スーパーの万引き犯vsすご腕Gメン 驚きの言い訳「天気が良いから盗った」 薄利多売のスーパー経営に大きな痛手負わす万引き 年間300万円超被害の店も 2024年04月21日
スーパーで相次ぐ“万引き”行為。その瞬間を、すご腕の万引きGメンは見逃しません。
万引き犯の大胆な手口と、あきれた言い訳。
【男】「今日天気いいし、寒くないし。ちょっと出てみようかなって」
【Gメン】「え?天気がいいから取ったってこと?」
万引きGメンに密着しました。
■この道20年のGメンが店内で目を光らせる
地域の人たちでにぎわう、大阪市内のスーパー。
店内で目を光らせるのは、万引きGメン歴20年、日本警備通信の石原知典さん(44歳)です。
【万引きGメン 石原知典さん】「今3番通路におる、僕の真ん前におる人、ソース入れた。前を開けてヒュっと入れた。最後入れる瞬間だけキョロキョロしていると思う」
Gメンが注目したのは手押し車を押す女。人目を盗んで、商品を中に入れていると気づきました。
先ほどの映像を見ると、お菓子コーナーで何やら選んでいる様子。商品を棚から取るのは、カモフラージュでしょうか。
右手でソースを持ち、店員の真横で堂々と入れていたのです。
【万引きGメン 石原知典さん】「あれ(ソース)を買うか、買えへんかですね」
ソースは手押し車の中に入れたまま、お菓子や総菜など、上に置いている商品だけ会計しています。
【万引きGメン 石原知典さん】「うん、ソース出さないです」
店を出たところで、Gメンの石原さんが声をかけます。
【万引きGメン 石原知典さん】「こんにちは、お母さん。分かってはる?」
【女】「誰?」
【万引きGメン 石原知典さん】「誰じゃなくて、お金払うの忘れてるのあるんちゃう?」
【女】「いや、ないない。みんな払った」
【万引きGメン 石原知典さん】「あるある」
【女】「さっき買ったやつや」
【万引きGメン 石原知典さん】「違う違う。見た見た」
【女】「あ、これか、ソース?あ、ソースや」
【万引きGメン 石原知典さん】「そやろ。謝りにだけ行こう」
【女】「ごめんごめん。払うの忘れてた」
「うっかり支払うのを忘れた」と言い張る、80代の女。しかし、Gメンに追及されると…。
【万引きGメン 石原知典さん】「ソースだけ?払ってないの。まだあるんちゃう?」
【女】「ソースだけ。これ、焼きそばソース。それだけや」
【万引きGメン 石原知典さん】「これは?」
【女】「これはちゃう。前に買うたやつ」
【万引きGメン 石原知典さん】「ほんまに?」
【女】「漬物やで」
【万引きGメン 石原知典さん】「見してもらっていい?」
【女】「うん。だいぶ…3日くらい前(に買った)」
【万引きGメン 石原知典さん】「こんな冷えてるかな?」
【女】「さぁ、知らん」
【万引きGメン 石原知典さん】「めちゃ冷えてんで、これ」
【女】「漬物やからな」
【万引きGメン 石原知典さん】「ここにずっと入れてたやつが、こんなに冷えてるかな?って聞いてる」
カメラには周囲を警戒しながら、漬物を手押し車に入れる瞬間が映っています。言い逃れはできません。
【店員】「とりあえず警察呼んだから」
【女】「ええやん、もう」
【店員】「ええことあらへん。犯罪ですから!」
【女】「娘に言う?」
【店員】「家族にも全部言うよ。仕方ないよ、警察来たら」
【女】「え~」
【店員】「え~って、仕方ないやん!」
【女】「わ~、怒られるわ…」
【店員】「そんなん当たり前やがな!お金持ってんねんやろ?」
【女】「持ってる」
女は、警察官に対しても“言い逃れ”を繰り返します。
【警察官】「このかまぼこはどうしたんや?」
【女】「これ?これは一緒に買ってるねん」
【警察官】「どこで?」
【女】「ここで」
【警察官】「何でここの袋(手押し車)から出てるねん。それ(かまぼこ)だけ。おかしいやろ。買ったのはこの袋やろ?かまぼこちゃうがな!」
【女】「偉そうに…」
【警察官】「当たり前やがな。自分のやったこと考えろや」
女が万引きしたのは、かまぼこ・焼きそばソース・漬物の3点で、合計663円。
盗んだ商品を手に、うなだれている様子。反省しているのでしょうか。
「万引き」は窃盗罪にあたり、10年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられる犯罪です。
■「万引きは初めて」うそをつき続ける男
この日は、休日の特売日。店内は大勢の客で混み合います。
店内を警戒するGメン。“ある男”に目をつけました。
カートを手に、一見すると買い物客の男。Gメンが目を光らせていると、周囲を警戒しながら、上着に商品を入れました。
さらにカートの中からもう一つ。男はかごの中身だけ会計を済ませて、店の外へ。
【万引きGメン 石原知典さん】「すみません、ちょっとお聞きしたいことあるんですけど。分かりますよね」
そして事務所に連れていきます。
【万引きGメン 石原知典さん】「なんでここ呼ばれたか分かる?ほな出して」
【男】「はい。すみません」
万引きを認めた男は、肉のパックに一礼。謝罪の気持ちなのか…。
1000円以上する宮崎牛のモモ肉と、店で一番値段の高いお茶を万引き。高価なものばかりを狙っているのか、2点で2178円です。
