厳しい物価高などを受け、国民への支援策として、「現金給付」が良いのか、それとも「減税」が良いのか、与野党の攻防が激しさを増しています。
関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」に出演した政治を知り尽くす男、青山和弘さんが解説します。
■経済効果は『消費税の減税』が効果がある しかし実行まで時間がかかる
まずは「現金給付」と「減税」、物価高に苦しむ国民目線では、どちらがいいんでしょう?
【青山和弘さん】「減税、特に今問題になってるのは、消費税の減税です。『現金給付』か『消費税の減税』かということに限って話しますと、給付の良い点は、決めたら割とすぐお金が出ること。『配りましょう』って言ったら、各自治体が銀行口座をみなさんから聞いて、5万円なら5万円ってすぐ振り込むことができるんで、割とスピーディーにできる。
ただ、『消費税を減税します』となったら、やはり法律を通して一定程度、周知期間が要ります。各お店の例えばレジとか、システムを変えて、例えば今決めても、普通であれば来年の4月から、来年度からというのが多分、普通のスケジュールだと思います。だからその間、間があいてしまうのが1つ。
ただ一方で給付のマイナス点もあって、やはり先ほど言ったように自治体とか、色んなところが人手を使って、皆さんの銀行口座を聞いたり、そこに人件費もかかります。マージンがとられちゃう。お金が少しそこにかかってしまうということがあるのと、何に使われるかわからない。
つまり給付しても、貯金に大体7割ぐらい回っちゃったんじゃないかって、これまでのコロナの給付とかも、そういう統計もあって、消費税であれば、ものを買った人にだけ恩恵が行きますので、間違いなく物価がその消費税分だけ下がるので、物価高対策としては直接インパクトがあるんですよ。
だいたいGDPで言うと、『給付』と『消費税の減税』同じ金額使っても、倍ぐらい経済の効果は違うという見方もあるんです。消費税減税の方が直接物価に下げる効果があるんです。
もう1つ今、財務当局とかが大きく言っていることがあって、消費税の減税は1回下げてしまうと、いつまで下げ続けなきゃいけないかが分からないということなんです」
■減税のデメリット「一度下げたらなかなか上げられない」 給付のデメリット「貯金してしまう」
(Q.期限区切ることはできない?)
【青山和弘さん】「区切ることもできるんですけど、例えば3年だけって言っても、3年後に『いやまだちょっと物価高いね』とか、『景気良くないね、じゃあ続けましょう』となる可能性って、政治ですから十分あるじゃないですか」
【青木源太キャスター】「ガソリンとかもそうですもんね」
【青山和弘さん】「そうなんです。『暫定税率』で50年経ってますから。ただ、給付は1回限り。来年やるかどうかは、また来年やるって決めない限り無い。ということで、財務当局なんかは、やはり『消費税減税やめてくれ』と。1回やっちゃうともう二度と上げられないまま、上げるとしても、ものすごい政治力がかかるということで、消極的なんですね。
特に経済状況が悪ければ悪いほど、『貯金しとこうか、将来のために』っていうマインドも働くんですね。もらったらすぐ使おうっていうわけにもならない。ただ消費税であれば、ものを買った人、特に食料品の軽減税率に限れば、食料品という生活必需品を買う人にだけ恩恵が行くので、例えば貧困家庭とかにも大きな影響を与えることができるっていうのもあるんですね」
■石破首相の本音は? 「国民の大多数の意見分かってる」
石破首相の本音はどうなんでしょうか。
最近の石破首相の発言を見て行きます。
3月28日、(食料品の消費税減税について)「一概に否定する気はない」と含みを持たせました。
4月1日、(食料品の消費税減税について)一転して、「税率の引き下げは適当ではない」と否定をしています。
4月7日、(物価高対策としての減税について)「現時点では減税について、言及すべきだと思っていない」とまた含みを持たせた言い方をしました。
(Q.ズバリ石場首相の本音は?)
【青山和弘さん】「『政権を失うぐらいなら、安いものだ』が…っていうことです。つまり石破さんは、国民民主党の棒葉幹事長が言ったように、『税金を取って給付するぐらいだったら、取るのをやめろ』というのが今、国民の大多数の意見だってこと、実は石破さんもよく知ってるんですね。
参議院選挙で、『税金取らないでくれ』、『もう給付なんていうのは、もうこれまでも散々やってきて、もう我々もちょっと食傷気味だ』みたいなことになって、減税する派か、減税しない派かみたいなレッテルを貼られて、自民党は厳しい選挙になってしまう危機感はすごく持っている」
■「食料品だけ下げるのは安いもんだ」 亡国の政治との間で揺れる石破首相
【青木源太キャスター】「実際に国民民主党は、手取りを上げるという政策を掲げて躍進しました」
【青山和弘さん】「あれも所得減税で、103万の壁を上げるっていうのも。やっぱそれで躍進してるので、そこと真っ向から減税か減税じゃないかで対立するのは良くない。だから『政権を失うぐらいだったら、軽減税率、食料品だけ下げるのは安いもんだ』という発言を周辺にもしてるんです。
ただ先ほど言ったように、財務省とか財務当局は、1回消費税を下げちゃうと、もうそこから二度と上げられないかもしれない。今だって国債は1200兆円も残高があります。年間35兆円の赤字国債出しながら、日本の財政って運営しています。ここで消費税を下げるってことは、やっぱり“亡国の政治”だって批判も浴びるわけです。
例えば自民党のナンバー2の森山幹事長などからも、散々釘を刺されて、迷いに迷っているというのが、今の状況です。だから発言もぶれちゃうし、両方のプラスマイナスをよく知ってるからこそ、ぶれるという状況になっています」
■「給付」も「減税」も両方する それだけ財源が必要になる
スタジオでは「両方すればいいのでは」という話題になりました。
【青山和弘さん】「公明党などは、『いわゆるつなぎで給付して、消費税を例えば来年4月から下げるなんて言うのはどうだ』っていうことを提案しています。ただそうすると、両方やればそれだけまた財源が必要だというのも事実なんです。石破さんが言うように今、本当に国難で、やっぱり景気が腰折れさせたくないって言うんだったら、物価高対策として、特にお米とか野菜とか高いから、やはり消費税減税とかをして国民生活寄り添っていうのも1つの考えだと思います」
【青木源太キャスター】「あとは7月の参院選を踏まえて、色んな思惑がありそうです」
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年4月14日放送)