国会でのペーパーレス 山積みの「官報」が出発点 小泉進次郎という「外圧」で変わった風向き 日本維新の会 国対委員長・遠藤敬議員に訊く! 2022年04月22日
東京駐在のカンテレ記者が、キーパーソンに取材するWEB特別レポート。
今回は、日本維新の会・国対委員長で衆議院議員の遠藤敬氏です。
衆議院は、会議録や官報の紙での配布をやめて、次の国会からインターネットで閲覧出来るようにする「ペーパーレス化」をすることを決めました。
これにより、年間約9700万円の経費が削減される見通しで、「国会も世間に少し追いついた」という声も聞こえます。
ただ、ここにたどり着くまで、5年がかかりました。
国会の改革を進めるにはどうしたらいいのか“ポイント“について訊きました。
■大量の「官報」 これだけ配る必要ある??
―――Q:遠藤議員は2017年からペーパーレス化を訴えています。議員会館地下の文書整理室を見ると、今日も大量の「官報」が積み上げられ活用されていない実態があります。ペーパーレスに取り組む出発点は
官報が議員会館にも赤坂の宿舎にも配られるんです。これ、印刷する人も配る人も大変だよねと、最初はその程度。そこから気になってよく見たら、あちこち積んである。これだけ配る必要あるのか、という所から言い出しました。別に深い意味はなくて、国会改革をするうえで、物から入っていくのが一番、やりやすいだろうというくらい。
―――Q:「報告書」、「請願処理経過」から始まり、5年かけてようやく「官報」まできました。最初はどういうところから始めた
まず、2017年6月に衆議院の議院運営委員会(議運)の「国会改革小委員会」を開いて、法改正の必要のない報告書の電子データ化を提案して、ここから始めようとしたんです。当時の佐藤勉議運委員長がリーダーシップを取ってくれて、小委員会をひらく2時間前まで与野党ともにやろうと言っていたのに、当時の民進党などに急にブレーキを踏まれて何も決まらなかった。そこからスタートして、議運の理事会で毎回「何でやれへんの」「できるためにどうすればいいかっていう議論はないのか」と言い続けた。
■小泉進次郎という“外圧” 変わった風向き
―――Q:大きく動いたきっかけは
小泉進次郎さんの超党派『「平成のうちに」衆議院改革実現会議』の立ち上げですね。僕は「平成のうちに」に入っていなかったから、小泉さんに旗降ってもらって、どんどん議運の外から圧をかけてもらった。そうすれば、議運のメンバーが動かざるを得なくなるでしょうと考えていた。案の定、進次郎さんがあの口調でバンバーンと言ってくれたもんやから、議運としてはどないすんねん、圧かけられるがなという感じになって、その結果、あいつに言われてやるのはゲンクソ悪いというのがあったんでしょうが、やらされた感よりも自分らでやってしまおうとなって、風向きが変わった。そこをテコにしながらまとめていったわけです。
―――Q:そこから転がりだした
今は議運のメンバーが一生懸命やってくれているんで、僕はあまり口を挟まないようにしてる。スタートしたら徐々に徐々にでも進み出すっていうのは割と永田町であるんやけど、進みだして僕が口を挟むと、維新がやってるんやからとなって、ブレーキを踏んでくる人もいるから。上手く合意形成をするためには、与党が軸になって汗かいてもらって進めてもらうと早いというのはある。今そういう状況になってて、僕は応援団で頑張れ頑張れと。
―――Q:壁となっていたものは何
もし役所側からペーパーレスの案が出てきていたら、もう少し進むのが早かったかもしれない。僕と佐藤委員長で言い出したから止まったかもしれない。仮に僕じゃなくて、佐藤委員長と事務方だけで、仕込んで始めていたら、もうちょっとスピーディーにできたかもしれない。当時、進次郎さんとは、ほんまに実現しよう思ったらまず自民党とネゴしていかなあかん。国会側の人たちを説得し、理解し、応援団になってもらうということからスタートせんと、なかなか進まんという話をしていました。
■政策秘書より低い手取り 議員定数の削減で抜本的な改革が必要
―――Q:次にメスを入れたいと思っているものは
どうにかしないといけないと思っているのは議員定数の削減で、特に比例選出の議員。国の将来を担っていく政治家をどう確保していくかを考えたときに、維新で「身を切る改革」をしているけど、身を切るだけでは、給与面でも、成果と自分の生活とのバランスが崩れるんじゃないかなと思う。この先の改革が必要です。去年の衆院選で民間から政治家になった人も圧倒的に手取りが下がったって言っていたし、そういうもんやねん。僕で手取りが40万円くらい。長年勤めている政策秘書であれば、僕より手取りが多いよ。
―――Q:議員定数を削減することで、総額は変えず1人1人の給与を上げる
そう。お金持ちしか政治家なれない時代になってくるよ、このまま行ったら。地元帰っても言われるのは、「あれだけ議員がいて、何の仕事をしているの」と。その通りだなと思ってね、説明ができない僕は。だから、定数を削減する一方で、志の高い、意識の高い人に政治家になってもらいたいなと思う。ただ、志が高くても生活ができないと困るし、だからそれはやっぱり大幅な定数削減をして給与を上げることで、そのかわり仕事をしてねと。仕事量にあった給与体系にすることで、有能な人はまだまだ手を上げてくれるんじゃないかなと思う。現状、国会は“バッチをつけたいという意識の人”と“仕事をしたい人”がいるけど、政治活動をすればするだけ、付き合いも増えて手取りが少なくなる悪循環になっているから、このままでは政治の力も劣化すると思う。
―――Q:それは霞が関も同じでは
霞が関も同じことで、付き合えば付き合うほど仕事している人はむちゃくちゃ仕事をしてることが分かるからね。だからすべてを一緒くたにして批判するのはだめ。頑張っている人の評価はちゃんとしないといけない。
(関西テレビ東京駐在記者・原佑輔)