【万引きGメン 石原知典さん】「初めてちゃいますよね?今日?」
【男】「いや、初めてです」
【万引きGメン 石原知典さん】「あ、そう」
さらに、店員にも…。
【店員】「正直にいこうや。初めてちゃうやろ?」
【男】「いえ、初めて」
70代で年金暮らし。万引きは「初めてだ」と、繰り返し主張します。
【店員】「警察も来るからきっちり調べるよ」
【男】「うわ~」
【店員】「うわ~ちゃうよ。そうやって反省しているようにしているけど、警察の人来たらきっちり話せなあかんよ」
【男】「うわ~」
【店員】「うわ~じゃないよ」
【男】「警察といったら怖いですよ」
なぜ警察を怖がるのか?この男、実は2週間前、上着にかごの中の商品を隠す様子が店内のカメラに写っていた“要注意人物”だったのです。
警察官も駆けつけたところで、2週間前の画像をGメンが突きつけると…。
【万引きGメン 石原知典さん】「これ、そうじゃない?」
【男】「あ~」
【万引きGメン 石原知典さん】「万引きする瞬間やんか」
【男】「そうですね」
【万引きGメン 石原知典さん】「だから今日初めてじゃないねんって。この時は何を取ったん?」
【男】「それが覚えてないんです」
【警察官】「今日初めてかな?ここで万引きしたのは?正直に言ってや」
【男】「さっきの(画像)見せてもらったら、過去にありますね」
【警察官】「『ありますね』じゃなくて、自分できっちりと認めなさい」
【男】「あります」
【警察官】「前回、何を取ったんや?」
【男】「多分…」
【警察官】「多分じゃない!覚えてるやろ!」
【男】「刺身」
そして、男は以前、別の店でも万引きが見つかったと話しました。
【男】「あ~(反省している様子)。ここは安いとよく知ってるから」
【店員】「安かったら払え!」
【男】「そうですね…すんません。ほんとにすんません」
万引きの被害額が年間300万円超の店。例え少額でも、店の経営に大きな影響を与えます。
【店の責任者】「僕らの基本的なスーパーマーケットの商売っていうのは“薄利多売”。100円の商品があったとして、利益が10円あったとすると、100円の商品を一つ取られる度に、原価を取り戻そうとしたら同じ商品を9個売らないとだめ」
■Gメンも驚きのあきれた言い訳とは
店内が混み合う正午頃、Gメンの元に“ある情報”が入りました。
【万引きGメン 石原知典さん】「僕の前にいる紺色のカーディガンに黒のショルダーバッグ。従業員さんがお茶入れたのを見たらしいです」
買い物かごを持たずに店内をうろつく男。追跡を開始!
【万引きGメン 石原知典さん】「あ、やるんちゃう?入れる、入れる!」
「入れた、入れた!」
柱の陰から見張るGメン。男は周囲を気にしながら、大胆にカバンにサンドイッチを入れます。
【万引きGメン 石原知典さん】「カバン(の中)今、きれいに直したんちゃうかな。ああ、はっさく入れた。まだやるんちゃうかな」
さらに男は、Gメンの目の前でもおかまいなしに犯行に及んでいます。
お弁当のパックを無理やりカバンに詰め込もうとしますが、うまく入りきらないようです。
【万引きGメン 石原知典さん】「無理があるでしょ。バリバリいうてますやん」
客が少ない飲み物売り場では、もうカバンには入らないのか、ポケットに。男はレジを通らず、そのまま店の外へ…。
そこで声をかける石原さん。
【万引きGメン 石原知典さん】「こんにちは、お父さん。分かってる?自分が一番分かってるやろ」
【男】「何が?」
【万引きGメン 石原知典さん】「ここ(カバン)。ちょっとお話だけ聞かせて」
80代のこの男、素直に万引きを認めました。
【万引きGメン 石原知典さん】「お父さんさぁ、何でここに呼ばれたか分かる?」
そう聞かれ、うなずく男。
【万引きGメン 石原知典さん】「分かってるんやったら、ちょっと出してみようか」
男がカバンから取り出したのは、エビ天重・カツサンド・果物など6点。2233円分です。
そして、Gメンも絶句の言い訳を始めました。
【万引きGメン 石原知典さん】「いつもこんなことしているの?」
【男】「いやいや」
【万引きGメン 石原知典さん】「今日が初めてなの?何でこんな事したの?」
【男】「今日天気いいし、寒くないし。ちょっと出てみようかなって」
【万引きGメン 石原知典さん】「え?天気がいいから取ったってこと?」
【男】「あとは、出来心です。バナナなんて最近食べたことないし、食べてみたいなって」
【万引きGメン 石原知典さん】「財布は?」
【男】「財布は持ってない」
年金生活で一人暮らしの男。貯金もなく、生活費も底をついたと話しますが…。
【男】「はぁ…(ため息)」
【警察官】「収入は何?年金?年金はいくらもらってるん?2カ月で」
【男】「40万円です」
【警察官】「2カ月で40万円やろ。ひと月20万円くらいの計算やんか」
【男】「今までは入退院ばっかり。今年初めて退院して、今は通院で病院へ」
医療費に圧迫されて生活が苦しいとのこと。
年金が入ったら必ず支払いに来ると店と約束し、この日は帰ってもらうことに。
帰り際、頭を下げて謝罪の言葉を口にしました。
【男】「すいませんでした」
しかし、どれだけ反省しても、万引きをした事実は変わりません。
(関西テレビ「newsランナー」2024年4月18日放送)