大阪平野を一望!“妙見さん”と呼ばれ親しまれる妙見山 約100年前に開業した歴史ある乗り物は今…【兵動大樹の今昔さんぽ 関西テレビ「newsランナー」】 2023年10月11日
1枚の写真から街を再発見!兵動大樹の今昔さんぽ
■街の人がいう“妙見さん”とは…
【兵動さん】
「今回はですね、阪急川西能勢口駅前からスタートでございます。大きい駅で(駅前に)ショッピングモールもあるし、百貨店あるし、都会というか、すごい住みやすそうなとこですね。そんな川西能勢口駅からスタートでございます。今日の写真は?」
これは1961年(昭和36年)に兵庫県川西市内で撮影された写真です。どこの風景か分かりますか?
【兵動さん】
「これ、リフト?ただ、これがいまだにあるかどうかやね。聞いたことないぞ」
それでは聞き込み開始です。
【兵動さん】
「昔の写真持ってウロウロしてる兵動いいますねん」
【街の人】
「いつも8チャンネル(を見ている)」
【兵動さん】
「見ていただいてますか。ありがとうございます。今回ね、こんな写真渡されましてん。こういう施設があったいうの、知ってはります?」
【街の人】
「そやね、これは分からんな…“妙見(みょうけん)さん”かな。よう分からん」
【兵動さん】
「“妙見さん”て、よう言いますね。関西の方はね」
「妙見さん」という言葉が飛び出しました。さらに他の人にも聞き込みを続けます。
【兵動さん】
「みんな妙見さん、妙見さん(と言う)。“田中さん”みたいな言い方ですけど。さんって“山(やま)”ですよね?」
【街の人】
「そうです。妙見山(みょうけんさん)。山です」
【兵動さん】
「佐藤さん、田中さんみたいな感じでいうけど」
【街の人】
「兵動さんみたいな」
【兵動さん】
「なるほど!」
まだ詳しいことは分からないので、聞き込みを続行。
【兵動さん】
「(写真を見せながら)これね」
【街の人】
「妙見山かな。(妙見山やっぱり分かります?)うん、(妙見山)だと思う」
【兵動さん】
「妙見山ってみんな何しに行きはるんですか?」
【街の人】
「お参りに行きはるんやけどね。正月とかでも」
他の方にも聞いてみると…。
【街の人】
「バーベキューしに(妙見山に行く)」
【兵動さん】
「バーベキューしに?そういう楽しい施設もあるんや」
【街の人】
「来年ぐらいにこのリフトがなくなるって、こないだテレビでしとったで」
【兵動さん】
「ほんなら、まだこのリフトは今あるっちゅうことですかね。もし(街の人の話と写真の場所が)同じとこやったら」
【街の人】
「そうやね」
街の人に写真を見せてまわったところ、皆さん口々に「妙見山」と言っていました。
【兵動さん】
「これ妙見山ちゃう?こんだけ妙見山出てきて。とりあえず行ってしまおか、妙見山」
妙見山の最寄り駅、能勢電鉄「妙見口」駅へ向かいます。
■ケーブルとリフトは廃止に?
【兵動さん】
「妙見口駅に到着しました。初めて来たな。53年、関西住んでるけど。お店もたくさんあってね、ここでちょっと休憩したり」
目の前のベンチで休憩している男性を発見し、声をかけてみました。
【兵動さん】
「汗ボットボトですね」
【男性】
「歩いてきて。(どこから?)絹延橋」
【兵動さん】
「全然分かれへん。(今いる場所から)どれくらいの距離あるんですか?」
【男性】
「15キロくらい」
【兵動さん】
「15キロ!?15キロ歩いてきたんですか?」
【男性】
「妙見道を歩いて上まであがって。明日は能勢街道(に行く)。大阪から」
15キロもの距離を歩いてきたというこちらの方にも写真を見てもらいました。
【男性】
「リフト。(妙見山に)登って、帰りはこれに乗ろうかなと」
【兵動さん】
「このケーブルって有名なんですか?」
【男性】
「有名かどうか分からないんですけど、廃止になりますよね。来年の春じゃないですか。ホームページに載ってたと思う」
【兵動さん】
「こっちから行くと、ケーブルに乗って、リフトという乗り継ぎのパターンですか。じゃあそっちも行ってみよか。上で会うかもしれませんね」
【男性】
「どっちが早いかな」
【兵動さん】
「いや負けるやろな、多分な」
■約100年前に開業したケーブルカーで山上へ
妙見口駅から徒歩約20分のところにある妙見の森ケーブル「黒川駅」。終点の山上駅まで、およそ600メートルの道のりを登ります。兵動さんも早速乗り込みました。
妙見山参拝客の輸送のため、1925年(大正14年)に開業したこのケーブルカーは、戦争のために一旦廃止。その後16年の歳月を経て運行を再開しました。以来、学校の遠足や行楽客など、多くの人々に長年親しまれてきました。
約5分でケーブルの終点「山上駅」に到着です。駅には、里山の風景を眺めながら楽しめる足湯もあります。山上駅から200メートルほど歩くと、リフト乗り場が。その周辺にはバーベキューテラスがあるほか、“かわらけ投げ”を楽しむこともできます。設置された輪をめがけて皿を投げるのですが、うまくできるでしょうか?
