大手ウィッグメーカー『アデランス』が、「コロナの流行後、他人の顔について目がいくようになった部分」について調査したところ、男女ともに「目元」が最も多く、続いて「髪」という結果になりました。
皆さんマスク姿のため、隠れない部分が自然と目につくようになったという人が多いようです。
美容業界では「顔の上半分」に特化した商品やサービスの売上が伸びていました。
■売上伸びる“目元メイク”関連商品
まず向かったのは大阪市北区にある『梅田ロフト』の化粧品売り場。
最近の売れ筋はどうなっているんでしょうか。
梅田ロフト 売場担当 上田友子さん:
「こちらのアイライナーもピンクショコラがダントツで大人気です」
薄田ジュリアキャスター:
「アイラインとか引き締めの色だから、どうしてもトーンの暗い色を使いがちですけど、こういう明るい暖色系も?」
上田さん:
「マスク生活になって、赤みや柔らかく見せる色味が人気となっております」
他にも、マスカラやアイブロウ、アイシャドウでも暖色系の種類が増えていて、こうした目元メイクはコロナ前と比較しても売上を伸ばしているようです。
■マスクに合うメイクとは
しかし、次のような悩みも…。
薄田キャスター:
「未だにこのマスクありきのメイク、しっくり来ていないんですよね」
ヘアメイク専門の『アトリエはるか ekimoなんば店』。
マスクに合うメイクを提唱しているそうで、ポイントを教えてもらいます。
ヘアメイクアップアーティスト 白井里奈さん:
「通常の時だと、リップとかチークとかで、血色を出しているような状態だったんですけど、血色を出せるようなパーツがすべて隠れてしまっている状態なので、暗くは見えてしまいますね。それを補うには、アイシャドウでピンクやオレンジ等血色に近い色味を目元に入れることによって、ほんのり明るいような目元に仕上げるっていうことができると思います」
薄田キャスター:
「今までチークとか唇で補っていた色を顔の上の部分に持ってくるわけですね」
アイラインやマスカラも、最近の売れ筋でもあった明るい茶色や赤みのある色をのせていきます。
マスクの蒸気で崩れても、暗くなりにくい色なのが人気のポイントのようです。
メイクを終えてみると、目元の印象が明るくなったように感じます。
そして今、特に人気なのが「眉カット」。
こちらの店では、イベントの自粛でヘアセットやメイクの客は一時的に減ったそうですが、眉カットやまつ毛パーマなどのデイリーケアの利用客が増え、特に男性客はコロナ前の2倍になったそうです。
■新規参入した“眉毛専門店”が急拡大
そんな中、大手ウィッグメーカーのアデランスは2020年 11 月から眉毛専門店『ビューステージ』をスタート。
長年、女性の悩みに寄り沿ってきた技術と環境を活かし、個室でじっくりとカウンセリングをしながら眉毛ケアをしてもらえます。
眉毛専門のスタッフが、客の悩みをもとに、顔の骨格、表情、鼻や目の形などに合わせて眉の形を提案しています。
ワックスを用いた脱毛で形を整え、自身の眉毛を生かしたナチュラルな美眉に仕上げてくれます。
眉毛専門店ビューステージ アイブロウニスト 田村早季さん:
「眉頭の角度を上げて、眉間は間隔を広めにとって、角・山を取らせていただいて、なるべく優しい印象にしつつも細くならないように太さを残しています」
眉毛専門店として新規事業に参入してから約1年で急速に店舗を増やし、現在は全国に47店舗を展開しているそうです。
そのヒミツは…。
アデランス ビューティ&ヘルス事業推進部 岸富士雄部長:
「ウィッグ事業の女性のお客様が、やはり外出自粛という余波のひとつで、お店に来店されるというのができなくなりました。全国の店舗の稼働率が急激に悪化したという状態がありまして。そういった空いている場所を有効利用したことで、急激に店舗数を増やせました」
眉毛専門店の立ち上げからおよそ1年で、予想を上回る4万人以上の新規客が来店したそうです。
もともと個室が多い店構えだったことや眉毛専門を強く打ち出したことが人気のヒミツのようです。
こうした「顔の上半分」を意識する動きについて、日本顔学会理事で、化粧と顔の研究をする資生堂の高野さんは…。
資生堂 アート&ヘリテージマネジメント部 高野ルリ子グループマネージャー:
「私たち人間は、顔の全体情報から、統合的に印象を判断しているんですね。マスクで隠されることによって、見えている部分の情報の依存というのが大きくなります。その見えている部分から、実は全体的な情報というのを脳の中で推測をするということをします。メイクで装いをプラスするというのも重要なんですけれども、そもそも表情で笑顔というのが好感をもたらすためにとても重要な要素です」
■マスク時代の笑顔の伝え方とは
日本ホスピタリティー・マナー研究所 松澤萬紀代表:
「目って意外と相手に伝えてしまう、目の表情ってあるっていうことね。だからこそ、目の表情を意識していきましょう」
講師の松澤萬紀さん。大手航空会社の客室乗務員を経て、有名企業をはじめ、2万人以上に印象アップ研修を行ってきました。
コロナをきっかけに新たに取り入れたのが…。
松澤代表:
「今はマスクで顔が半分見えません。だから笑顔の目、笑目(えめ)が必要です。笑目が何かというと、『マスクの下は笑顔なんだろうな』と想像できる目の表情のことです」
笑目の練習では、しっかりできているか写真を撮ってチェック。
自分の表情が他の人からどう見えているか気づくことも、この研修のポイントです。
受講者:
「真顔が思ったより怖くて、そういう顔で質問や返事しちゃっていたら申し訳ないなって思ったんで、日ごろから笑目で頑張りたいなって思いました」
こちらの歯科医院ではこの研修を取り入れてから、患者の声に変化があったようで…。
小室歯科・矯正歯科 小室暁院長:
「応対に関して、コロナ禍が始まった時に辛辣なお声をいただく場合もあったんですけれども、研修を通して厳しいお声がなくなっているので、効果はあったのかなと思っています」
マスクが定着して3回目の春。これからのコミュニケーションのあり方とは…。
日本ホスピタリティー・マナー研究所 松澤萬紀代表:
「手・足の大きさ、目の位置っていうのは変えることができないんですけれども、自分の印象って自分の努力次第で変えることができますので、まずは自分から笑顔になって、笑目で笑いかけること、笑目の先出しがコミュニケーションはとても大事だと思います」
マスクの定着で注目される『顔の上半分』。そこが明るくなると、沈みがちな世の中も明るくなるかもしれません。
(関西テレビ『報道ランナー』2022年4月5日放送)