
【独自】冤罪なのに…4年も"引き裂かれた家族" 「家族が父の虐待疑わないと子供は戻さない」 “人質児相”の実態が「音声」で明らかに 家族との同居を制限した”児相の鑑定意見”に根拠は? 別の法医学者は「根拠が全く分からない」と指摘 2023年06月30日
仲むつまじい一家が、4年以上も家族離ればなれとなっていました。ある日、突然、わが子が連れ去られたのです。
父親にかけられた身に覚えのない虐待の疑い。児童相談所は、なぜこの家族を引き離し続けたのか。
児童相談所が、保護した子どもを盾に、虐待を認めさせようとするいわゆる「人質児相」の実態を追いました。
■ 子どもの容体悪化…退院予定日に突然「一時保護」
写真家の赤阪友昭さん。2人の子どもに恵まれ、妻の亜樹さんと家族4人、幸せな日々を過ごしていました。
そんな生活が一変したのは6年前、赤阪さんが当時生後2カ月の長男・優雨くんをあやしていた時のことでした。
【赤阪友昭さん】
「パッと見たら呼吸が止まっている状態だったと思うんですけど。何かのどに詰まって呼吸ができないのかもしれない(様子で)。それで、僕は背中をたたいた」
容体は改善せず、優雨くんは病院に運ばれました。
体にけがの痕はありませんでしたが、検査の結果、硬膜下血腫と眼底出血が見つかり、病院は「揺さぶられっ子症候群」(通称SBS)を疑い、虐待の可能性が高いとして児童相談所に通報。
退院予定の日に、児童相談所が優雨くんを「一時保護」しました。
【妻・赤阪亜樹さん】
「『われわれが安全なところに保護させていただきました』と言われて。泣き崩れてしまって」
面会ができた乳児院で、友昭さんが優雨くんに語りかけます。
【赤阪友昭さん】
「覚えておいてな…また来るよ」
赤阪さん夫妻は、祖父母の家に同居することなどを提案して、児童相談所に優雨くんを早く戻してほしいと訴え続けました。
しかし、一時保護開始からおよそ5カ月後、児童相談所から伝えられたのは、医師の鑑定意見でした。
この時の赤阪さん夫妻と児童相談所とのやり取りを録音した音声記録が残されています。
【児童相談所職員】(2018年5月)
「ある程度の硬さのあるもの(具体的には手拳も含まれる)による、強い打撲作用により形成された可能性を否定することはできません」
■ 児相の対応が一変…”虐待ありき”に
ここから、児童相談所の態度が一変、「虐待ありき」になりました。
優雨くんを家に戻せない理由として説明された内容は、家族にとって驚くべきものでした。
【赤阪友昭さん】
「セカンドオピニオンでほかのお医者さんに診ていただくことはお願いできないんでしょうか」
【児童相談所職員】
「しないです」
【赤阪友昭さん】
「なぜですか」
【児童相談所職員】
「1つ目の意見書の重みが消えるわけではないので、判断は変わらないですね」
職員は、医師の鑑定は“絶対だ”という姿勢を崩しません。そして…
【児童相談所職員】
「『お父さんを疑いきれない』と言うと失礼ですけど、(祖父母は)擁護される立場のお2人だとは思うので、そのような認識でおられるご家族の中に優雨くんが帰っていくことは再発のリスクがまだ考えられるのではないかと」
父親の虐待を疑わない家族のもとに、優雨くんは戻せないというのです。
【妻・赤阪亜樹さん】
「家族に疑いの目を向けて、家族の形が壊れるようなことがあって、夫婦の絆が壊れるようなこと、そんなこと誰が望むんですか?そうじゃない可能性があるにもかかわらず、厳しい目を向けて、何が生まれるんですか?優雨を返してもらうにあたって家族が壊れてしまっていたら、受け入れも何も難しいです」
【赤阪友昭さん】
「父親の虐待があったということに前提を変えろということですね」
【児童相談所職員】
「可能性をもっと考えてほしいということです」
【赤阪友昭さん】
「その可能性をもっと家族で考えろということですね。そのことを一番重く考えろということですね」
【児童相談所職員】
「そうです。どんな認識のもと、ご家族がお父さまを排除されるかということですわ」
■ 児童相談所の鑑定意見に根拠は?
