東京駐在のカンテレ記者が、キーパーソンに取材するWEB特別レポート。
今回は、立憲民主党・政調会長の泉健太氏。2003年に初当選し、現在は7期目。
急ピッチで動き出した菅政権に対し、合流新党「立憲民主党」はどう向き合うのか。
そして、政権交代の受け皿になる準備は?課題は?
野党第一党のキーマンに訊きました。
明確に政権交代を目指している
――Q:合流新党の代表選挙に立候補し、枝野氏に敗れました。立候補にはどういった狙いがあったのか。「枝野一強」にならないように、くさびを打つことも考えていた?
そうですね。厳しい戦いになることは分かっていました。ただ、立憲民主党は、何も変わらないのじゃないかという声もあったんですよね。だから、立憲民主党には、新しい政治家たちも揃っているんだということを見せたかったです。
過去、民主党政権を担った人たちが中心じゃないか、という声もありました。それに対してやはり新しい世代が出ているということを言いたかった。
新しい時代に野党として何が必要なのか、追及や批判するべき課題がなかった時に、立憲民主党自身が、何を訴えるのかを構築しないといけないと考え、政権構想を早期に作るべきだということを訴えさせてもらった。
――Q:政権交代は目指していますか
はい、明確に。
これは立憲民主党の新綱領に政権党を目指すというのを明記してあるので、間違いなく政権交代を目指しています。
――Q:共産党が「野党連合政権」の樹立を主張している
共産党さんが抱いている、今の「横暴な政治」、「強権的な政治」、「国民の側を向かない政治」を変えたいという気持ちは、私たちも同じように感じています。
共産党さんにも政権構想があっても良いと思いますが、立憲民主党は150人の野党第一党となり数としてはダントツの大きい勢力なので、そこが主体性を持って政権構想をつくることが大事だと思っています。
基本的に、私たちのスタンスに賛同していただける各勢力の皆さんと真摯に協議をして、どういう政権をつくるかということを考えていきたい。我々が主体となって、それぞれの勢力と話し合って今後の形が決まってくるということになるかと思う。
――Q:共産党と連立政権を作る可能性は
可能性というのはあくまで協議の後の話なので、今の時点ではわからないですね。
――Q:政党の支持率なかなか伸び悩んでいる。どのように分析されてるのか
やはり野党の情報が、メディアを通じて出る機会がものすごく少ないです。
対立する法案の時は、ものすごく扱ってくれますけれど、どの法案に野党が賛成をしたという報道はほとんどないですよね。
野党は反対してばかりじゃないかと言われるんですが、国会ごとで見てみれば、だいたい8割から9割の政府提出法案には賛成をしているんです。それは、非常に建設的で前向きな役割を果たしているということだし、一方では政府を監視する機能も果たしているということだと思う。
野党はいくら反対運動が活発であっても、必ずその裏には、同時並行的に政策を作り、議員立法を行い、そして全国各地を視察しているような活動があるんだっていうことを知ってもらえると嬉しいですね。
PCR検査を拡大して、経済の再開を促す
――Q:臨時国会で注目してもらいたいポイントは
1点目はコロナ対策です。GoToキャンペーンも、不安を感じながらのGoToキャンペーンになっている。私たち野党はもっとPCR検査を安く・しやすく・強化すべきだということを言ってきました。それは社会経済活動を円滑に再開していくためです。
だけど今は、基本的に国は、熱だとか、咳だとか、『何かしら異常があって初めて、電話をしてください。そしてPCR検査を受けましょう』ということになってしまっているので、皆さんが不安を感じたまま、経済活動がくすぶっている状態だと思います。
だから、検査を拡大して、経済の再開をより促していくということをまず一点、訴えたいと思いますね。
2点目は、経済対策です。
今も日本経済は相当落ち込んでいるし、長期化しているということであれば、消費税の減税か、所得税の減税か、その他の税も含めてですけれども、こういった減税、あるいは再度の給付をハイブリッドに組み合わせて、次なる経済対策を打たなきゃいけないんじゃないかと思う。
次の経済対策っていうことが必要だと思うのでこれを訴えていきたいですね。
菅首相 たたき上げなら 人の弱さに寄り添ってほしい
――Q:菅首相について
学術会議に象徴されるんですが、実は菅さんは官房長官時代から人事で恐怖心を与えて、組織を統制するコントロールするというやり方をやってきた。
官僚に対しての任命権と学術会議の今回の任命権を全く同列に考えてるっていうのはとんでもない話。学問の自由だとか学術会議法だとかを越えて、今回任命を拒否してしまっているというのは強権的な姿勢ですよね。
優しそうに見えて、実はかなり統制的な政治をしようとしてるんじゃないかということについては、今国会でしっかりと正していきたいと思いますね。
叩き上げであるならば、本来であれば人の弱さに寄り添い、叩き上げであるならば人の痛みがわかり、そして自由の大切さというものを理解していただきたいと思うんですが。
やはり自助・共助・公助とおっしゃったように、大変な人はまず頑張れという、その考え方ですよね。 頑張っていてもなお大変だから、共助や公助のことを我々は言っているんであって、公助をしっかりと手厚くすべきだということを言ってるんです。
自助は当然だと思っているので、それでもなお、今大変な人たちに自助を促そうとする、その叩き上げであることの負の部分かもしれませんね。
人に自分は頑張ってきたから他の人も頑張れるだろうと思っているとしたら、それは間違いだと思うし、そうでなければいいんですけどね。
――Q:政調会長として菅政権に、どのように対峙していきますか
やはり国民のためになる政権なのか、ならない政権なのかそこを判断して我々は明確に対峙していきたいと思います。
結局、菅政権として1からスタートするのではなく、7年8ヶ月の安倍政権の中枢を担ってきた人なんです。そういう意味では、アベノミクスは、どうなったんですか、北方領土交渉はどうなったんですか、拉致問題はどうなったんですかと。成果出せていませんよね、ということについて責任を負っていただかなきゃいけないと思っています。
やはりもう安倍政権のことは忘れました、知りませんとなっては困る。公文書の改ざんも含めて、やはりそのときの政権の中枢にいた方ですから。
これまでの成果ということも、実はもう今から問われていると思いますね。
そういった意味では、明確に対峙していきたいと思います。