千葉市内にある駅のエスカレーター。降りてきたはずの男が、またすぐに上っていきます。その手にはスマホが…。すぐ前にいる女子高校生にレンズを向けていました。
声をかけた捜査員に対し、スマホでスカートの中を撮影していたことを認めたのは30代の会社員。スマホの中には大量の盗撮動画が…。
これまでも仕事中に盗撮を繰り返していたという男は、県の迷惑防止条例違反で検挙されました。
別の日にも捜査員が警戒にあたっていると、作業服を着た不審な男が。エスカレーターに乗りミニスカートの女性の後ろにピタリとくっつきます。
不自然に前に出していた左足のサンダルには、スマホが…。その中からは過去の盗撮動画も見つかり、この男も迷惑防止条例違反で検挙されました。
被害に遭った女性:
「全然気づかなくてずっとこのスカートはくの楽しみにしてたので、はきにくくなっちゃうかな」
相次ぐ盗撮行為に街の人は…。
女性:
「気持ち悪い」
別の女性:
「結構スマートフォン普及してから手軽にできるから…」
こうした盗撮行為と20年以上向き合ってきた「全国盗撮犯罪防止ネットワーク」の平松直哉代表。盗撮された映像を解析し、撮影場所の特定などを行っています。
平松直哉代表:
「主にしているのは、浴場盗撮の現場の特定です。日本国内でいま140弱、海外で1カ所、盗撮施設の特定をしています」
入浴施設では、なんとシャンプーの容器に、超小型のカメラが仕込まれていたことも。
他にも時計型のものや、車のカギに見立てたものまで、盗撮の手口の巧妙さがうかがえます。
平松代表:
「スパイカメラとか偽装品カメラっていうのが市場にたくさん出回っているんですね。そういうカメラの販売規制って一切ないんですよ。誰でも簡単に買えるし、誰でも簡単に手を染められる犯罪。怖いです」
盗撮の取り締まりを強化するため国も対策を進めていて、24日に法務省の法制審議会で「撮影罪」の新設案が示されました。
増え続ける“盗撮行為”。厳罰化がブレーキとなるのでしょうか。菊地幸夫弁護士に伺います。
菊地弁護士:
「大方の主要な罪は刑法というものにあるのですが、そこに“盗撮罪”ってないんですね。ズバリ盗撮がダメという法律がない。そこでどうしているかというと、条例や軽犯罪法、児童ポルノ禁止法、建造物侵入罪、リベンジポルノ防止法など、色んなあちこちの法律・法令を駆使して、なんとか対処してきたというのが今までなんですね。ちなみに条例ですと、地域によって刑の重さが違うという場合もあります」
――刑法への「撮影罪」新設の試案には、性的な盗撮行為を明文化したうえ、罰則は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金とすることが示されました。この撮影罪が成立すれば今とどう変わるのでしょうか?
菊地弁護士:
「例えば、お風呂を覗く、トイレを覗くという際に今適用されている軽犯罪法はグッと軽い罪なんです。それと比べて、今回検討されている罪は『3年以下の拘禁刑』ということで、かなり思い切った厳罰化になっていると思います。抑止効果が期待できるのではないでしょうか」
――街でパッと人を撮るような行為は該当しないということなんですね?
菊地弁護士:
「性的な目的がなければ該当しません。ただプライバシーや肖像権の問題もありますから、やたらとというのは控えて頂ければと思います」
(関西テレビ10月26日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)