【兵動さん】
「あの円の中に入れろってことか。いきます!(投げた皿が輪の中を通ると)…そんなに盛り上がらなかったね」
なんと一度で成功した兵動さん。さて、リフトに乗って写真の撮影場所を探します。流れてきたリフトに腰かけると…。
【兵動さん】
「うわーめっちゃ楽しい!(風景を見ながら)きれいなー、やっぱり。山々がすごいなぁ」
四季折々の風景を楽しむことができる妙見の森リフト。緑豊かな景色を眺めながら登っていきます。
【兵動さん】
「さあ、着きました。乗ってみて分かったね。僕ら登ってきたからね。これ(写真は)下ってるからね。多分こっち(妙見山駅)から撮ったやつちゃうかって、乗って分かったみたいなところもありますけど、まだ確証はないんで。ほんなら、こちら(能勢妙見山)の方に向かってみよか、せっかくやしね」
歩いていくと、大きな鳥居を発見。さらにそのそばにはお店もありました。こちらで冷たいサイダーを飲んで喉の渇きを癒すと、他にもおいしそうなものを見つけました。
【兵動さん】
「(亥の子餅と書かれた商品を指して)これは何ですの?」
【小仲商店 奥 智子さん】
「よもぎ餅。うちの自家製のお餅です」
せっかくなので、お餅もいただきました。
【兵動さん】
「おいしい!あんこがすごくおいしい。よもぎの生地の舌触りとかが最高やし、手作り感がめちゃくちゃおいしい」
お店の方にお話を伺ってみます。
【兵動さん】
「ケーブルカーもリフトも初めて乗ったんですけど、あれがなくなる言うて」
【奥さん】
「そうなんですよ。ますますお客さんが減っちゃうので、どうなるかなぁ思って」
【兵動さん】
「ここに来る手段言うたら、あとは車ですか?」
【奥さん】
「あとは車。今でも自転車の方と、ハイキングの方はすごい多いですけどね」
【兵動さん】
「なくなると寂しいですね」
【奥さん】
「寂しい。ますます寂れる、ますます暇になる」
【兵動さん】
「(鳥居を指して)お寺や思ってたんやけど、鳥居が立ってる。神社なんですか?」
【奥さん】
「いえ、お寺です。神仏混合ですね」
北極星信仰の世界的な聖地として、古くから人々の信仰を集めてきた寺院“能勢妙見山”には、日本古来の神仏習合の姿が今も残されています。
■絶景を望む古民家カフェで一休み
境内を歩いていくと現れたのは、信徒会館「星嶺(せいれい)」という立派な建物。その建物の前は、大阪平野を一望できる絶好のビュースポットでした。
【兵動さん】
「おー!登ってきたかいあるわ」
絶景を楽しんだあとは、歌舞伎や芸能の人々からも信仰されているお寺ということで、兵動さんもきちんとお参りしました。
売店と書かれた建物を見つけ、入ってみることに。中には“カフェ・ステッリーナ”という、旅館だった建物を利用した古民家カフェがありました。カフェの店内からも外の景色を眺められます。さわやかな香りが特徴の“パリの紅茶”というフレーバーティーを注文してみました。おいしいお茶を飲みながら眺望も楽しめるとあって、兵動さんもご満悦の様子。
【兵動さん】
「最高やな」
ひと息ついたところで、写真について聞いてみると…。
【カフェ・ステッリーナ 新寶(にいのみ)千恵さん】
「リフトの乗り場(妙見山駅)から撮られた写真だと思います」
写真の撮影場所と思われるリフト乗り場に向かいます。すると、先ほど妙見口駅で出会った男性と再会しました。
【兵動さん】
「たどり着いてはる!どれくらいかかりました?」
【男性】
「1時間半は掛かりましたね」
【兵動さん】
「ここでまたお会いできる…これもなんかご利益いただいたな」
ようやくたどり着いたリフト乗り場。そこには昔と変わらない風景がありましたが、この風景を見られるのはあとわずか。
妙見の森ケーブルとリフトを運営する能勢電鉄は、2023年12月3日の営業をもって終了することを発表しています。
【兵動さん】
「はい、チーズ。妙見山、初めて寄らせていただきました。最高の時間を過ごせます。(放送を)見て、懐かしいなとか、乗ってみたいなと思う方は、なるべく早く来といた方がいいと思います。どうもありがとうございました」
(関西テレビ「newsランナー」2023年9月29日放送)