フジテレビの元専務で関西テレビの大多亮社長が、一連の問題を受けて社長を辞任すると発表し、当時の対応について「情けない」などと話しました。
■“編成ライン3人”の内の1人 フジ元専務大多亮関西テレビ社長「辞任」
4日、取材に応じたのは、フジテレビの元専務で関西テレビの大多亮社長。
【フジテレビ元専務 大多亮関西テレビ社長】「これ以上、関西テレビの社長の職を続けることは不適切と考え、本日付けで辞任したという次第です」
フジテレビ専務時代に起きた、中居正広氏をめぐる一連の問題を受けて、辞任したことを明かしました。
おととし、元タレントの中居正広氏と元フジテレビの女性アナウンサーの間に起きた“トラブル”。
【中居氏】「今晩、ご飯どうですか?」「メンバーの声、かけてます」
3月31日、第三者委員会が公表した報告書でその詳細が判明し、中居氏が「ウソ」をつくなどして、2人で食事をする状況をつくり、“トラブル”につながっていたことがわかりました。
第三者委員会はこの事案を「業務の延長線上における性暴力」と認定。
さらに港浩一元社長や大多社長らが、当初「プライベートな問題」だと認識を誤り、その後の判断においても「人権意識の低さを露呈した」と厳しく指摘しました。
■「女性の心情に寄り添うことができず、彼女を苦しめてしまった本当におわびしたい」
問題の対応にあたった当事者としては、第三者委員会の会見後、初めて取材に応じた大多社長。
まず述べたのは、謝罪の気持ちでした。
【フジテレビ元専務 大多亮関西テレビ社長】「私がまず何よりも謝りたいのは、女性Aさんに対してです。Aさんの心情に寄り添うことができず、彼女を苦しめてしまった本当におわびしたい」
大多社長は、ことし1月に会見を行った際、トラブルを把握したあとも中居氏を番組に起用し続けた理由について、こう話していました。
【フジテレビ元専務 大多亮関西テレビ社長(ことし1月)】「中居氏を守ろうとか、そういういう意識などはもうなかった。それよりも彼女を守るために最善の手はなんなんだ、ということを考えていた」
しかし、第三者委員会は、当時のフジテレビの対応について「中居氏の利益のために動き、女性に対する“二次加害行為”にあたる」と指摘。
「守るため」と説明した行為が、女性をさらに傷つけていたと認定されたことについて、大多社長はこう述べました。
【フジテレビ元専務 大多亮関西テレビ社長】「自分たちもこれでいい、良かれと思ってやっていたことが、彼女にとって全然違っていたという指摘は、本当に情けないというか、そういう発想になかったということが一番大きな反省点だと思います」
■「クローズド」な対応について「情報が漏れることを懸念」
また、記者から指摘が相次いだのが、「クローズド」な環境で行われた判断について。
当時、問題への対応は、港社長、大多専務、編成制作局長の“閉ざされた3人”で協議されました。
この点について、第三者委員会は・・・。
【第三者委員会 竹内朗委員長】「間違った判断を導いたのは、編成・制作ライン“編成ごと”という狭い考えの中で、コンプライアンス推進室や外部の専門家に相談せずに、そのような判断をしてしまった。これが大きな問題を生んだ」
一体なぜ、「クローズド」な対応をしたのか、大多社長は・・・。
【フジテレビ元専務 大多亮関西テレビ社長】「あの当初は、とにかく1人でも多くの人が知ってしまうことは、必ず情報が漏れてしまうというのをすごく気にした。『(編成・制作ラインの)古い3人がわかっていないんだ』ということを(報告書に)書いてありましたけども、対応の知識や弱さはすごく感じます」
■大多氏の女性アナウンサーらを伴う会合「私の認識が甘かった。時代からずれていた」
また第三者委員会は、中居氏やフジテレビ社員B氏らが参加し、一時女性アナウンサーが部屋に置き去りにされた「スイートルームの会」などセクハラ行為を伴う、類似事案についても調査。
フジテレビが性別や年齢、容姿に着目して、女性アナウンサーらを会食に誘う慣行が、人権侵害のリスクを助長したと指摘していました。
自身も番組出演者やアナウンサーを伴った会合を複数行っていたとされた、大多社長。あらためて認識を問われると・・・。
【フジテレビ元専務 大多亮関西テレビ社長】「報告書の中で、(参加者が)不快な思いをしたということが書いてあったが、そうだとすれば、私の認識が甘かった。時代からずれていた」
次の社長は、未定で、株主総会が開かれる6月までは、福井会長が、兼任します。
■中居氏の行動「ひどいと思った」
大多亮関西テレビ社長の主な発言です。
女性Aさんへの対応について聞かれた大多社長は、「自分たちが良かれと思ってやっていたことが彼女にとって全然違っていたという指摘は本当に情けなく一番大きな反省点」。
また、中居氏の番組継続については、「当時番組を守る意識はなかった。Aさんの誰にも知られたくないという思いをかなえるためだった。ただ、彼女に心境の変化があったことや他の可能性があることに対応できなかったことが反省点」と述べました。
さらに中居氏の行動について、「本事案は中居氏がうそとは言わないが、ああいう形でAさんを呼び出し、2人になったのは最初の報告でプライベートだと思っていたが、ひどいと思った」とも話していました。
■「“人権に関わる事案”という問題の本質を本当に理解しているのか疑問」と危機管理に詳しい専門家
企業の危機管理に詳しいエイレックスの久我誠氏は、「辞任のタイミングは適切だった。一方で発言を聞いていると“人権に関わる事案”だったという問題の本質を本当に理解しているのか疑問」と指摘しました。
■関西テレビ取締役の日枝氏の進退は
関西テレビの取締役を務める日枝氏については、「これから関西テレビの会長が日枝氏と今後について話をしていく」ということです。
【関西テレビ・神崎博報道デスク】「フジテレビの取締役相談役は退任されて、親会社であるFMHの取締役相談役も退任意向で、6月の株主総会で退任する予定だということです。関西テレビとしても、福井会長兼社長が今後日枝氏と話をするんですけども、早くに判断する必要があるんじゃないかと思います」
【吉原功兼キャスター】「フジテレビに端を発したこの問題。弊社の社長が辞任するという形になりました。社員一人一人コンプライアンスの意識を高く持って、そして企業としてガバナンスをしっかりときかせる体制を作って、視聴者の皆様に信頼していただけるよう引き続き取り組んでまいります」
(関西テレビ「newsランナー」 2025年4月4日放送)