フジテレビの問題について、3月31日に行われたフジテレビの会見を取材した石戸諭さんは、当時の港社長、大多・編成担当専務、編成制作局長のいわゆる「編成3人組」が問題を矮小化したとして、その責任は重いと指摘しました。
■「詳細な部分の公表に驚いた」とフジテレビ問題の取材続ける石戸氏
石戸諭さんは3月31日に行われたフジテレビの会見、第三者委員会の報告書を見ての率直な感想をこのように話します。
【石戸諭さん】「僕らも含めて、まさか第三者委員会の調査報告書が、ここまで詳細にかつ、中居氏と女性との間にあったトラブルの詳細な部分まで公表になるということは、誰も予想していなかった。
事前に報道を見てても、だいたい多くの記者が感じていたことは、『いや、そうは言っても、調査ってどこまでできるんですか』と。『3月の段階で、本当に公表できるとこまで行くんですか』と。『2カ月で無理だろう』と、中間報告みたいな形で1回出して、本番の詳細な部分は、6月に予定されてる株主総会の前に出てくるとかそんなことを想定していた。
ところが、これを見事に覆してくるというか、詳細なメールのやり取りまで明らかになっていたので、これは驚きました」
■石戸氏が指摘する“フジテレビ”2つの問題
そんな石戸さんが指摘するフジテレビ2つの問題
1.“閉鎖的”な意思決定“編成3人ライン”
2. 38万円高級ホテル代を…見逃した“不正経理”
まずは、1.(“閉鎖的”な意思決定“編成3人ライン”)について。
この“編成”というのは、テレビ局において社内外のさまざまなことを決定する中枢と言ってもいい部署です。
その部署で閉鎖的な意思決定が“編成3人ライン”で行われたということです。
被害女性と関わったフジテレビ社員、そしてフジ経営陣の関係をみていきます。
中居氏とトラブルがあった元フジテレビアナウンサーの女性A さんは、上司であるアナウンス室部長のF氏が連絡窓口となり連絡を取っていました。
そのF 氏は、上長であるアナウンス室長のE氏に報告、そしてE氏は編成制作局長のG氏に報告を上げています。
さらにG氏は、編成担当役員で専務の大多亮氏に報告。大多氏は当時社長だった港氏へ報告をしています。
この港氏、大多氏、G氏が意思決定の中枢を担っていた”編成ライン”3 人だけで意思決定が行われたということです。
■港元社長、大多元専務それぞれの主張 第三者委員会は厳しく指摘
当時の港社長、大多専務は1 月に行われた会見でこのように話していました。
(Q.改変期に番組をたたむのは、一般の視聴者にとっても自然なことだと思う。それでもなお起用を続けることになってしまった理由は?)
【フジテレビ前社長 港浩一氏】 「彼女のコンディションの問題です。どういうやり方が刺激になってしまうのかということを、常に見ながらやってきた」
【フジテレビ元専務 大多亮氏(関西テレビ社長)】「ある種の衝撃を私は受けた。私の中ではとにかく彼女が…分からないように、公にならないようにということを常に最優先に考えていた。中居氏を守ろうという意識はなかった」
そして第三者委員会のヒアリングに対しこのように答えています。
【フジテレビ前社長 港浩一氏】「Aさんの意思確認が不十分であった点は否めないが、当時の状況を鑑みると、Aさんの心身を最優先にすることがあったので間違いではなかったと思う」
【フジテレビ元専務 大多亮氏(関西テレビ社長)】「ガバナンスを効かせることで組織(CX)は守れたとしても、人が死んでしまうという結果になってしまうことはあり得ない(あってはならない)と考えた」
これに対し第三者委員会は3つの対応を厳しく指摘しています。
・「プライベートの問題」と認識したこと
・「女性の生命」を最優先に何もせず ・情報共有の範囲を限定したこと
■大多社長「自ら、進退を判断するタイミング近づいている」
再三指摘されているフジテレビのガバナンスの問題。
この問題に対してしかるべき部署、コンプライアンスを担当する部署に上げなかったこと、そして中居氏の番組を継続したことで、女性側から見れば「自分は守ってもらえない、会社はフジテレビ側についたんだ」と思ったということです。
【石戸諭さん】「まさにその通りで、この3人の意思決定で1番問題になったのは、まず女性を被害者として認定しなかったということです。
