1月に起きたロサンゼルスの大規模な山火事から3カ月。
自宅が全焼したアーティストが個展を開きました。
■ことし1月ロサンゼルスで起きた山火事で自宅が全焼
今月5日、個展を開いたアーティストの杉下拓海さん(26)。
【杉下拓海さん】「みなぎる力とか命っていうのを表した作品で今回、家の庭で焼けた木の枝を自分で切り取って、この作品に組み込んで火事を経て新しい姿として展示しました」
ことし1月、ロサンゼルスで起きた山火事でアトリエを兼ねた自宅が全焼しました。杉下さんには作品を通して伝えたいメッセージがありました。
山火事が起きた時、外にいた杉下さんは姉と自宅の状況の確認に向かいました。
【杉下さんの姉】「やばいじゃん。終わりじゃん。早く開けて!」
強風が吹き荒れる中屋根に登ると、そこで見えたのは迫りくるオレンジの炎でした。
この時、衣類や一部の作品などを車に積み避難しました。
■自宅は焼け落ち、炎に包まれる
翌日、再び姉と自宅に向かうと…
【杉下さん】「どうでしょうか?やべ、燃えてる」
【杉下さんの姉】「えっまじで?」
【杉下さん】「なくなってる」
【杉下さんの姉】「オーマイガー」
自宅は焼け落ち、炎に包まれていました。
【杉下さんの姉】「めちゃくちゃ熱い…熱っ」
燃え広がる炎がこれまでの生活を奪いました。
【杉下拓海さん】「言葉を失いましたね。隣の山が燃えてる状況は経験してきたんですけど今回が一番ひどいなと実感してます」
■火事で1万8000棟以上が損壊 杉下さんがこれまで作った作品のほとんどが焼ける
1万8000棟以上が損壊する甚大な被害をもたらした山火事。杉下さんの自宅があった場所は立ち入り禁止区域に指定されました。
戻ることができたのは火事からおよそ2週間後。これまで作った作品のほとんどが焼けてしまいましたが、少しでも残っているものを探します。
【杉下拓海さん】「これ素材が鉄棒なんですけど、固い素材でも動きを表現したくて自分が走る姿というか火事を耐えて残ってくれたっていうのは僕の中ではすごく大きな意味を持ちますね」
先月、知人から借りたアトリエに杉下さんの姿がありました。
【杉下拓海さん】「これ実は大学の授業で作ったもので、授業の課題だったので特に自分の作品として出すつもりはなかったんですけど、保管してたガラスの棚が溶けて火事で翼みたいに見えて(山火事の)事象を得て、羽ばたけるようなすごく味が出たなと」
■山火事からおよそ3か月 個展「ZEN/SHIN」を開く
個展の開催に向け杉下さんの創作活動は連日続きました。山火事からおよそ3か月…
個展のタイトルは、「ZEN/SHIN」です。
【来場者】「とても感情的な作品。今回は町の人にとって悲劇でした」
【来場者】「『私は生きている。失ったものはすべて物質的なものにすぎない』という考えだと思いました」
とてつもなく長い復興への道のり…
【杉下さん】「僕が頑張っている姿を見て『自分も頑張ろうっていう気持ちになった』って伝えてくれた人もいたので、やって良かった。印象に残るような作品として記憶に刻めたらなって、それによって感動だったり、何か新たな視点を感じてもらえることがあったらいいなって」
大きな傷を負った人たちにメッセージを届け続けます。
(関西テレビ「newsランナー」2025年4月8日放送)