワハラに該当する行為」と指摘
・去年3月27日の記者会見で、斎藤知事は、「ありもしないことを継々並べた内容を作ったことを本人も認めている。」などと発言したが、そのような事実はない。発言は、斎藤知事が自身の言説を強調しようとしたものであり、極めて不適切で、直後に撤回をされるべきであった。 また、斎藤知事は、元西播磨県民局長を「公務員失格」、「うそ八百」などの言葉を用いて非難したが、本件文書には数多くの真実と真実相当性のある事項が含まれており、「うそ八百」として無視することはできず、むしろ、県政に対する重要な指摘をも含むものであった。 少なくとも、調査末了の段階で、強い語句や断定口調でマスコミに伝えて公に知らしめる必要性はなかったし、斎藤知事の発言は、元西播磨県民局長に精神的苦痛を与え、職員一般を委縮させ、勤務環境を悪化させるもので、パワハラに該当する行為であった。
・去年4月4日に元西播磨県民局長が県の担当窓口に内部公益通報していて、懲戒処分は、行うとしても、調査結果を待ち、公益通報としての保護が与えられる事案かどうかを確認してからすべきであった。 懲戒処分を、斎藤知事の意向で、内部公益通報についての調査結果が出るのに先行して、去年5月7日に行ったことは相当ではなかった。 斎藤知事はこれまで、「県の対応は、適切だったと考えている」と繰り返し述べていました。
■「告発は公益通報に該当する」と認定した根拠とは
第三者委員会が「告発は公益通報に該当する」と認定した根拠です。
【第三者委員会の報告書内容より】「告発文の『贈答品に係る問題』は、贈収賄罪が問題になることを指摘し、『プロ野球球団優勝パレードをめぐる問題』では、刑法の背任罪が問題になることを指摘。また、『職員に対する言動ないし対応の適否」については、調査をすれば、刑法の暴行罪、傷害罪等が成立するほどの問題性の大きいパワハラ行為が顕在化する可能性が指摘されている。したがって、これらは公益通報者保護法の通報の要件を充たしている」
また「告発に『不正の目的』があったか」、については、「元西播磨県民局長が文書内容を流布させることで『不正の利益を得る』ということは考えにくい。知事や県の幹部職員らを失脚させる目的があったとまでは認めることができない。文書の配付先が10カ所に限定され、その中に県警本部が含まれていたことから、直ちにこの文書内容を広く流布して県政を混乱に陥れようとの不当な意図も看取することができない」と指摘しました。 こうしたことなどから「公益通報と認定」しています。