大多さんは『衝撃を受けた』という等々の発言はしていますが、実際に『その衝撃を受けた』後に、何をやっていたかと言えば、この3人の意思決定に関しては中居さんが加害者であり、女性は被害者であるという認識でことを動かしていない。
あわよくば、なんなら番組の継続を、タレントの立場に関してもかなり気にした素ぶりを見せてるんですね。これは女性を守るのが立て前になっているけども、結果的に守りたかったのは中居氏との関係性であったりとか、その番組の継続であったりとか。
あわよくばもうこの問題がちゃんと収束して、何か関係性を維持していこうとか、そういうところが優先されていたという判断になるとしか思えないですね。
やっぱりプライベートな問題として扱いすぎたということです。
その点においては、自分たちが『これはなんか男女間の恋愛トラブルみたいなものでしょ。過去にもあったよね。こういうことは』という考え方で、動かしてきたという所に大きな問題があったということです。
大多さんは今、関西テレビの社長をやっておられますけども、(フジテレビの役員は)辞任という道を選びました。 おそらくこの後フジテレビも、当時の対応について対応に当たった関係者への処分というのは、当然検討しているし、なされるものだと思います。
それをなされた上で、(大多氏が)まだ関西テレビの社長という職を続けるかどうか。つまり進退に関わっているぐらいの大きな問題なので、これについてはどこかのタイミングで、大多社長自ら判断をするタイミングが近づいてきてるんじゃないかと、僕は思います」
と、石戸氏は話しました。
■”編成ライン”トップ2人「何もしないという責任回避をした」
大多氏は3月31日、コメントを出しています。
【フジテレビ元専務 大多亮氏(関西テレビ社長)】「厳しいご指摘を受けたことを真摯に、そして深く受け止めております。被害に遭われた女性には寄り添うことができず、心よりおわび申し上げます」
編成ラインの判断について河西弁護士は「責任回避をした」と指摘します。
【河西邦剛弁護士】「港さん、大多さんはそれぞれAさんの心身最優先し、Aさんの自死を心配した。これはお2人の正直な気持ちだとは思います。
ですが2人とも番組制作のスペシャリストではあると思いますけれども、企業の危機管理対応としては素人的対応をしているんです。
つまり結局、何もしないっていう責任回避をしているということになっています。
どういう対応したら逆にどういう風な結果になるか分からない。だからこそコンプライアンス推進室という専門の部署に報告することはとても重要なんですけれども、これをお2人ともしなかった。
その結果、第三者委員会において2人は、フジの経営中枢を担う取締役この2人が、極めて思慮の浅い経営判断の誤りを犯したと認定されていることになると思います」
■紹介した弁護士はフジテレビに出演歴あり 女性に絶望を感じさせる対応
【石戸諭さん】「会社側がという話をしてますけども、今回、僕がすごく衝撃を受けたのは、第三者委員会の報告書ではB氏となっている編成幹部が、中居さんから頼まれて弁護士の紹介もしている。
それもフジテレビに出演歴のある弁護士を 紹介している。それは個人の関係で紹介したのかもしれないが、女性側から見るとフジテレビ側が紹介して、かつフジテレビの関係者と言ってもいいような人が弁護士についていたら、それは『会社は守ってくれないんだ』となる。
大多氏は『中居さんを守ろうという意識はなかった』という意識だったと。恐らく正直にそう なんだとは思うが、ただそうは言っても結果的に、外形的な事実だけ見たら、これ明らかにフジテレビ側が中居さんサイドに立っていると(見える)。
『それおかしいよね』と、大多氏が専務時代に指摘したのかと。『その対応って間違ってるんじゃないか』ということを、ちゃんとB氏に指摘したのかという形跡もあまりないんです。
その外形的に見て『どうなんだ』ということを今回、第三者委員会が、第三者の立場から認定したということです」
■アナウンス室部長のF氏に個人では抱えられないような問題を押し付けた
女性A さんと向き合っていた当時アナウンス室部長のF氏についても、第三者委会は触れています。
【関西テレビ 加藤さゆり報道デスク】「報告書の中では、FさんはAさんとの連絡を窓口となっていて、1本化するということになっていました。
