茎に「毒」も 道端に咲く“オレンジの謎の花”の正体 強い繁殖力の「ナガミヒナゲシ」の秘密は“実の中”に 肌が弱い人は要注意! 2023年05月15日
視聴者の皆様から届いた身近な疑問について、関西テレビ「newsランナー」が取材する「取材依頼届きました」。今回は、番組公式LINEに届いた写真に映る「オレンジの花」について調査しました。
【視聴者からの投稿】
『ここ数年前ぐらいから、この植物をよく見かけるようになりました。公園、道路の植え込み、学校など、至る所に咲いています。一体この植物は何なのか、どこから来たのか、なぜ最近よく見かけるようになったのか知りたいです』
■謎のオレンジの花はどんな場所に咲く?
写真を投稿してくれたのは、大阪市旭区に住む小谷さん親子。
前から気になっていたという、家の近くの空き地に咲く「謎の花」について聞きました。
【小谷拓人さん(小6)】
「ここらへんによく咲いていました」
写真は4月中旬に撮ったものだということです。
【小谷拓人さん】
「学校の帰りに(花を)見かけたときに触ったりして、種がいっぱいあったり少なかったりしていました」
【母・小谷園子さん】
「きれいな花だったのでそんな影響があると思ってなかったんで。普通にこの子が(家に)種を持って帰ってきても何も思わなかったです」
【小谷拓人さん】
「どういう害があるのかとか。こんなに多いのか調べたかった」
オレンジ色の謎の花。まずは、どこにあるのか? 記者が街に出て探してみることに。
【記者リポート】
「これじゃないですか?1本咲いています」
枯れているものも多いですが、2~3センチほどの実をつけた花が、歩道の隙間から飛び出すように生えていました。
【記者リポート】
「オレンジの花見つけました。アスファルトのすぐ横に咲いていますね。砂利交じりの場所から、花が咲いていないものも含めると結構な本数生えています」
「(道路脇にある)柵の向こう側にもありました。道路に近い方には咲いているんですけど、奥の方はほとんど(花が)見当たらないですね」
「線路脇にもたくさん咲いていますが、見てください、あんなところにも!」
線路の高架横、手が届かないような高さにある場所にもオレンジの花が数本咲いていました。
取材をすると、オレンジ色の謎の花は、植物の多い公園や、人通りのある道端などに多く咲いていることが分かりました。
オレンジの謎の花が気になっていたのは、小谷さん親子だけではないようで…
【街の人】
「家の近くに生えていて見たことあります」
「怖かったので触ってないです」
「大阪城公園とか。子供が花好きなんで、『オレンジ花』って言うなぁ」
「(自宅に)庭があるんですけど。種が飛んできていっぱい咲いていますけど、花きれいですから(そのまま)置いていますけど、あまりにも数が多いんで」
街の皆さんも「言われてみれば見たことある!」という人が多数。
さらに、謎の花は、多くの人が行きかうJR大阪駅や大阪のシンボル・通天閣の真下でも見つかりました。
記者が1時間歩いただけで、オレンジの花を20カ所以上で発見!
過酷な環境でも耐えられる生命力がありそうです。
多くの人が見たことがあるという、謎のオレンジの花の正体は?植物に詳しい専門家に、話を聞きました。
■オレンジの花の正体は「ケシ科の外来種」
【大阪市立自然史博物館学芸員・長谷川匡弘さん】
「『ナガミヒナゲシ』って言う植物ですね。外国から入ってきた植物でして、日本では最初見つかったのは東京だったと思いますけど、1961年ぐらいに最初に見つかって。そこからどんどん全国に広がってきてるという植物ですね」
謎の花の正体は「ナガミヒナゲシ」というケシ科の植物。
4月から6月ごろにかけて、花を咲かせる外来種の植物だそうです。
なぜ、あんなにいろいろなところで咲いているのでしょうか?
【大阪市立自然史博物館学芸員・長谷川匡弘さん】
「『アレロパシー』っていうんですけども、根からほかの植物が育つのを抑制するような物質を出していると考えられているんです。それでほかの植物の生育を抑えて、自分がどんどん広がっていく。そんな戦略を取ってる植物ですね」
■“強い繁殖力”の秘密は「実の中」に…
さらに、ナガミヒナゲシの生命力の強さには、もうひとつ秘密が…
【大阪市立自然史博物館学芸員・長谷川匡弘さん】
「今、(実が)青い時はこんなんですけど。傘みたいなのをかぶっているんですよ。成熟すると傘が反るんですよ。反ると下の方にね、窓みたいな(隙間が)あくんですよ。この中から種がこんな風にパラパラとこぼれてくる。風で揺れると窓から種が飛んでいくんだろうと思いますね。それが人の足とかタイヤについてどんどん広がっていくんだろうと思います」
研究によると、ナガミヒナゲシの実1つにおよそ1600粒、一株で15万粒ほどの種子が作られ、ものすごく強い繁殖力を持っていることがわかりました。
取材依頼をしてくれた拓人くんが気になることは、もう1つあります。
【小谷拓人さん(小6)】
「どういう害があるのかとか調べたかった」
【大阪市立自然史博物館学芸員・長谷川匡弘さん】
「毒はあると言われています。黄色い汁が、茎を切ると出てくるんですけども、ちょっとピリピリするんですよね。肌が弱い人はかぶれたりする可能性はあると思います。ただ強いものではないんですよ。毒はそんなに恐れるほど強いものではなくて」
オレンジの謎の花の正体、取材依頼をしてくれた小谷さん親子に報告しました。
【小谷拓人さん(小6)】
「昔から気になってた事なので、とてもすっきりしました」
【母・小谷園子さん】
「毒性があるとかかぶれるとか全然知らなかったので。子どもは皮膚が弱いのでかぶれやすいかなと思うので、気を付けないとだめかなと」
■花を駆除するときの注意点は?
ナガミヒナゲシを駆除するべきかどうかについて、大阪市自然史博物館の長谷川学芸員によると、生態系を壊すほどの影響はないため国指定の駆除対象ではなく、栽培の規制はないということです。
一方で、自宅の庭や畑に生えている場合、他の植物に影響を与える可能性があるため、駆除したほうが良いとしています。
実際に一部の自治体は駆除を呼び掛けているところもあるということです。
駆除をする際は、毒性物質に触れないようにするため軍手やゴム手袋を着用し、黄色の液体が肌に付着したらすぐに水で洗うようにしてください。
関西でも色々なところで見かけるオレンジの謎の花の正体は、「ナガミヒナゲシという、繁殖力が強く、触ると害のある花」というのが、今回の取材の結論でした。
(関西テレビ「newsランナー」2023年5月15日放送)