この4月から大人も努力義務となった自転車のヘルメット着用。交通事故に対する意識が高まっていますが、歩行者による危険な横断は後を絶ちません。
事故に遭うと思わぬ責任も…。全国で相次ぐ「乱横断」の実態をツイセキしました。
■横断歩道以外を渡る“乱横断”の実態 危ないと分かっていても…
ドライブレコーダーが捉えた、横断歩道以外を渡った自転車の事故映像があります。
道路を横断しようとした自転車がタクシーにはねとばされ、乗っていた男性は起き上がることができません。現場は緊迫。自転車の男性は病院に運ばれ、命に別状はありませんでした。
このような危険な横断は「乱横断」と呼ばれ、全国で後を絶ちません。危険な乱横断が常態化している場所は、大阪・日本橋にも…
【記者リポート】
「次から次へと人が横断して行きます」
横断禁止の場所ではないものの、車の通りは多く横断するのは危険に見えますが…。
中にはこんな人も…パトカーがいてもお構いなし。
横断歩道までおよそ40メートルの場所で、取材班が調査すると30分で少なくとも53人が車の間をすり抜けて横断していました。
なぜ横断歩道を渡らないのか聞いてみると…
【乱横断していた人たち】
(–Q:横断歩道ありますが…)
「知ってます」
(–Q:横切る理由は?)
「めんどくさいから」
「近いから。それだけ。危険なことは分かっている。分かっているけど歩く距離が短い」
■障害物もお構いなし!乱横断で事故に遭った場合…歩行者側にも思わぬ“過失”が
国の調査では65歳以上の場合、交通死亡事故の3割が乱横断が原因となっています。
交通事故の相談を専門にしている弁護士は、横断禁止の場所などを渡って事故にあった場合、違反行為として歩行者側にも過失が問われるケースがあると話します。
【弁護士法人サリュ 西村学弁護士】
「『横断歩道が近くにあるにもかかわらず、渡ってしまいました』となると、(万が一の事故の際に歩行者が歩行者が)3割くらい過失をとられる。車が破損してしまうと、当然修理費用とかが発生しますので、その場合は自分の過失30パーセント部分の修理費用を、相手方に支払わなければならない」
西村弁護士は、実際に相談を受ける中で、本人だけでなく家族などが大変な思いをしているのを目の当たりにしています。
【弁護士法人サリュ 西村学弁護士】
「ひどい場合だと、後遺症が残ってしまう介護とか、治療期間中通院に付き添わなければならないとか、影響が周囲の人にかなり及ぼしますので、そこは非常にこう見ていて大変」
■「みんな渡っているから…」自分だけでない意識が要因 渡らせない環境とは?
交通心理学の専門家は、渡っているのは自分だけではない、という意識が乱横断を引き起こす要因だと指摘します。
【大阪国際大学 山口直範教授】
「他の人もやっているから、自分もいいじゃないという心の動きもあることも確か。まさかそこで自分が車にはねられて重傷を負うとかそんなことを大体考えずに行動してしまうことが多い」
ついついしてしまうルール違反。しかし、環境を変えることで乱横断を減らすことはできるといいます。
【大阪国際大学 山口直範教授】
「横断歩道と横断歩道の真ん中にバス停があると、バス停に向かって直接行った方が早いとなってしまうので、渡ったらその先にバス停が行きやすいとか、多くの人が目的を果たせるようなある程度環境を整えることで、人間の行動もコントロールできる」
少しの心がけで防げる乱横断での事故。一瞬の行動が一生の後悔にならないように、今一度、気を引き締める必要があります。
(2023年4月6日放送)