Aさんに番組を降板を伝える際に、『Aさんはまるで慟哭(どうこく)するような状態で、F氏はAさんの病状が悪化してしまうのではないかと心底心配であり、F氏自身のメンタルもギリギリまで追い詰められていた』ということが今回の報告書にかかれています。
つまりFさんはメンタルの専門家でもなんでもないわけなんです。でもそれを一手に引き受けなきゃいけなかったという所。
弁護士の件も書かれていました。フジテレビとしては、番組で使ったことのある弁護士さんであり、Aさんとしても共演の経験がある方を中居氏側の代理人に据えたということで、これFさんも相当ショックを受けたと。
その時に『私とは守るものが違う』ということを、その時おっしゃったそうです。ですからFさんにとっても、かなり困惑する状況がフジテレビの中では行われていたんじゃないかなと思います」
【青木源太キャスター】「第三者委員会の報告書に基づいてFさんとお伝えしてますけれども、ネット上では実名が出ていて、かなり誹謗、中傷に近い叩かれ方もしていました。これは名誉回復が図られてしかるべきだと私は思います」
【石戸諭さん】「全くその通りです。今回、1番僕らの中でも、全体から見れば小さな問題かもしれないけど、個人にとってみたら非常に大きな問題で、対応の中でおいてFさんに関しては、ものすごく第三者委員会の報告書の中でもかなり擁護するような書き方になっています。
それはそうですよね、だって恐らく女性だからという理由で、対応しなさいっていうような形になってたと思うんですね。もちろん役職もそうだし、女性のアナウンサーの先輩であるっていうところも、非常に大きな要素だったと思うんです。
だけどこの時の対応で何が問題かといえば、およそ個人では抱えられないような問題を押し付けたっていうことですよね。組織として。それはやっぱ良くない」
【青木源太キャスター】「内々で収めようとしていた姿勢がその辺りからも見てとれます」
■一晩で38万円『セクハラ会合』支払いはフジテレビ ガバナンス『グズグズ』を裏付けるもの
石戸さんが指摘する次なるポイントは、約38万円の高級ホテル代が不正経理ではないかということです。
【石戸諭さん】「この話は記者会見で私がフジテレビの清水社長にも問うた所ですけども、38万円の高級ホテル代。
スイートルーム仕様で飲み会をやっていたと。しかもその場で中居さん交えた、タレントからのセクハラ行為があったということが認定されているわけです。
これはかなり問題で、まずフジテレビが主催した場で、セクハラが行われていたと見られてもおかしくはないですよね。支払いはフジテレビが行っている。
それから一晩で38万円という額の高さ。
これ普通、『ロケ等施設使用料』となった時に、『これ何のロケですか』と普通の企業、今だったら他のテレビ局だってみんな聞きますよ。『何のロケですか』、『いつの番組で、何の番組のどのロケ』、『いつ放送されるの』というのをスルーされている。
こんなところを使ったロケはないわけですから、かなり不正な経費精算で、それもガバナンスがグズグズだったってことを裏付けるものですよね」
■“スイートルームの会”はフジテレビの経費 申請したB氏は詐欺罪に該当する可能性も
【青木源太キャスター】今回の件というのは、報告書にもありましたが“業務の延長上”にあるのかどうかを非常に問われていました。
この“スイートルームの会”というのは、トラブルがあった当日のことではありません。
ただそれにまつわる、延長戦上にあったという中で、この“スイートルームの会”がフジテレビの経費で支払われていたということは、どのような影響を与えるのでしょうか。
【河西邦剛弁護士】「結論から言うと“経費申請詐欺”、つまり詐欺罪に該当する可能性すらあります。
ポイントになってくるのは、この38万円を「ロケ」と「施設使用料」の名目で申請されていることです。実際にロケを行ったかどうかは、映像素材を確認すれば判明するわけですね。
実際にロケ等がないのにこの名目で申請されてるとするならば、事実でないことを告げて、フジテレビから金銭を得たということになりますので、詐欺罪に該当してくる可能性はありますし、実際にこういった行為をB氏が繰り返していたとするならば、より不正請求金額も上がってくる可能性があるということです」
【青木源太キャスター】これはフジテレビがB氏 に返金を請求する権利があるということですか?