【妻・赤阪亜樹さん】
「この人たち何を言っているんだろうと。これが子育て支援とか福祉に関わる仕事の人の言い分なのかなぁって…」
児童相談所の鑑定意見に、医学的な根拠はどこまであるのでしょうか。
私たちは鑑定した法医学者を訪ねましたが…取材には応じませんでした。
そこで、別の法医学者に児童相談所の鑑定意見を見てもらうことにしました。
【吉田謙一東京大学名誉教授(法医学)】
「これだけで『虐待』って言ってるんですか?」
「(殴ったってこと?)そうですね。(鑑定意見を)見ると、そう読めますね。否定できないって言い方も嫌な感じですね。殴ったというからには殴った痕を見ないと(そうだとは)言えません。根拠示さないで言いっぱなし。しばしばありますよね。その類いのような気がしますけど」
吉田教授は、児童相談所の鑑定意見について「根拠が全く分からない」と話しました。
赤阪さんは優雨くんを激しく揺さぶった疑いで逮捕、起訴され、5カ月間(2018年10月~2019年3月)、勾留されました。
保釈後も裁判所の命令や児童相談所の指示で、家族と別居。その後、妻との面会禁止が裁判所から解除されましたが、児童相談所は「安全ではない」として家族との同居を制限し続けました。
■ なぜ児童相談所は親子を引き離し続けるのか
一時保護からおよそ3年後、ようやく判断基準が明かされました。
【赤阪友昭さん】
「娘たちと夜過ごせない、一緒に暮らせないのが半年以上続く。そのことを児相どう考えるかお聞かせいただきたい」
【児童相談所職員】
「自分で何かが起きた時にお話しできるとか、危機回避できる年齢になるのが、お父さんとの同居の目安というのがあるんです。平均的な発達で小学2年生くらいになったら、時系列のことは分かるようになるよねという前提があるとして、そこのラインに優雨くんが到達するかどうかというのは、今は分からないですし」
優雨くんのペースで成長している様子をあたたかく見守っている赤阪さんにとって、児童相談所の判断基準は到底受け入れにくいものでした。
【赤阪友昭さん】
「『優雨くんに2度と起こらないように』って。いつまでそれを言い続けるのか」
【妻・赤阪亜樹さん】
「『小学2年生くらいまでやと思いますけど、優雨くんの発達がそのように進んでいるかは…』とか、なんてひどいこと言うんだろうって」
一時保護から4年余りたち、赤阪さん家族は大阪を離れることにしました。すると、不思議なことに、その直前になって児童相談所は事実上、赤坂さんと家族との同居を認めるようになりました。
そして、大阪地裁は「長男は先天性の疾患により軽い力で出血した可能性があり、動機も認められない」として、赤阪さんに「無罪」を言い渡し、判決は確定しました。
赤阪さんは、家族が引き離された理由を知りたいと情報開示請求を行いましたが、開示された資料はほとんど黒塗りで、理由は何も分かりませんでした。
【赤阪友昭さん】
「引き裂かれる家族の思いとか、感情とか一切考えてないですよね」
今回の赤阪さんへの対応について、児童相談所は検証を行ったのでしょうか。われわれは取材を申し込みましたが、「個別の事案には応じられない」と話しました。
■ 取材をしてきた記者「児相は一体なにをしていたのか
6月下旬、神戸市西区で6歳男児が亡くなる事件があり、一時保護について対応は正しかったのかという声があがっています。
その中で、今回の取材を通した気付きを、担当した上田大輔記者に聞きました。
【上田大輔記者】
「子どもの安全が確認できるまで、最初の一時保護はやむを得ないこともあると思います。ただ、その後どうなっているのか、どう支援しているのかはあまり知られていないのではないでしょうか。赤阪さんの刑事裁判が終わって、児童相談所の対応を検証しましたが、家族を支援しているというよりかは家族を引き裂こうとしているようにしか見えず、驚きました」
-Q:児童相談所は赤阪さん夫妻の考えを変えさせようと必死のようにも見えますね?
【上田大輔記者】
「児童相談所は、『私たちは虐待かどうかを白黒決着をつける機関ではないんです。家族を見て総合的に判断しているんです。安全が確認できたら家族のもとに戻して支援していくんです』と常日頃言っています」
「ただ、今回感じたのは『本当に子どものためだったのか』という部分です。セカンドオピニオンをとらないと主張する一方で、児童相談所の強みである『家族をしっかり見ていく』 という点で、赤阪さんと面会しているところなどを見たり、周辺の人に(赤阪さんが)どういう家族なのか聞き込みをしたりなどしていなかった。一体何をしていたのかな、というのを疑問に感じています」

-Q:今後、児童相談所はどうあるべきだと思いますか?
【上田大輔記者】
「神戸市の事件のように保護すべきものを保護していない、一方で保護し続ける必要のない事例を保護し続けている。私には同じ問題のように感じています。児童相談所が機能不全に陥っているのではないかと。安心して育児ができる環境にならない。しっかり今回の事案を第三者によって検証してもらって、制度を必ず見直す必要があると感じました」
幸せな家族を引き裂いた児童相談所の対応、赤阪さん家族が奪われた時間は戻ってきません。
(赤阪さんを取材した内容をドキュメンタリー番組として7月7日深夜に放送します)
(2023年6月29日 関西テレビ「newsランナー」放送)