大阪地検特捜部に逮捕・起訴され、その後の裁判で無罪になった大手不動産会社の元社長・山岸忍さんが、3年前に国を訴えた裁判。
大阪地裁は、「検事の威迫により虚偽供述をしたことが明らかとまでは言えない」、「山岸さんに対する起訴が批判を受ける部分があることは確かだが、国家賠償法上、違法ではない」とし、山岸さんの訴えを退けました。
山岸さんの元部下の取り調べ映像が公開されていて、検事が大声をあげたり、机をたたいたりする様子が映されています。判決の中では「著しく不適切な取り調べ」としながらも、山岸さんの訴えは棄却という判断になっています。
■「取り調べ」と「虚偽供述」の関係がポイント
番組コメンテーターで京都大学大学院の藤井聡教授は、「こんなこと断定できないと言っていたら、世の中に断定できることなんて一つもない」と、今回の判決に疑問を投げかけました。
【京都大学大学院 藤井聡教授】「一番のポイントは、あの取り調べによって虚偽供述が引き出されたかどうかということ」
■「あの取り調べによって虚偽供述が出てきたことは明らかと考える」
【京都大学大学院 藤井聡教授】「常識の範囲で考えて、恐らく理論的な学術研究や心理学研究などで検定したとしても、あの取り調べによって虚偽供述が出てきたことは明らかだと私は考えます」
■「この判決はおかしいと学者として感じる」
【京都大学大学院 藤井聡教授】「世の中に明らかなことは本当はなくて、99.9パーセント正しくて、ひょっとしたら間違っていることがあるかもしれない。そのレベルの文言だと思います。『虚偽供述に至ったとは断定できない』と言う。こんなこと断定できないと言っていたら、世の中に断定できることなんて一つもないですよ。私はこの判決はおかしいと学者として感じます」
検察の捜査のあり方が問われている裁判。
1審では山岸さん側の訴えが退けられる判決となりましたが、山岸さんは控訴する方針を示していて、今後の裁判の行方に注目が集まります。
(関西テレビ「newsランナー」 2025年3月21日放送)