【河西邦剛弁護士】「ここについては清水社長が会見で『名目上は極めて不適切な経理精算がなされた。今後返金を求めることも含めて、厳正に対処する』とはおっしゃっていましたが、この発言についても、ある意味、当事者(B氏)寄りになっている、そういった見方もできるわけです。
つまりこれは『不適切』どころか『違法』、場合によっては『犯罪』の可能性すらあるのに、会見においては『不適切』というやや緩やかな表現をとどめている。ここに清水社長の認識が現れているかと思います」
■深刻な経理決裁の緩さ 経理申請の仕方にも企業体質の問題
【青木源太キャスター】一般的に経費を請求する時は本人、そして本人の所属する部署、そして経理を司る部署の承認があり、印鑑を押して通すというプロセスがあるわけですが、これが通ってるということ自体、フジテレビの経費にまつわるガバナンスの問題というのも感じられます。
【河西邦剛弁護士】「深刻なフジテレビ側の経費決裁の緩さがあるかと思います。 それを前提に編成幹部というのは、非常に不適切な経理申請をしていることが、まかり通ってわけですね。B氏の問題とは別に、経理申請の仕方にも非常に根本的な企業体質の問題があったと言えると思います」
【真鍋かをりさん】もし交際費として申請されていたら大丈夫なのでしょうか?
【河西邦剛弁護士】「前提としてフジテレビにおいては、タレントとの食事については幅広く経費として認められるルールにはなっているとのことです。
ですが実態を見た時に、そのタレントがセクハ行為をするような、これはそもそも論として経費云々ではなく、不適切な会合ですから、これを正として通ることは通常ないということですね」
■「ロケ名目の会食」常態化していた可能性も
【石戸諭さん】「『これを仕事だ』って言い張るのは、相当困難で『かつては多分そうだったんでしょうね』と推測できますよね。
この方法、“ロケ等施設使料”を立て替え請求というのが、恐らく常態的になっていたんじゃないですかと疑うには十分なんですよ。他にあったんじゃないかということですね。
あるいは過去にも同様の、B氏以外にもやってたんじゃないかってこともあり得るので、これはちゃんと調べないと、本当にフジテレビ側も脱税してたんじゃないですかとか、あるいは詐欺的な方法で色んな人たちが経費やってたんじゃないですかっていうのは問われる」
【青木源太キャスター】加えて、今回の件に関しては、そこでセクラ行為が行れていたということですからね。
【石戸諭さん】「これ私費だったら、会社員だったら払えない額ですよ。これを私費で認めないで公費として認めてしまってる所に問題の根幹がある」
【青木源太キャスター】撤退したスポンサーが戻ってくるという話は、まだ聞こえてきません。 今後のフジテレビの体質の改善であったり、今後どうしていくかという姿勢が求められています。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年4月2日放送)